八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

樹木の伐採が進む八ッ場ダム水没予定地

 岐阜県の徳山ダム(多目的ダムとしては日本最大のダム)の水没予定地にかつてあった「友だちの木」を知っていますか?

 キャプチャ 樹齢300年の大きな楢の老木。
 旧徳山に住んでいた今は亡き増山さんという女性が悩んだ時や相談したいことがあるといつも話しかけていて、水没予定地から村人が引っ越しをし、誰もいなくなった後、自ら「死」を選んだという木。
(写真右=友だちの木 「増山たづこ すべて写真になる日まで」より 
http://miharu.pro.tok2.com/201308masuyamaten/masuyamaten.pdf

  増山さんは「友だちの木」のことをこんなふうに言っていました。
 「あの木は自殺したんだと思います。私はいつも木に向かって
《あなたはこんなに元気なのに、生きながらにして水没するなんて可哀想。私も辛い。》と言っていました。だから、あの木はダムに沈む前に枯死した方が私に与える悲しみが少ないと思ったのでしょう。都会の人には分からないと思いますが、木というのは人間の話を静かに聞いているんです・・・。」

 今日、八ッ場ダムの水没予定地のこの木が枯れていたのを見て、ふとこの話を思い出しました。雪のせいもあるかもしれませんが、枝が折れて元気がなくなった木を今日は多く見たような気がします。(2016年2月13日撮影)

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 八ッ場ダム予定地では今年になって樹木の伐採が進んでいます。
 JR川原湯温泉の新駅の脇にある跨線橋を渡り、駅のプラットフォームと並行して走っている町道を通って坂を下っていくと、上湯原の水没予定地が眼下に開けます。ここでも雪の中、伐採作業が行われています。
 12月に一旦は終了した遺跡の発掘調査が春になるとまた再開されます。ダム事業による発掘調査は期間が限られている上、八ッ場ダムの場合は水没予定地全域が1783年の浅間山大噴火による天明泥流に覆われた遺跡として発掘調査の対象であるため、調査を休止している冬のうちに広範囲に残されている発掘調査の準備をしておかなければ間に合わないのでしょう。

 無理な樹木の伐採というのはあまり気持ちのいい写真ではありませんが臭いものに蓋をするのも嫌なのでやはり掲載しておきます。
 上湯原の水没予定地にて2/13撮影。
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 下の写真は上湯原の対岸にある川原畑地区の水没予定地にて2/13撮影。ダム湖ができると湖面橋となる八ッ場大橋が背後に見えます。ダム湖が満水の時には、この橋げたの近くまで水が溜まる予定です。
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 川原畑地区の水没予定地では、本体工事に使う骨材を吾妻渓谷に運搬するためのベルトコンベヤーの設置も進められています。2/13撮影
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