昨日、政府の来年度予算案が発表されました。国土交通省は八ッ場ダム事業に本体工事費を含む99億3100万円を計上しました。
 八ッ場ダムの安全性に地質の専門家らから多くの疑問が投げかけられる中、国は未来への負の遺産となるダム建設に突き進む方針です。地元の有力者らは行政と歩調を合わせて八ッ場ダムの早期完成を要望していますが、本体工事に着手することで八ッ場ダム事業は今後も延々と続き、地元は一層の犠牲を強いられることになるでしょう。

◆財務省ホームページ(平成26年度政府予算案) http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2014/seifuan26/index.htm

◆国交省・公共事業関係予算 http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2014/seifuan26/05-13.pdf 

 公共事業関係予算は5.3兆円から6.0兆円へと、12.9%増になっていますが、社会資本整備事業特別会計がなくなりましたので、その影響を除くと、1.9%増となります。今年度の公共事業関係予算そのものがすでに膨れ上がっていますので、大盤振る舞いが続くことになります。
 八ッ場ダム事業が含まれる治水関係だけを見ると、5942億円から7548億円(特別会計廃止の影響を除くと、5973億円)へとなります。

 マスコミ各社が八ッ場ダムの来年度予算について報道しています。
 NHKは24日夕方の首都圏ニュースで取り上げました。八ッ場ダムの完成予定年度について、「当初の予定より4年遅れて平成31年度に完成する予定です」と報じましたが、八ッ場ダムの当初の完成予定年度は平成12(2000)年度です。現在の完成予定年度、平成31年度は19年遅れとなります。
 このニュースでは、民主党政権が発足した「4年前にいったん工事が中断」されたことにも触れており、視聴者は政権交代で完成が遅れたと誤解するでしょう。

 しかし、民主党政権の四年間も八ッ場ダム事業は止まらずに関連工事が続けられてきました。ダム本体予定地を走るJR吾妻線はまだ付け替え工事が終わっていません。
 八ッ場ダム事業は2009年の政権交代前に工期を15年延長し、さらに今年工期を4年延長することになりました。合わせて19年の工期延長は八ッ場ダム事業そのものが抱える問題によるもので、政権交代とは関係ありません。

 事業者である国交省関東地方整備局は問題の多い八ッ場ダム事業について、都合の悪い情報を表に出さない傾向がみられます。行政にとって都合のよい情報が内容を精査されることなくマスコミを通じて大量に流されることは、国民がダム問題の実態をなかなか知ることができない大きな要因になっています。
 東京新聞は原発政策に関しては政府に批判的な記事が多いのですが、今朝の群馬版は八ッ場ダムについてまるで行政の広報紙のような記事を載せています。

 時事通信は速報で、太田大臣の記者会見の内容を報じており、その中で本体工事着手の時期について、「現時点では未定」としています。群馬版各紙では本体工事着手は来年10月と大きく報じられてきていますが、大臣発言はこれを否定するものです。記者会見の該当部分をこちらに転載しました。↓
 http://yamba-net.org/?p=6673
 
◆2013年12月24日 時事通信
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201312/2013122400456&g=eco
ー本体工事費、5年ぶり計上=八ツ場ダム建設で-国交省ー 

 国土交通省は2014年度予算案で、八ツ場ダム(群馬県長野原町)の19年度完成に向け、本体工事費を5年ぶりに計上した。
 生活再建支援事業なども含めた関連経費は、事業費ベースで前年度比1.8%増の99億3100万円(国費ベース50億5100万円)。
 太田昭宏国交相は24日の閣議後記者会見で、「具体的な着工時期は検討しているところで、現時点では未定だ」と述べた。

◆2013年12月24日 日本経済新聞政治面
 http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC2300V_U3A221C1EB2000/

ー八ツ場ダム工事費、5年ぶり計上 14年度予算案ー

 政府は2014年度予算案に群馬県の八ツ場ダムの事業費(国費ベース)で、今年度当初予算比2%増の50億円を計上した。地元自治体の負担分も含む事業費全体は99億円とした。09年の民主党への政権交代で凍結していたダム本体の工事費も5年ぶりに予算に盛り込んだ。19年度の完成を目指し、建設を加速する。

 八ツ場ダムは09年度予算にダム本体の工事費が盛り込まれたが、民主党政権の発足で建設が一時中止になった経緯がある。自民党が政権に復帰した13年度予算では、ダム本体の工事に必要となる道路整備などの本体関連工事の経費を計上。14年度予算案に本体の工事費が盛り込まれるかどうかが焦点になっていた。

 八ツ場ダムは利根川流域の洪水を防止するため、旧建設省が1952年から調査を始めた大型公共事業だ。国土交通省は今年8月に建設基本計画を見直し、15年度としていた完成時期を19年度に延期した。総事業費は4600億円を見込む。

◆2013年12月24日 NHK首都圏ニュース
 http://www.nhk.or.jp/shutoken-news/20131224/4073231.html

ー八ッ場ダム本体工事 予算案にー

 来年度の国の予算案が閣議決定され、群馬県の八ッ場ダムの本体工事を含んだ全体の事業費として、99億円が盛り込まれました。
 群馬県長野原町で建設が進む八ッ場ダムは、4年前にいったん工事が中断されましたが、おととし建設を継続することが決まり、来年度からは本体工事が始まる予定です。
 24日、閣議決定された来年度・平成26年度の国の予算案に、八ッ場ダムの本体工事や住民の生活再建事業など、全体の事業費として総額で99億円が盛り込まれました。
 ダム本体の工事費用が盛り込まれたのは、5年ぶりです。
 八ッ場ダムは、総事業費およそ4600億円のうち、これまでに3800億円あまりが投じられており、当初の予定より4年遅れて平成31年度に完成する予定です。

◆2013年12月25日 上毛新聞一面
 http://www.jomo-news.co.jp/ns/7013878956775469/news.html

ー14年度政府予算案 八ツ場ダムに99億円 10月にも本体工事 ー

 政府は2014年度予算案に、本体工事着工が予定される八ツ場ダムの事業費として、地方自治体の負担分を含め99億3100万円(前年度比1・8%増)を計上した。国費ベースは50億5100万円とした。早ければ10月にも本体工事が始まる見込み。

 本体工事のほか、付け替え道路の整備や代替地へ移転する住民への補償といった生活再建事業に充てる。完成は19年度の予定で、完成までの総事業費は約4600億円を見込んでいる。

 太田昭宏国土交通相は24日の記者会見で「今後も早期完成に向けた取り組みを進めるとの基本方針に沿い、関係する1都5県と緊密に連携しながら着実に進めたい」と話した。

 凍結されていた本体工事費が計上されたことについて、大沢正明知事は「地元住民のためにも、速やかに本体工事の入札手続きを開始し、ダムの早期完成を図るとともに、生活再建事業の早期完成に取り組んでいただきたい」とのコメントを発表した。

 長野原町の高山欣也町長も歓迎の姿勢を示し、「ほっとしている。今後は迅速に工事を進めてもらい、1カ月でも2カ月でも早い完成を目指してほしい」と期待を込めた。

 国土交通省は同日、八ツ場ダムが完成した場合の効果は2兆4166億円になり、総事業費を上回ると発表した。洪水を防止することで発生せずに済む被害を金額に換算した。
  
◆2013年12月25日 上毛新聞社会面

 「ほっとした」「当然」八ッ場ダム予算で住民ー

 八ッ場ダム(長野原町)の事業費は地方負担分を含め99億円が計上された。地元からは安堵とともに、15年度から19年度へと延長された完成予定を受け、「1日も早い完成を」と工期短縮を求める声が上がった。
 「大きな前進。ほっとした」。八ッ場ダム水没関係5地区連合対策委員会の篠原憲一事務局長は「JR吾妻線の付け替えも来年秋に予定され、事業進展の手応えを感じる」と喜んだ。
 川原畑地区は来春、生活再建事業の一環として、滞在型市民農園が開園、吾妻川対岸では川原湯温泉の整備が進む。川原畑八ッ場ダム現地再建対策委員会の野口貞夫委員長は「ようやく動きだした感じ。川原湯温泉や周辺の施設がにぎわいを増す」と期待する。
 「予算計上は当然」と冷静に受け止めるのは、同連合対策委員会の萩原昭朗委員長。「本体着工はこれから。1日も早い感性が住民の願いだ」と続けた。

◆2013年12月25日 読売新聞群馬版
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20131224-OYT8T01540.htm

 -八ッ場「満額」99億円…政府予算案ー

 政府は24日に閣議決定した2014年度予算案に、八ッ場ダム(長野原町)の本体工事費などとして99億3100万円を計上した。構想から60年以上を経て、本体工事が来年度スタートすることに、地元からは「早く完成を」と期待の声が上がった。

 国土交通省によると、予算額は本体工事費と生活再建事業費などの合算で、同省の概算要求を満額認める形となった。うち約50億円を国費で負担する。同省治水課は、用途の内訳を「年度当初に策定する実施計画で決める」と説明した。

 太田国交相は閣議後の記者会見で、着工時期について「今検討しているところで未定」とし、現地視察については「来年には行くこともあると思う」と話した。

 八ッ場ダムは1952年に建設省(現・国交省)が調査に着手。2009年度予算に本体工事費が計上されたが、その後に発足した民主党政権が建設中止を表明、本体工事費は執行されなかった。

 国交省は11月に見直した基本計画で、工期を4年延長して19年度までとした。長野原町の高山欣也町長は、満額の予算計上に安堵(あんど)しながらも、「中止騒動で4年間を無駄にした。国交省には19年度までに必ず完成させる意気込みで進めてほしい」と語った。

 同町林地区に今年開業した「道の駅 八ッ場ふるさと館」社長の篠原茂さん(62)は「太田国交相には住民の生活再建に何が必要か現地視察してほしい」と要望した。

 基本計画見直しで約4600億円の総事業費に変更はなかったが、ダム建設に反対する市民団体「八ッ場あしたの会」の渡辺洋子事務局長は「地滑り対策や代替地の整備費用だけでも500億以上の増額が必要。なし崩し的に計画が進み、住民の安全がおろそかにならないか心配」と批判した。

◆2013年12月25日 朝日新聞群馬版
 http://www.asahi.com/area/gunma/articles/MTW20131225100580001.html

 ー新年度政府予算案 本体工事盛るー

 24日閣議決定された2014年度政府予算案に、八ツ場ダム(長野原町)建設事業のダム本体工事費が5年ぶりに盛り込まれた。県や町は本体工事費の復活を歓迎する一方、太田昭宏国土交通相がこの日、時期の明言を避けた着工を、早期に行うよう求めた。

 群馬など関係都県負担分も含む事業費は99億3100万円(対今年度比1・8%増)で、うち国費は50億5100万円(同1・7%増)。ほぼ国交省の概算要求通りだったが、同省は本体工事費の額は「適正な契約に支障を及ぼす可能性がある」と公表せず、その他の内訳も「実施計画で決まる」とした。

 八ツ場の総事業費はダムで国内最高の4600億円。本体工事費は09年の民主党への政権交代で凍結され、11年12月に建設再開を決めた後も、関連工事費や生活再建事業費だけを予算化・執行してきた。
 本体工事の着手時期は来年10月とされてきたが、太田国交相は24日の記者会見で「現時点では未定」と歯切れが悪かった。

 大沢正明知事は談話を出し、「本体工事の予算計上は大変喜ばしく歓迎したい」としたうえで、本体工事の入札手続きを速やかに行い、ダムと生活再建事業を早期に完成させるよう改めて求めた。
 長野原町の高山欣也町長も「満額で正直ほっとしている」と述べたが、「予算がついただけで喜んでいるわけにはいかない」。ダム完成は11月の4度目の基本計画変更で4年遅れの19年度とされた。「1カ月でも2カ月でも早くダムを完成してもらわないと生活再建は立ちゆかない」と水没地区の住民の声を代弁した。
 また、建設業者の全国的な人手不足や消費増税に伴う資材高騰などの課題を挙げ、「今度こそ計画が遅れないよう早期に着手すべきだ」と国にクギを刺した。

 来年度政府予算案には地域高規格道路の整備として今年度当初より5%増の487億円が盛り込まれた。上信自動車道を推進する県は「前年並み以上の配分を期待したい」としている。
 上信道は関越道渋川伊香保インターチェンジ(IC)と上信越道東部湯の丸IC(長野県東御市)を結ぶ約80キロの計画。道路整備課によると、今年度は事業費30億8100万円のうち、国費は17億4700万円が充てられた。
 このほか国に求めたものでは義務教育費国庫負担金が3%増。県は影響がある施策の情報を集め、予算編成に生かすとしている。(小林誠一、山下奈緒子)

◆2013年12月25日 東京新聞群馬版

ー八ッ場ダムに50億円計上 政府予算案 5年ぶりに本体工事費ー

 政府は二〇一四年度予算案に、来年十月に本体工事着手予定の八ッ場ダム(長野原町)の事業費を国費ベースで、十三年度当初比2%増の五十億円計上とした。地方自治体の負担を含めた事業費は九十九億円となる。八ッ場ダムの本体工事費が盛り込まれたのは五年ぶり。
 本体工事のほか、代替地へ移転する住民への補償など生活再建支援に充てる。完成は一九年度の予定で、完成までの総事業費は約四千六百億円を見込んでいる。
 国土交通省は二十四日、八ッ場ダムが完成した場合の効果は二兆四千百六十六億円になり、総事業費を上回ると発表した。洪水を防止することで発生せずに済む被害を金額に換算した。

速やかに入札を
 大沢知事のコメント 八ッ場ダム本体工事の予算が計上されたことは、大変喜ばしく歓迎したい。地元住民の為にも、今後速やかに本体工事の入札手続きを開始し、ダムの早期完成を図るとともに、生活再建事業の早期完成に全力で取り組んでいただきたい。