八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

吾妻線の鉄道遺産

 八ッ場ダム予定地を走る吾妻線が10月1日に水没線より上の新線に切り替えられました。国交省八ッ場ダム工事事務所では、廃線となった水没予定地の線路を本体工事用に利用するとの話もあるようです。
 昨日の上毛新聞に、鉄道遺産として価値がある吾妻線の保護・活用を求める以下の投書が掲載されましたので、紹介します。

◆2014年10月4日 上毛新聞 投書欄

 ー吾妻線の鉄道遺産ー  藤田哲史(東京都三鷹市・40)
 JR吾妻線・岩島駅から長野原草津口駅間が新線に切り替えられた。旧線の区間は今後、八ッ場ダムに水没したり、朽ちていくのを待つことになるのだろうが、鉄道遺産として保存されてもおかしくない橋梁が多数存在しているのをご存知だろうか。
 私が確認しているだけでも、明治末期に輸入されたと思われるFRODINGHAM 社やHARKORT 社の鉄橋がある。前者はイギリスの製鉄会社で、1914年開業の東京駅赤れんが駅舎にも同社の鋼材が使われている。後者はドイツの製鉄会社が1902年に製造したもので、現役であれば東京・中央線の鉄橋を抜いて、日本最古級のものであった。
 いずれも100年以上前の鉄橋である。そのほかにも大正から昭和10年代にかけての橋梁が多数残る。こうした古い年代の橋梁が存在するのには訳がある。吾妻線は戦時中に建設が進められた経緯もあり、物資が不足する中、おそらく全国から資材をかき集めてきたのだろう。建設時期と年代が合わないものは、一度廃棄されたものが転用されたと考えられる。
 歴史を秘めた鉄橋群が、廃線とともに忘れられてしまうのは、あまりにも惜しい。何らかの保護、活用が図れないものか。