八ッ場あしたの会では、参議院群馬選挙区に立候補予定の方々に公開アンケートを実施しました。その結果をお伝えします。

2013年6月10日発送
同年6月25日〆切

回答
●かがや富士子(民主党)
●店橋世津子(日本共産党)
●安永あきら(幸福実現党)

回答なし
●山本一太(自由民主党)
理由:個別案件のアンケートにはお答えできない。

1.かがや富士子候補(民主党)、店橋世津子候補(日本共産党)の回答
 かがや候補、店橋候補は共に、「八ッ場ダムは建設するべきでない」とし、「事業費が現在の計画より増額になり、工期が延長される可能性がある」、「ダム事業による地域振興策には限界があることからダム事業と切り離した地域振興策が必要」、「ダム中止後の法整備が必要」と回答しています。

 日本共産党は一貫して八ッ場ダム事業に反対しており、店橋候補の回答は党のこれまでの見解に沿うものです。

 民主党は2009年の総選挙で「八ッ場ダム中止」を選挙公約(マニフェスト)に掲げましたが、これを実現できませんでした。2012年総選挙での敗北は、同党がマニフェストを実現できなかったことへの国民の失望の結果といわれます。先の東京都議選に際し、八ッ場ダムに反対する市民団体「八ッ場ダムをストップさせる東京の会」が実施した各政党への公開アンケートでは、都議会民主党の見解は曖昧でした。
ダム予定地を抱える群馬選挙区において、新人のかがや候補の回答は、かつての民主党の見解に沿うものであり、原発、TPP、改憲と同様、同候補が自民党政権との対決姿勢を鮮明にしていることを示すものでもあります。

 前回、前々回の参院選で6割以上と、全国トップクラスの得票率を誇ってきた山本候補は、県内全域に早い時期から後援会組織を立ち上げています。保守王国・群馬における新人候補らの挑戦が注目されます。

2.安永あきら候補の回答
安永候補(幸福実現党)は、「八ッ場ダムは建設すべき」とし、「地すべり対策費は現計画の約6億円弱で問題ない」、「ダムの完成は2015年度」、つまり現在の八ッ場ダム計画を変更する必要はないとし、ダム予定地の地域振興についても、「ダム湖観光により地域振興が実現する」、「ダム中止後の法整備は不要である」と回答しています。これらの回答は、2009年の政権交代以前の旧・自公政権下における政策を認めるものです。

 安永候補はアンケートの回答に添えて、八ッ場ダムが必要である論拠を次のように述べています。
「現在、全国の原発が止められている中、その分を補充するために、日々100億ものお金を払って石油を輸入しております。ここで水力発電を増やしていかないと、何の資源もない日本のエネルギーが立ち行かなくなってしまいます。地域の皆様におかれましては、いろいろなお考えもございましょうが、日本という国のあるべき姿をお考えいただければ幸甚に存じます。」

 安永候補は八ッ場ダムによって水力発電量が増えるというお考えに基づいて、見解を述べているようです。
福島原発事故以降、このような観点から八ッ場ダムの建設は必要だとする声があるのですが、これはダムの目的は水力発電であるという、昭和30年代までの状況が今も続いているとする誤解によるものと思われます。現在、発電を主目的としたダム事業はありません。
 八ッ場ダムの場合も、昭和20年代の計画当初は、「発電」が主目的に含まれていましたが、昭和40年代以降、「都市用水の供給」、と「利根川の洪水調節」が主目的となりました。
八ッ場ダム事業では2008年の3度目の計画変更により、ダムから放流する時に行われる「従属発電」として群馬県営発電所の設置が追加されることになりました。しかし、八ッ場ダム予定地の吾妻川には古くから水力発電所が稼働しており、流れ込み式で中水力発電が行われています。八ッ場ダムで水を貯める為には、東京電力が水力発電のために取水している水の一部を吾妻川に返さなければなりません。このため、八ッ場ダム計画により東京電力が行っている水力発電事業は発電量が減少することになり、国は東京電力に減電補償金を支払わなければなりません。八ッ場ダムで失われる発電量と減電補償の金額は、国交省関東地方整備局と東京電力が交渉中の事柄であり、明らかではありません。
 国交省は八ッ場ダム事業の検証で国交省サイドだけで計算した数字を示し、減電量が小さいとしましたが、これは恣意的な数字です。あしたの会がその計算に使った元データを情報公開請求で入手して計算してみると、減電量は新たに設置される群馬県営発電所の発電量の約4~5倍、減電補償の金額は150~230億円にもなりました。

3.山本一太候補(自由民主党)の無回答
 山本候補は、前回6年前の参院選挙の際も、公開アンケートに答えませんでしたが、様々な場面で「八ッ場ダムは建設すべき」という見解を明らかにしています。

http://ichita.blog.so-net.ne.jp/2009-11-20-2

ブログ「山本一太の「気分はいつも直滑降」より「八ッ場ダムと政治献金」

 山本候補の所属する自民党は群馬県のローカルマニフェストにおいて、「八ッ場ダム建設推進で、地域の声、地元住民の生活を守ります」とうたっています。

https://www.jimin.jp/election/results/local_2011/manifest/pdf/10.pdf

 国交省関東地方整備局が試算した結果を踏まえれば、八ッ場ダムは工期の三度目の延長が必至です。国交省の試算通りダム完成が2020年度以降になるのであれば、少なくともこれから7年間、ダム予定地域はどのように振興策を図ればよいのでしょうか。八ッ場ダム湖は観光シーズンの夏場に水位を28メートルも下げる操作を行うことになっていますので、ダム完成後のダム湖観光にも疑問符がつきますが、たとえダム湖観光で集客できるとしても、ダム完成までの永い歳月、ダム事業で疲弊した予定地は何によって振興を図ったらよいのでしょうか。吾妻出身の山本候補はこれらの問題について、見解を明らかにするべきです。

 以下は、山本候補の父、山本富雄氏(元自民党参議院幹事長)がかつて地元紙に寄稿した記事です。これを読むと、ダム推進派が地元に対して八ッ場ダム計画をどのようにPRしていたのかがよくわかります。
「ダム建設にもとづく、吾妻の総合開発を中心とした有機的広域開発を要求し、更にTVA開発で採ったニューライフ、ニュータウン建設方式を中核とする吾妻地域住民の将来に具体的な希望を与える計画要求を打ち出さねばなりません。これは只、単に、二百億円余のダム建設のみの事柄でなく吾妻の封建制を打破する一大転機として、実現のあかつきは勿論吾妻の様相を一変することは事実でありましょう。長野原盆地を二分する長さ十四キロにおよぶ長方形の一大人造湖の大事業に吾妻八ヶ町村が一体となってこの試練を乗り越え大きな飛躍をする絶好の機会となることに努めなければならない」(1968年、草津新聞)

★八ッ場ダムに関する公開アンケート結果★

1. 八ッ場ダムは様々な経過を辿りながら、今年度の予算に本体関連工事費が計上され、来年度にも本体工事に着手するとされています。
 八ッ場ダムを建設するべきだと思いますか?

ア 建設するべき
・安永あきら(幸福実現党)

イ 建設するべきでない
・かがや富士子(民主党)
・店橋世津子(日本共産党

2. 八ッ場ダム予定地は地質が脆弱です。2009年までの自公政権下では、地すべり対策費は6億円弱しかダム事業費に組み込まれていませんでしたが、その後、民主党政権下の2011年、国交省は追加の地すべり対策費を代替地の安全対策も含めて150億円と試算しました。
 しかし、地すべり対策の詳細な現地調査はまだ行われておらず、工法によっては対策費が増加し、対策費用は150億円では足りないと指摘する専門家もいます。
 一方、大沢群馬県知事ら関係都県知事は、八ッ場ダムの事業費増額には応じないと表明しています。この地すべり対策費の問題について、ご見解をお聞かせ下さい。

ア 現事業費に組み込まれている約6億円弱の対策費用で問題ない。
・安永あきら(幸福実現党)

イ 2011年に国交省が試算した約150億円の追加対策を実施する必要がある。

ウ 150億円は試算であるので、今後、詳細な現地調査、湛水試験を行えば、安全を確保するためにさらに増額が必要になる可能性が高い。
・かがや富士子(民主党)
・店橋世津子(日本共産党

エ その他                                  

3. 八ッ場ダムは現在の計画では2015年度末に完成するとされています。しかし、2012年2月2日の衆議院予算委員会において、当時の前田武志国交大臣は、「本体に着工してから、7年で完成すると想定されている」と答弁しました。
 群馬県の大沢知事は、工期延長のための計画変更をすみやかに実施し、地元住民が生活設計を進められるよう、ダム完成までの工期を明らかにするよう国に求めています。(2013年5月17日上毛新聞記事など)
 一方、下流の東京都、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県は工期延長には応じないとしています。ダムの工期についてのご見解をお聞かせ下さい。

ア 八ッ場ダムは現計画通り、2015年度に完成すべきである。
・安永あきら(幸福実現党)

イ 八ッ場ダムの工期延長は必至であるので、八ッ場ダムの基本計画を変更すべき。
ウ 八ッ場ダムは事業の遅延が続いており、本体完成後の試験湛水中に地すべりの発生も起こりうることであるので、来年度に本体工事に着手したとしても八ッ場ダムの完成は2020年度よりさらに遅れる可能性が高い。
・かがや富士子(民主党)
・店橋世津子(日本共産党

エ その他                                  

4. 地元ではダム事業による人口減少と、それに伴う地域の衰退が深刻な問題となっています。八ッ場ダム事業では、ダム湖観光による地域振興を目指していますが、ダム湖は水質悪化の問題や、ダムの操作による夏場の大幅な水位低下の問題があると指摘されています。ダム湖観光と地域振興についてのご見解をお聞かせ下さい。

ア ダム湖によって観光客の集客が可能であり、地域振興が実現する。
・安永あきら(幸福実現党)

イ ダム事業による地域振興策には限界があり、ダム事業と切り離した新たな地域振興策が必要である
・かがや富士子(民主党)
・店橋世津子(日本共産党

ウ その他                                  

5. わが国では、ダム事業を中止した後、地元の生活再建、地域振興を図る法制度がありません。このため、地元住民はダム事業に依存せざるを得ず、ダム事業の見直しを困難にしています。
民主党政権下の2012年、政府はダム事業中止後の地域振興特別措置法案を国会に提出しましたが、12月の政権交代によりこの法案は廃案になりました。その後、現政権では、ダム中止後の法整備についての動きがみられません。
 ダム中止後の地域振興等の法整備についてのご見解をお聞かせ下さい。

ア.ダム中止後の法整備に早急に取り組む必要がある。
・かがや富士子(民主党)
・店橋世津子(日本共産党

イ.現在進められているダム事業は中止する必要がないので、法整備は不要である。
・安永あきら(幸福実現党)

ウ.その他