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設楽ダム、転流工着工式の記事

 国交省中部地方整備局は豊川の水をトンネルで迂回させる「転流工」の着工式典を開催しました。

◆国交省ホームページより
 【平成29年6月3日】 「設楽ダム転流工着工式」に根本政務官が出席
 https://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_005582.html

 「転流工」はダム本体工事の準備工事として行われるため、関連記事はいずれも、本体工事が着工したかのような報道となっていますが、「設楽ダムの建設中止を求める会」によれば、ダム建設予定地は断層が走っている疑いが濃く、工事着工の見通しが立っていないとのことです。今回の転流工着工式典は、既成事実を積み重ねることで、何が何でも事業を継続するという事業者(国交省中部地方整備局)の意思表示と思われます。

 以下のページもご参照ください。
 ●国交省、設楽ダム建設のため、転流工の着工式開催 
 ●設楽ダム事業を進める国交省中部地方整備局への抗議声明 

◆2017年6月6日 日刊建設工業新聞
 https://www.decn.co.jp/?p=91893
ー中部整備局/設楽ダム転流工(愛知県設楽町)が着工/施工は飛島建設ー

 中部地方整備局は3日、愛知県設楽町の豊川に建設する設楽ダムの転流工着工式を同町ふれあい広場で開いた。地元自治体関係者らが、盛り土に鍬を入れ、くす玉を割ってダム事業の本格的な開始を祝った。施工は飛島建設が担当、19年2月末完成を目指す。

 根本幸典国土交通大臣政務官はあいさつで「近年、温暖化などにより水害の頻発化、激甚化が顕著だ。水防法の改正などソフト面の取り組みとともにハードの整備も一体となって進め、地域防災をさらに推進していく」と語った。足立敏之参議院議員は「たくさんの人に見てもらえるようなダム事業にしてほしい」と激励した。

 同ダムは、同町田口の豊川本流に建設される堤高129メートルの重力式コンクリートダム。湛水(たんすい)面積は約3平方キロ。総貯水容量9800万立方メートル、有効貯水容量9200万立方メートルで、洪水調節、新規利水の確保などを図る。総事業費は約2400億円。

 中部整備局は1978年に実施計画調査、03年に建設事業に着手したが、民主党政権のダム事業見直しにより一時棚上げ状態になっていた。ダム本体工事に備えた転流工の着工で事業が本格化する。本体完成は26年の予定。
 転流工工事は、施工延長560メートル、うちトンネル工435メートル、呑み口部108メートル、吐口部17メートル。内空断面積33平方メートル。i-Constructionを活用するICT(情報通信技術)活用対象工事。

 □小川統史設楽ダム転流工作業所長(飛島建設)の話□
 「近隣に迷惑をかけないよう安全第一で工事に当たる。水路トンネルなのでインバートコンクリートの品質にこだわりたい。建設ICTを用いた自動化により、作業効率を約20%向上させる」。

◆2017年6月4日 朝日新聞愛知版
http://digital.asahi.com/articles/ASK634S2JK63OBJB001.html
ー設楽ダム、豊川転流の着工式 19年完成予定ー

 設楽ダム(設楽町)の本体工事に向け、豊川を迂回(うかい)させる転流工事の着工式が3日、同町であった。設楽町の関係者や地元選出の国会議員、下流5市の市長・副市長らが出席した。

 冒頭、根本幸典国土交通政務官が「豊川流域は洪水と渇水が頻発する地域。ダムは東三河だけでなく中部地域の発展に寄与する」とあいさつ。設楽町の横山光明町長は「水没し土地を失う方が多数いるなか、議論や協議に時間を費やし課題解決に心血を注いでいただいた。工事が順調に進み、東三河全体が恩恵に浴することを望む」と話した。最後に鍬(くわ)入れとくす玉割りで着工を祝った。

 転流工事では、14億6千万円をかけ全長560メートル(うちトンネル435メートル)の豊川迂回路を造る。下流側から掘り進め、2019年2月に完成予定。転流工事終了後に本体工事が始まる。

 ログイン前の続き1978年に実施計画調査が始まった設楽ダムは、民主党政権時に検証するダム事業に選定され、その後の自民党政権で継続となった。総貯水容量は9800万立方メートルで、総事業費は約2400億円。実施計画での完成予定は2026年度の見込み。

■中止を求める会 抗議声明を発表

 「設楽ダムの建設中止を求める会」(市野和夫代表)は転流工事の着工について、「ダム建設事業を強行する当局に断固抗議し、事業の中止を求める」とする声明を2日に発表した。

◆2017年6月4日 読売新聞愛知版
 http://www.yomiuri.co.jp/local/aichi/news/20170605-OYTNT50191.html
ー設楽ダム本格着工…計画発表から44年ー

 国による設楽町の設楽ダム建設で、本体工事に先立つ転流工工事の着工式が3日、同町で開かれた。1973年の計画発表から地元住民らの反対運動や民主党政権時代のダム再検証作業などの紆余うよ曲折があり、44年が経過したが、ようやく本格的な工事が始まった。

 設楽ダムは総貯水容量が9800万立方メートル。総事業費は約2400億円で、2026年度の完成を目指している。転流工工事は、ダム本体の建設現場に水が入り込まないよう、川の流れを迂回うかいさせる560メートルのルートを造る工事で、19年2月の完成を予定している。

 着工式には、国や県の関係者、東三河地方の自治体首長らが出席。設楽町の横山光明町長は「ダム建設工事の進捗しんちょくとともに、上流域と下流域が発展していくように協力していきたい」とあいさつした。

 設楽ダム建設を巡っては反対運動もあったが、09年、同町が国、県と建設同意協定書に調印。民主党政権下では再検討の対象になったが、14年、国が事業継続の方針を決めた。現在、水没予定地にある道路の付け替え工事も行われている。

◆2017年6月3日 東日新聞
 http://www.tonichi.net/news/index.php?id=60785
ーきょう設楽ダム「転流工」着工式 
 計画から44年大きく動き出す/紆余曲折を経て巨大ダム建設工事本格化ー

 国土交通省設楽ダム工事事務所は3日、設楽ダム(設楽町)の本体関連工事として「転流工」の着工式を開き、工事が本格化する。計画提示から44年。地元の反対運動から建設同意、事業凍結の紆余(うよ)曲折を経て、巨大ダムの建設事業が大きく動き出す。

 転流工とは、川の水を迂回(うかい)させる仮排水路トンネル。これまで同事務所は用地補償や付け替え道路の整備などを進めてきたが、ダム本体工事に向けた本格的な工事に入る。全長560メートルで2019年2月の完成予定。

 設楽ダムは、豊川(とよがわ)上流の設楽町に、流水の正常な機能維持、利水、治水を目的に国交省が建設を計画。堤高129メートル、総貯水量9800万トン、ダム湖の面積は3平方キロになる。

 1973年に計画が提示され、地元の反対運動を経て、2009年2月に国と愛知県、同町が建設に合意。その後、民主党政権下で再検証の対象となり、住民移転などが進む中で工事は事実上凍結された。

 再開以降、対象となる用地300ヘクタールのうち約91%にあたる277ヘクタールで契約を結んだ。水没する124戸は新城市内などに移転した。

 総事業費は当初より膨らみ約2400億円。完成時期も計画提示時よりずれ込んで26年度を見込む。同事務所は3日、設楽町田口のふれあい広場で転流工の着工式を開き、同町関係者や豊川下流域の自治体の首長らが出席する。