八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

強制収用の可否を問う八ッ場ダム公聴会

 八ッ場ダムの公聴会が6月26日と27日の両日、ダム予定地下流の群馬原町の公共ホールで開催されました。
 一日目に12件、二日目に11件の公述が予定されていましたが、一件キャンセルがあり、全部で22件でした。このうち、最初の公述は起業者である国交省関東地方整備局が行い、その後は、ダム事業による強制収用反対の公述が14件、賛成の公述が7件でした。賛成の公述人のうち、下流都県の4名は行政関係者、地元・長野原町の3名は町会議員と元町会議員でした。

 関連記事を転載します。

◆2015年6月27日 毎日新聞群馬版
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20150627ddlk10010087000c.html
ー八ッ場ダム:強制収用で住民意見 国公聴会、賛否の立場を表明 /群馬ー

 八ッ場ダム建設用地の強制収用に向け、国土交通省は26日、東吾妻町内で公聴会を開いた。地元住民らが公の場で意見を述べる最後の機会。約80人が傍聴し、事業者の八ッ場ダム工事事務所職員も含め11人が賛成、反対それぞれの立場から発言した。

 最初にダム工事事務所職員が水害防止や水道用水確保などの建設目的を説明。住民の同意を得て建設用地の93%を確保しているとして、未買収状態で残る土地の収用に理解を求めた。

 その後、移転に応じた住民が「いや応なく条件付きで賛成させられた。造ってくれと頼んだわけではないのにダムのせいでどれほど苦しんだか。移転した以上は完成させてほしい」と述べると、傍聴していた移転拒否住民から「まだ納得していない人間もいるんだ」と声が上がった。

 公聴会は27日も開かれる。【高橋努】

◆2015年6月27日 東京新聞群馬版
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20150627/CK2015062702000151.html?ref=rank
ー八ッ場ダム 「建設中止」の声相次ぐ 強制収用可否 判断で公聴会ー

 長野原町の八ッ場(やんば)ダム建設工事をめぐる公聴会が二十六日、東吾妻町コンベンションホールで始まった。早期完成を求める水没予定地の地元住民がいる一方、利水・治水効果を疑問視し、ダム周辺の土砂災害の危険性が増すと指摘するなど建設中止を求める意見が相次いだ。
 八ッ場ダムは今年一月に着工し、完成は二〇一九年度の見込み。国土交通省によると、建設に必要な土地の取得率は三月末で約93%だが、残りの地権者の中には所在不明の人もいる。同省は四月、国交相宛てに、予定地の強制収用を可能にする事業認定を申請。公聴会は、事業認定の可否を判断するための意見収集が目的で、この日は公述を希望した十一組が意見した。
 公述人の一人で、日本大学の竹本弘幸講師(地震地質学)は、建設予定地の地層は貯水により水を含むと不安定になり、ダム湖や吾妻渓谷の土砂災害などのリスクは高まると指摘。茨城や埼玉から参加した複数の公述人は、計画の見込みより水使用量は減っており「流域圏は水余りに苦しんでいる。治水効果も期待できない」と建設中止を求めた。
 一方、長野原町の元町議星河由紀子さん(72)は「まだ反対の声が聞かれ、心を痛めている。ここまできたら中止せずに早く完成させ、安心した暮らしを与えて」。埼玉県加須市の角田守良副市長も「流域圏の治水、利水効果はある。一日も早い完成を」と訴えた。
 公聴会は二十七日も開かれる。その後、第三者機関の意見も聞き、事業認定の可否が判断される。 (川田篤志)

◆2015年6月27日 上毛新聞 
http://www.raijin.com/ns/3214353620861675/news.html
ー八ツ場ダム 強制収用へ公聴会 11組、賛否の意見公述ー

 八ツ場ダム(長野原町)建設事業に伴い、国土交通省は26日、水没予定地の強制収用を可能にするため、土地収用法に基づく公聴会を東吾妻町コンベンションホールで開いた。事前に申し出のあった11組の公述人がダム建設をめぐり推進や中止を求める意見を述べた。
 公述人の1番手として、起業者である国交省関東地方整備局の担当者が登壇。ダムの目的や内容を紹介した上で、3月末時点で残り約7%(面積ベース)となっている水没予定地の取得について「任意交渉が最良。引き続き丁寧に説明していきたい」と述べ、地権者とできる限り話し合う考えを示した。
 ほかの公述人からはダム建設の賛否の意見が出た。
 地元住民らの賛成者は「ここまできたら、中止にしてほしくない。一日も早く完成して安心した生活を与えてほしい」「貯水できなければ、無駄遣いになってしまう」「農業や洪水対策にダムは必要」などと完成を望んだ。
 一方、市民グループの反対者は「人口減少で水が余る。公共の利益にならない」「自然の宝庫をダムに沈めてはならない」「治水、利水からみて、もはやダムを必要とする状況はない」などと疑問を呈した。
 国交省関東地方整備局は4月、主に地権者が不明な水没予定地を取得するため、同法に基づく事業認定を国交相に申請した。公聴会は認定手続きの一環で、判断の参考のために実施する。27日も行う。

◆2015年6月27日 17時19分 NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/1065303871.html
ー八ッ場ダムの土地収用で公聴会ー

 国が群馬県で建設を進めている八ッ場ダムの計画をめぐって、法律に基づいて土地の強制的な収用も可能になる「事業認定」の申請が行われたことを受け、国土交通省が計画への意見を聞く公聴会が東吾妻町で開かれました。

 長野原町で計画が進む八ッ場ダムをめぐっては、今年3月末までに建設予定地のうち7%の土地が取得できていません。
 このため国土交通省八ッ場ダム工事事務所は今年4月、法律に基づいて取得できていない土地の強制的な収用も可能になる「事業認定」を国土交通省に申請し、これを受けて、国土交通省は、計画に賛成と反対の立場から意見を聞く公聴会を東吾妻町で開きました。
 はじめに八ッ場ダム工事事務所が利根川流域の洪水対策など八ッ場ダムの必要性について説明しました。
 このあと、計画に賛成と反対の立場の人たちがそれぞれが意見を述べました。
 このうち計画に反対する男性は、「利根川では堤防を越えるような洪水は起きていないし、人口が減るなどして水道用の水も余っている。ダムは意味がない」と述べました。
 一方、計画に賛成する女性は、「川の流域の住民が安心できるなら建設はムダだとは思わない。完成を待ってきた人のためにも計画を前に進めて、住民の生活再建をしてほしい」と述べました。
 公聴会は、27日も開かれ、国土交通省はここで出た意見などを参考にし、事業認定が妥当かどうかを判断することにしています。

◆2015年6月27日 朝日新聞群馬版
 http://www.asahi.com/area/gunma/articles/MTW20150629100580001.html
ー八ツ場建設、公聴会で賛否ー

 国土交通省は26日、八ツ場ダム(長野原町)建設事業について、住民らの意見を聞く公聴会を東吾妻町内で開いた。土地収用法に基づき未買収地を取得する手続きの一環。今後事業の公共性が高いと認められれば、県収用委員会の審理と補償金の支払いなどを経て強制的な土地の収用が可能となる。公聴会は27日にも開かれる。

 市民約80人が傍聴するなか、住民や大学教員、市民団体のメンバーら約10人が賛否を述べた。冒頭、八ツ場ダム工事事務所の担当者が、工事の目的や3月末時点で用地取得が93%済んでいることなどを説明した。

 賛成派は「安定した生活再建を成功させるためにも、ダムの早期完成を」などと訴えた。一方、反対派からは「八ツ場ダムには、土地を収用し、住民の人生を犠牲にするだけの公共の利益は無い」などの意見が出た。

 国交省はダムの本体工事を今年1月に着工。18年9月にかけて本体や水門設備を造り、その後試験的に水をためる計画だ。

◆2015年6月27日 読売新聞群馬版
ー八ッ場 賛否10人が意見 土地収用手続き 国が公聴会ー

 八ッ場ダム(長野原町)の水没予定地にある未取得地の強制取得に向けた土地収用法の手続きとして、国土交通省は26日、東吾妻町で公聴会を開いた。公述人10人がダム建設の賛成、反対の立場から意見を述べた。27日も開催され、同法の事業認定の判断材料にする。
 公聴会には約80人が参加。事業者の同省関東地方整備局の担当者が、洪水防止や水道供給などダムの役割や、事業用地の93%を取得し、86世帯が代替地に移転している現状を説明。最後に「地域の理解、協力を得て、任意で丁寧に説明していくが、建設事業は公益上の理由がある」と事業認定を求めた。
 一方、茨城県取手市の神原礼二さん(74)は「利根川では堤防を越えた洪水はない。人口減少も進み、水は要らなくなる」と事業の反対を主張。
 長野原町の星河由紀子さん(72)は「地元はダム建設の犠牲になっていない。共存して生活するためにも生活再建を成功させて、後ずさりさせず、予定より早く完成させてほしい」と賛成の立場で話した。

◆2015年6月28日 毎日新聞群馬版
 http://mainichi.jp/area/gunma/news/20150628ddlk10010034000c.html
ー八ッ場ダム:公聴会終了 賛成派「流域の水害防止」 反対派「水道の需要低下」 /群馬ー

 八ッ場ダム(長野原町)建設事業の用地強制収用に向けて、国土交通省は27日、東吾妻町内で2日目となる公聴会を開いた。賛成派は流域の水害防止、水道・工業用水確保など建設の意義を強調。これに対し、市民グループなど反対派は、(1)下流域で堤防を越える水害は発生していない(2)人口減による水道水の需要低下−−などを挙げて、建設中止を主張した。

 公聴会は土地収用法に基づき、国交相が強制収用の可否を判断するための手続き。27日は公述人として11の個人・グループが意見を表明し、全日程を終えた。今後は国の第三者機関である社会資本整備審議会の意見聴取や、県収用委員会の審理を経て、未取得地の強制収用が可能になる。

 八ッ場ダム建設工事は、水没予定地のJR吾妻線や幹線道路の付け替えをほぼ終了し、国交省は今年1月、ダムの本体工事に着手している。【高橋努】

◆2015年6月28日 上毛新聞
ー前日に続き 持論展開 八ッ場ダム公聴会ー

 八ッ場ダム(長野原町)建設事業に伴い、国土交通省は27日、前日に続き土地収用法に基づく公聴会を東吾妻町コンベンションホールで開いた。利根川下流域の住民ら11組の公述人がダム建設をめぐり持論を展開した。
 ダムの早期完成を望む賛成者や国交省関東地方整備局の担当者は、治水や利水の面からダムの必要性を強調した。これに対し、反対者は「造っても意味のないダム」「公益性と緊急性がない」などと中止を求めた。
 公聴会は2日間にわたって実施。一般公開された。延べ約170人が傍聴した。

◆2015年6月28日 読売新聞群馬版
ー八ッ場公聴会最終日 判断材料11組が意見ー

 八ッ場ダム(長野原町)の水没予定地にある未取得地の強制取得に向けた土地収用法の手続きの一環で、国土交通省は27曰、前日に続き東吾妻町で公聴会を開いた。
 市民団体など11組が公述し、栃木県鹿沼市の高橋比呂志さん(61)は、ハッ場ダムに台風や洪水対策の効果はないとして、「公益性はない」と反対を主張した。

 一方、千葉県松戸市の土屋信行さん(65)は「流域全体で努力をして地域の安全を高めないといけない。一日も早くダムを完成させてほしい」と賛成意見を述べた。公聴会はこの日で終了し、公述人の意見は事業認定の判断材料となる。