完成してから70年を迎える相模ダムについて、神奈川県は200億円、15年をかけて大規模改修を行うと、地元の神奈川新聞が報じました。
 京浜工業地帯の工業生産の増強や人口増加に伴う水源開発等を目的とした相模ダムは、ダムによってできた人造湖・相模湖が首都圏ではよく知られています。

★神奈川県ホームページより 「相模ダム」http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f8018/p104515.html

 報道によれば、今回の改修工事の主な目的は、ダム本体の耐震強化とダム直下の護岸工事であるということですが、相模ダムは相模湖の堆砂対策にも巨額の費用がかかっています。

 相模ダムは堆砂がなり進行しているダムです。総貯水容量6,320万立法メートルに対して、2015年3月末の時点で堆砂量が1,881万立法メートルにもなっています。毎年、堆砂の除去作業が行われていますが、土砂は上流から流れ込み続けますので堆砂量を減らすところまではいっていません。
 2007年度の計画では、1993年度から2019年度までの27年間に630億円の費用をかけて毎年25万立法メートルの浚渫を行うことになっていました。

 上記の神奈川県のホームページには、堆砂対策を行う「相模貯水池大規模建設改良事業」の概要が掲載されています。
 http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f8018/p11469.html

 本来は川が運ぶ土砂をダムが堰き止めるため、相模湖の河口では海岸線が後退し続けています。この事業では、ダム湖の土砂を浚渫し、海岸の回復を目的とした養浜材料などに有効利用を図っているとのことですが、ダムは完成後も、このように巨額の税金を使い続けなければなりません。今回の改修工事の総工費は200億円とされていますが、その金額で済むとは思われません。

◆2017年1月8日 神奈川新聞
http://www.kanaloco.jp/article/223517
ー工期15年、総工費200億円、相模ダムを大規模改修へ 70年を迎えー

 県民の貴重な「水がめ」として利用されている相模ダム(相模原市緑区)、1947 (昭和22)年の完成から2017年でちょうど70年を迎える。水を放流するゲートなど設備の老朽化が進み、県は完成以来初の大規模改修に乗り出す。工期約15年、総工費約200億円の大工事になるとみられる。同規模の大型ダムの大規模改修は全国でも例がなく、県企業庁は「長期にわたる難工事になるが、入念かつ慎重に準備や計画を立てて実施していきたい」と話している。

 県内の水道水の約9割は、同庁が管理・運営する相模、城山(同市緑区)、三保(山北町)と、国土交通省の宮ケ瀬(同区)の4ダムで賄っている。中でも相模ダムは最も古く、水道・工業用水のほか発電などにも使う多目的ダムとしては国内初の大規模ダムという。

 東日本大震災後、ダム本体のコンクリートの耐震や強度を診断し、建設当初の強度が保たれているとの結果を得た。しかし、放流ゲート6門と、それを支える7本のビア(柱)は老朽化が進んでいる。現時点で問題はないが、今後も安定的に利用するため改修を決めた。

 今後ゲートの形状、ピアの構造などを検討し、設計などを経て、24年頃の着工を目指す。ゲートは門が垂直に開閉する現在の「ローラーゲート」から、扇形に開閉して構造がコンパクトな「ラジアルゲート」への形状変更を視野に入れている。

 同時に、水が放流される直下の川底と両岸の浸食が進んでいるため、コンクリートプロックで保護するなどの大規模な護岸工事も実施する予定だ。

 工事は、水をためた状態でダムを使いながら行う。このため、冬場の水量が少ない時期を中心にゲートを1門ずつ改修する必要がある、ダム本体に10年、下流の工事で5年の計15年程度が見込まれる。

 前例のない大規模改修となるため、国土交通省などと技術的な協議をしながら進めることになる、県庁利水課は「時期が限られる上、水があるなど制約が多い。従って期間も長くなるし、難しい工事になりそうだ」と話している。

 ダムの運営費はこれまで、水力発電の電気を電力会社に売電している電気事業者(県)と水道事業者(県と横浜、川崎、横須賀の3市)が負担してきた。改修についても関係者で費用を調整する、約200億円と概算される総工費について二見研一企業庁長は県議会で「負担は十分調整するが、主体となる電気事業で必要な内部留保資金を蓄えている。財源の面で大きな問題はない」と説明している。

◆相模ダム 重力式コンクリートダム、高さ58・4メートル、堤頂部の長さ196メートル、貯水量6 3 2 0万立方メートル、県内の上水道水源の約17%を構成、現在、城山、宮ケ瀬の両ダムと導水路で結び、3ダムー体とした総合運用で水資源の有効活用を図っている。