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国交省、鉄鋼スラグに関する調査の中間報告

 八ッ場ダム湖予定地周辺で造成中の住民の移転代替地に有害な鉄鋼スラグが使用された問題は、毎日新聞による8月5日のスクープを受けて、国交省関東地方整備局が9月18日より調査を始めました。
 このほど、国交省関東地方整備局は中間報告を発表し、発表資料をホームページに掲載しましたので、お知らせします。

 平成26年10月27日(月) 記者発表資料
 「鉄鋼スラグに関する調査の中間とりまとめについて」
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000112011.pdf

 (上記より一部抜粋)
 このたび、大同特殊鋼(株)渋川工場への聞き取りを実施するとともに、同社が鉄鋼スラグの出荷を平成3年度から開始したことが判明したことから、平成3年度以降に施工した群馬県内の直轄工事のうち、鉄鋼スラグの混入の可能性がある材料が、現無を判定するための調査を実施しましたのでお知らせします。
(中略)

2.今回の調査結果について

■ 大同特殊鋼(株)渋川工場に対する聞き取り調査により、関東地方整備局が施工した47工事の施工箇所(別添1、2)に対し鉄鋼スラグを出荷した記録があることが判明。

■  同聞き取り調査によると、出荷先不明の鉄鋼スラグも存在するとのことから、大同特殊鋼(株)渋川工場が鉄鋼スラグの出荷を開始した平成3年度以降に施工した群馬県内の直轄工事、約3,800工事のうち、鉄鋼スラグの混入の可能性がある材料が、現時点で露出した状態となっている92工事の施工箇所において、鉄鋼スラグと類似する材料の有無を判定するための調査を実施。

■ 鉄鋼スラグと類似する材料の有無を判定するための調査を行った92工事の施工箇所のうち、26工事の施工箇所において鉄鋼スラグと類似する材料を確認。なお、26工事のうち、17工事の施工箇所は、大同特殊鋼(株)渋川工場への聞き取り調査により鉄鋼スラグを出荷した記録があることが判明した47工事の施工箇所と重複。

3.今後の対応
 鉄鋼スラグを出荷した記録があることが判明した47工事の施工箇所および鉄鋼スラグと類似する材料の混入が認められた9工事の施工箇所(鉄鋼スラグと類似する材料の混入が認められた26工事の施工箇所のうち、鉄鋼スラグを出荷した記録があることが判明した47工事の施工箇所と重複している17工事の施工箇所を差し引いたもの)を合わせた56工事の施工箇所については、群馬県環境森林部からの助言等を踏まえ、有害物質の含有量等について、分析試験等を実施することとしております。
その結果については、調査結果がまとまった後にお知らせします。

 また、大同特殊鋼(株)渋川工場から出荷された鉄鋼スラグに関する課題について、国、県及び関係市町村等が一体となって取り組むことを目的として、相互に情報共有等を図り、連携して対応等を行うため、連絡会議を設置することにしました。
連絡会議については、開催に向け、準備を進めています。

 —転載終わり—

 この中間報告に関しては、記者発表の前日に毎日新聞が予告記事を掲載しています。
 ◆2014年10月26日 毎日新聞
 「八ッ場ダム:代替地や国道、20カ所余にスラグ」
 https://yamba-net.org/wp/?p=9259

 また、記者発表当日の夜も新たな記事が出ています。

 ◆2014年10月27日 毎日新聞
 「鉄鋼スラグ:群馬県内、新たに30カ所…国交省把握せず」
http://mainichi.jp/select/news/20141028k0000m040079000c.html

 八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の移転代替地などに有害物質を含む建設資材「鉄鋼スラグ」が使われていた問題で、国土交通省は27日、群馬県内で発注した92工事のうち26工事でスラグとみられる砕石を確認したとする中間調査結果を公表した。スラグを排出した大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)に国交省が確認したところ、別に30工事でスラグの出荷記録があった。計56工事については今後、有害物質の含有量などを分析する。

 国交省によると、26工事のうち八ッ場ダム関連は10工事で、仮設道路や農道、資材置き場などで使われ、このうち5工事は深さ50センチの土中からも見つかった。残る16工事は前橋市や渋川市の国道17号バイパス関連で、道路の土台部に当たる「路床」などに使用。このうち9工事では深さ数メートルにわたり使われていた。26工事はいずれもスラグの使用許可を受けていなかった。

 調査と並行して大同にスラグの出荷記録を提出させたところ、国交省が把握していない47工事でスラグの出荷記録があり、このうち17工事は今回の調査で判明した26工事に含まれていた。重複分を除く30工事のうち八ッ場ダム関連は9工事、国道17号関連は21工事だった。【杉本修作】

◆2014年10月28日 朝日新聞
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11425170.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11425170
ー八ツ場関連現場、「鉄鋼スラグ」か 国交省、有害物質調査へー

 国土交通省は27日、八ツ場ダム(群馬県長野原町)の関連工事など群馬県内の工事現場26カ所で、有害物質を含む可能性がある「鉄鋼スラグ」とみられる物質を確認した、と発表した。今後、フッ素など有害物質の有無を調べる。天然砕石のみを使う契約だった工事にも該当例があるという。

 鉄鋼スラグは鉄の製造過程で出る、石灰を多く含む物質で、砂利のような形をしている。安全が確認されたものは路盤材や、盛り土に交ぜるなどして使われている。大同特殊鋼(本社・名古屋市)の渋川工場(群馬県渋川市)が出荷し、群馬県内の工事で使われた鉄鋼スラグの一部から、基準値を超える六価クロムやフッ素が検出されたため、調査を進めてきた。

 国交省は、この26カ所と出荷記録が残る別の30カ所の計56カ所について、有害物質含有の有無を調べる。

■2014年10月28日 上毛新聞
ー56工事でスラグ使用の可能性 91年度以降の国直轄 関東地方整備局調査ー

 鉄鋼メーカー、大同特殊鋼渋川工場(渋川市)のスラグ問題で、国土交通省関東地方整備局は27日、県内の1991年度以降の国直轄約3800工事のうち、56工事でスラグが使われていた可能性がある、との調査結果を発表した。

 56工事には、環境基準への適合を示す品質規格証明書が付いていなかった。同局は今後、分析試験で有害物質の含有量などを詳しく調べることにしている。

 同局によると、同工場は91年度以降にスラグを出荷していた。56工事のうち47工事は同工場への聞き取り調査などで判明。残る⑨工事は、現時点で露出している工事現場からスラグに類似する物体を採取するなどして確認した。場所は八ッ場ダムや国道17号上部道路の建設現場などだった。

 56工事のうち26工事は、スラグとみられる物質が露出していたという。同局は県や渋川市などと連携会議を立ち上げ、情報共有を進めることにした。

◆2014年10月28日 毎日新聞群馬版
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20141028ddlk10010187000c.html
ー八ッ場ダム建設:26カ所に鉄鋼スラグ 国交省が中間調査結果発表 /群馬ー

 長野原町の八ッ場ダムの移転代替地などに有害物質を含む「鉄鋼スラグ」が使用されていた問題で、27日に国土交通省が発表した中間調査結果では、県内26カ所の工事で鉄鋼スラグとみられる材料が確認された。

 スラグを排出した大同特殊鋼渋川工場への聞き取り調査では、47カ所でスラグ出荷記録があることが判明。うち17カ所が材料が確認された場所と重複していた。

 スラグとみられる材料が確認されたのは、八ッ場ダム建設予定地周辺と、前橋市や渋川市などの国道17号上武道路、前橋渋川バイパスの工事だった。国交省が発表した現場は表の通り。(カッコ内は契約年度)【角田直哉】

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 ◆鉄鋼スラグとみられる材料が確認された工事

 ◇八ッ場ダム建設予定地周辺

 長野原(久々戸)地区防災ダム工事(98)

※下田残土置場整備工事(98)

※下田仮設道路工事(99)

 八ッ場ダム管内維持工事(00)

※付替国道145号(中村地区)改良工事(08)

 大沢地区代替地整備工事(09)

 三島地区町道付替他工事(10)

※大沢地区代替地他整備工事(11)

※上湯原地区代替地他整備工事(12)

※温井沢流路工外工事(13)

 ◇上武道路前橋渋川バイパス周辺

 富田改良その8工事(04)

※田口改良その4工事(08)

※藤沢川橋下部他工事(08)

※関根漆原舗装工事(08)

 半田舗装その2工事(09)

※上細井地区改良その3工事(10)

※小神明地区他改良工事(10)

 五代地区改良工事(10)

※鳥取地区舗装工事(10)

※上細井地区舗装工事(10)

※上細井地区改良舗装工事(11)

 小神明上細井舗装工事(11)

※上武道路上細井改良工事(12)

※上武道路関根改良他函渠工事(13)

 上武道路日輪寺改良工事(13)

※上武道路田口改良工事(13)

 (※は大同特殊鋼が鉄鋼スラグを出荷した記録もある工事)

◆2014年10月28日 朝日新聞群馬版

ー鉄鋼スラグ問題 来月に連絡会議 国交省や県ー

 大同特殊鋼渋川工場(渋川市)が排出し、県内の工事現場で建材として使われた鉄鋼スラグの一部から有害物質が検出された問題を受け、国土交通省は27日、スラグを使った工事の状況などの情報共有のため、県や関係市町村との連絡会議を設けると発表した。同省や県は第一回会議を11月に開く準備を進めている。

 国交省は同日、県内の工事現場26カ所で、スラグとみられる物質が確認されたと発表し、有害物質含有の有無を調べる方針を示した。うち9カ所は工場からの出荷記録がなく、使われた経緯なども調べる。

 国交省関東地方整備局によると、今回の調査は、渋川工場がスラグの出荷を始めた1991年度以降に施工した県内の直轄工事約3800カ所のうち、92か所で実施した。スラグとみられる物質を確認した26カ所には国道17号バイパス(上武道路)や、八ッ場ダム(長野原町)関連事業の工事現場が含まれている。

—転載終わり—

 国交省関東地方整備局は、中間報告後の結果として、同様の記者発表を12月26日に行っています。

 「鉄鋼スラグに関する材料の分析試験結果について」
 http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000614913.pdf