八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ッ場ダム、土地収用へ事業申請

 ★水没予定地に暮らす住民から土地を強制的に収用することが可能となる事業認定についての意見を国交省と群馬県が受け付けています。4月27日消印有効です。
 https://yamba-net.org/wp/?p=10962

 国土交通省関東地方整備局が八ッ場ダムの事業用地の強制収用を視野に入れた事業認定の申請を行ったと発表しました。(以下参照)

◆国土交通省関東地方整備局のホームページより
 http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/yanba_00000047.html
 記者発表資料 一級河川利根川水系八ッ場ダム建設工事の事業認定の申請 
 平成27年 04月10日 国土交通省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所

 今般、一級河川利根川水系八ッ場ダム建設工事において、事業認定申請に必要な準備が整ったことから、本日、申請を行いましたのでお知らせします。
 なお、事業認定申請に必要な事業説明会を平成27年1月24日に行ったところです。

~~~転載終わり~~~

★八ッ場ダムの事業認定申請についての解説は、以下のページに掲載しています。
 https://yamba-net.org/wp/?p=10945

ダムサイト右岸 (7)s 国交省関東地方整備局は八ッ場ダムの本体工事を今年1月22日、吾妻渓谷の左岸における発破作業の開始によって始めたとしています。同局が公表している本体工事のスケジュールによれば、基礎掘削を来年(2016年)5月までに終え、コンクリート打設などを経て2018年9月以降に試験湛水を開始する予定です。
 実際には、本体準備工事が梅雨の増水や入札不調で遅れた影響で、すでに本体右岸の基礎掘削工事の開始が予定より大幅に遅れることが明らかになっており、試験湛水が予定通りに開始されるかは不透明です。
(写真右=吾妻渓谷右岸、川原湯地区。本体準備工事として行われる筈だった「ダム本体右岸天端以上の掘削工」が現在行われている。自然林が伐採され、名勝・吾妻渓谷の地形は改変されつつある。3/28撮影)

 しかし、スケジュール通りであれば、水没予定地の地権者との契約は試験湛水の三年前、つまり2015年(今年)に行う必要があります。地権者との契約後、移転まで二年間の猶予があり、さらに発掘調査が必要な場合もあるからです。
 梅林とスイセンs 
 以下の報道によれば、国交省関東地方整備局は今回の申請について、「地権者との話し合いで用地を取得することを第一に考えているが、地権者の分からない用地もあるため、事業認定の申請を行った」と説明しているとのことで、表面的には地権者に配慮しているように受け取れます。
 しかし、昨年11月には住民の生活道路であった吾妻川沿いの国道を封鎖し、行政関係者や工事業者に発行している通行証を住民には発行しないままであり、残された住民に圧力を加えて追い出しにかかっているというのが実態です。今回の申請手続きも、強制収用をちらつかせた圧力の一環と考えられます。
(写真右=水没予定地の川原畑地区では梅や水仙が春を告げている。4/4撮影)
 
 住民の移転代替地として国が造成している土地では、有害スラグや地すべり等の問題が山積しています。これらの問題を解決しないまま、本体工事を進め、住民の人権を蹂躙するダム事業は、はたして「公共事業」の名に値するのでしょうか。

◆2015年4月11日 朝日新聞群馬版 (タイトルは紙面記事より転載)
http://digital.asahi.com/articles/ASH4B4QNSH4BUHNB00C.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH4B4QNSH4BUHNB00C

ー八ッ場、事業認定申請 認定なら強制収用可能ー

 国土交通省は10日、八ッ場ダム(長野原町)建設事業について、土地収用法に基づく事業認定を国土交通省に申請した。残る未取得地の取得手続きの一環で、認められれば、所有者の同意なしで強制的に土地を取得することが可能となる。

 国交省八ッ場ダム工事事務所によると、3月末までに、水没予定地を含む計画予定地約301㌶のうち、93%にあたる約281㌶を取得した。10日に提出した申請書では、予定地にある290戸のうち、284戸が移転済みとしている。残る土地は、所有者が買収に応じていないもののほか、所有者の所在が分からず買収交渉ができない場合も含んでいるという。

 国交省はダム本体工事を今年1月に着工した。18年9月にかけて本体や水門設備を造った上で、18年9月以降に試験的に水をためる計画だ。ただ、すべての土地を取得できていなければ水をためられない。
 このため、工事と並行して土地収用法に基づき、未買収地の強制収用に向けた手続きに入った。事業認定を国交相に申請し、公共性が高い事業と認定されれば、県収用委員会の審理と補償金の支払いを経て強制収用が可能になる。申請に必要な事業説明会を1月24日に長野原町で開いていた。

 工事事務所は「いまも住んでいる方には丁寧に説明し、用地取得に向け交渉を進めたい」としている。
 国交省の申請を受けて、川原畑地区の水没予定地に住む高山彰さん(61)は10日、「ダムに反対しているわけではないが、生まれ育ったふるさとは納得して離れたい」と話した。高台の代替地への移転を検討しているが、国交省との協議は進んでいない。「代替地の安全性について説明を求めているが、きちんとした回答がない。その中で土地収用の手続きだけ勧めるのは納得できない」と語った。(井上怜)

◆2015年4月11日 読売新聞群馬版

ー強制取得へ事業認定申請 八ッ場ダム 工事事務所、国交相にー

 国土交通省八ッ場ダム工事事務所は10日、八ッ場ダム(長野原町)の水没予定地にある未取得地の強制的取得を可能にするため、土地収用法に基づく事業認定を太田国土交通相に申請したと発表した。
 同事務所によると、3月末までに水没予定地の93%の用地を取得。残る7%の取得を加速させるため、事業認定を申請した。一部の土地所有者と連絡が取れないうえ、移転先が決まらないなどの理由で水没予定地に6戸が住んでいるという。

 現在も川原湯地区の水没予定地に住む元町議会議長の冨沢吉太郎さん(74)は「まだ移転先の造成もできていない。申請は早いのではないか」と話している。
 申請書は一定期間、長野原町役場で縦覧でき、縦覧期間内に利害関係者が事業者に意見を述べる「公聴会」の開催を申請できる。
 縦覧期間が終了し、国土交通大臣が「高い公益性があり、土地の適正、合理的な利用に寄与する」と判断した場合、官報に告示。その後、補償額を見積もるための土地と物件の調査が行われ、県収用委員会の裁決などを経て、土地の権利取得と明け渡し、所有者への補償金の支払いが行われる。

 -初の本体工事見学会 住民向け 25人が参加ー
 八ッ場ダム(長野原町)の本体工事現場の住民向け見学会が10日、初めて行われ、住民25人が参加した。
 ダムサイトでは、国土交通省八ッ場ダム工事事務所の職員から本体建設に適した岩盤を露出させる掘削作業や、ダムが完成する位置などについて説明を受けた。東吾妻町にあるコンクリート材料の製造プラントでは、採掘された岩石を細かくする作業工程について説明された。
 見学した川原湯温泉街で旅館「山木館」を営む樋田洋二さん(68)は「図面では何度も見たが、実際に見たのは初めて。工事が着実に進んでいるという実感が湧いた」と話していた。

◆2015年4月11日 上毛新聞  (ネット記事は紙面記事の冒頭です。)
http://www.jomo-news.co.jp/ns/4414287125383913/news.html
ー八ッ場 強制収用へ申請 国交省関東地方整備局 事業認定で用地取得ー

 八ッ場ダム(長野原町)建設事業をめぐり国土交通省関東地方整備局は10日、主に地権者が不明な水没予定地を取得するため、強制収用を可能にする土地収用法に基づく事業認定を国交相に申請した。
 事業が認定され次第、強制収用の対象となる土地への立ち入り調査などを経て、県収用委員会に申し立てる見通し。

 国による水没予定地の取得率は、3月末時点は約93%(面積ベース)で、昨年12月末時点から1ポイント上昇した。ただ、未取得の土地には地権者が不明な場所が残り、予定地すべてを任意で取得するのは難しい状況という。事業認定は主にこうした土地を取得するための措置で、交渉中之地権者とはできる限り話し合う。
 国交省は1月、事業認定の申請に向けて地元住民らへの説明会を行ったが、参加者からは「唐突すぎる」などと不満の声が上がっていた。

 事業認定の告示後は県収用委員会の権利取得や明け渡しの採決などを経て、用地を取得する流れ。ダムへの「試験湛水」までには土地取得を完了させる。

ー住民が工事状況 実感 八ッ場ダムー

 八ッ場ダムの水没地区、長野原町川原湯地区の住民25人が10日、ダムの本体建設工事現場で開かれた見学会に参加した。2018年5月には高さ116㍍の堤体が姿を現す見通しで、完成に向けて作業が進む現場を確認した。
 参加者は専用のバスで現場へ移動。本体工事の際に川の水を迂回させるせきやダムサイト左岸上部の掘削状況、ダム本体のコンクリート用骨材製造設備の敷地造成の様子を見学した。
 代替地で温泉旅館を営む樋田洋二さん(68)は「図面の上で想像していたが、(実際に現場を見て)工事が動いていることを実感できた」と話していた。
 見学会は、八ッ場ダム周辺の地元住民に本体工事の状況を知ってもらおうと、国土交通省八ッ場ダム工事事務所が主催した。

◆2015年4月11日 東京新聞社会面

ー強制収用可能に「八ッ場」で申請 国交省ー

 群馬県長野原町の八ッ場ダムをめぐり、国土交通省は十曰、強制収用を可能とする土地収用法に基づいた事業認定を国交相に申請したと発表した。国交省はダム完成に向け、所在不明の地権者が多数いる共有地の取得を目指す。
 事業が認定され次第、強制収用の対象となる土地ヘの立ち入り調査などを経て、群馬県収用委員会に申立てる見通し。

 国交省によると、三月末までに事業に必要な土地の約93%を取得した。連絡の取れる地権者の土地については、引き続き任意取得を進める。

 国交省は一月、事業認定の申請に向けて地元住民らへの説明会を行つたが、参加者からは「唐突すぎる」などと不満の声が上がっていた。
 八ッ場ダムは利根川支流の吾妻川に建設する多目的ダム。民主党政権下で一時凍結されるなどしたが、国交省は一月、本体工事に着手した。

◆2015年4月11日 毎日新聞群馬版
ー八ッ場ダム:強制収用へ手続き 工事で国交省 /群馬ー

 国土交通省関東地方整備局は10日、長野原町に建設中の八ッ場ダムの工事について、土地収用法に基づく事業認定の申請をしたと発表した。既に用地の9割以上を買収しているが、「地権者が所在不明のケースもある」として、強制収用が可能となる土地収用法の適用に向けた手続きを始めた。1月24日には法律で義務づけられた事業説明会を長野原町で開いたが、約300人に説明会開催を通知したのに対し、出席者は約60人にとどまっていた。【角田直哉】
 

◆2015年4月10日 NHK前橋支局
 http://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/1066818931.html?t=1428671270097
ー八ッ場ダム土地収用へ事業申請ー

 本格的な工事が始まっている群馬県の八ッ場ダムについて、工事を管理する国土交通省関東地方整備局は、建設予定地のうち用地の取得が済んでいない土地の強制的な収用も可能になる手続きを行うため、「事業認定」の申請を国土交通大臣に行いました。

 群馬県長野原町で、ことし1月から本格的な工事が始まっている八ッ場ダムは、ダムの建設に伴って水没するおよそ93%の土地の取得が終わっています。
 しかし、残り7%の土地については、地権者の行方が分からなかったり、交渉が進まなかったりして、取得できていません。
 こうした土地について、工事を管理する国土交通省関東地方整備局は強制的な収用も可能になる手続きに必要な「事業認定」の申請を国土交通大臣に行いました。
 この「事業認定」は、公共性の高い事業を行うために土地を強制的に収用できるとする「土地収用法」を進めるに必要な手続きで、国土交通大臣の認定を受ければ、群馬県の収用委員会の審理などを経て、土地の明け渡しと地権者への補償金の支払いが行われるということです。
 関東地方整備局は「地権者との話し合いで用地を取得することを第一に考えているが、地権者の分からない用地もあるため、事業認定の申請を行った」と話しています。

◆2015年4月10日 産経新聞
 http://www.sankei.com/politics/news/150410/plt1504100033-n1.html
ー八ツ場ダムで土地強制収用へ 国交省が事業申請ー

 群馬県長野原町の八ツ場ダムをめぐり、国土交通省は10日、強制収用を可能とする土地収用法に基づいた事業認定を国交相に申請したと発表した。国交省はダム完成に向け、所在不明の地権者が多数いる共有地の取得を目指す。

 事業が認定され次第、強制収用の対象となる土地への立ち入り調査などを経て、群馬県収用委員会に申し立てる見通し。

 国交省によると、3月末までに事業に必要な土地の約93%を取得した。連絡の取れる地権者の土地については、引き続き任意取得を進める。

 国交省は1月、事業認定の申請に向けて地元住民らへの説明会を行った。

 八ツ場ダムは利根川支流の吾妻川に建設する多目的ダム。民主党政権下で一時凍結されるなどしたが、国交省は1月、本体工事に着手した。総事業費は約4600億円で2019年度に事業完了の予定。

 写真下=水没予定地の旧川原湯温泉駅周辺。駅舎が解体され、駅前の梅も桜もなくなっている。重機がホームの土手を崩している。駅跡の右側に旧国道が走り、ホー左側には、ダム本体工事が行われる吾妻渓谷の方角に工事用道路がのびている。吾妻川沿いの渓畔林は枝先が淡緑やえび茶色に染まり始めているが、ダム湛水前にはこれらの木々も伐採される。(八ッ場大橋より、4/8撮影)
駅周辺s

 写真下=旧川原湯温泉駅の上流側。草津方面と路面に書かれた旧国道は昨年11月に一般供用が廃止され、通行証を支給された車両しか通行できない。左側に、通行止めとなっている川原湯温泉街の坂道。新たな工事用道路が廃線になったJR吾妻線の線路をまたいで造られている(八ッ場大橋より4/8撮影)
下湯原の旧国道と迂回路s

 写真下=地すべりの兆候が見られる付替え国道の法面ではボーリング調査が行われている。(川原畑地区の代替地、吾妻渓谷の茂四郎トンネル出口付近。4/4撮影)
のり面でボーリング調査 (2)s