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投稿日時: 2012-05-17 (40 ヒット)

 政権交代後、自民党県議らの要請によって設置された群馬県議会の八ッ場ダム対策特別委員会がこのほど廃止されることになりました。
 自民党県議らは八ッ場ダム対策特別委員会で民主党政権による八ッ場ダムの中止方針を批判し、八ッ場ダムの必要性を強調してきました。しかし一方で、八ッ場ダムに反対する県議らは八ッ場ダムの不用性、危険性、行政によるデータの捏造、隠蔽などを追求し、国交省から出向している八ッ場ダム担当の県土整備部長らが答えをはぐらかしたり、国交省の意見をそのまま繰り返してお茶を濁す場面がしばしば見られました。
 八ッ場ダムの継続を求めてきた自民党県議らは、昨年の暮れに政府が八ッ場ダムの中止方針を撤回したことから所期の目的を達したとして、委員会の廃止を検討してきました。
 八ッ場ダム対策特別委員会は、5名限定で傍聴を認めていましたが、議事録は公開されていません。
 今後、群馬県議会における八ッ場ダム問題の議論は、政権交代前と同様、県土整備常任委員会で行われることになります。

 関連記事を転載します。

◆2012年5月17日 朝日新聞群馬版
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000581205170001

 ー八ツ場特別委、廃止する方針ー

 県議会は八ツ場ダム対策特別委員会を廃止する方針を固めた。16日の委員会でまとめた委員長報告を25日開会の定例議会で行い、活動を終える。

 民主党政権が打ち出した建設中止に対抗する形で2009年10月に設置されたが、県議会は、昨年末の建設継続決定で役割を終えたと判断した。

 同特別委は県外のダム事業の調査などを行い、建設継続などを求める意見書を繰り返し、発議してきた。今後、八ツ場ダム関連の議論は主に産経土木常任委員会に引き継がれる。

 関東地方整備局によると3月末時点で用地の88%は買収済みで、移転対象の世帯の92%が移転した。

 ただ、建設再開の条件の一つの「利根川水系河川整備計画」策定については、同特別委による4月下旬の調査の際も、整備局側は「進め方を検討している」などと述べるにとどまっている。


投稿日時: 2012-05-16 (134 ヒット)

2012年5月16日

 このほど再結成された利根川流域市民委員会が本日、前田国交大臣、下保国交省関東地方整備局長に「利根川水系河川整備計画の民主的な策定を求める要請書」を提出しました。
 大型公共事業の推進による利権の温存から、真に流域住民の命と暮らしを守る河川行政への転換を求めている利根川流域市民委員会には、今日現在、33の市民団体が参加しており、八ッ場あしたの会も参加団体の一つです。
 八ッ場ダム事業を組み込んだ利根川の河川整備計画の策定は、八ッ場ダム本体着工の条件とされており、河川整備計画の策定作業がどのようなプロセスで進められるか、大いに注目されるところです。

 利根川流域市民委員会再結成の経緯
 http://yamba-net.org/modules/news/index.php?page=article&storyid=1626
 
 利根川流域市民委員会のこれまでの活動
 http://yamba-net.org/modules/genjou/index.php?content_id=2

 本日提出された要請書を転載します。
 要請書の末尾に、賛同団体のリストがあります。

 ~~~
 2012年5月16日

 国土交通大臣 前田武志 様
 国土交通省関東地方整備局長 下保 修 様

        利根川水系河川整備計画の民主的な策定を求める要請

 利根川流域市民委員会 共同代表 
 佐野郷美(利根川江戸川流域ネットワーク)
 嶋津暉之(水源開発問題全国連絡会)
 浜田篤信(霞ヶ浦導水事業を考える県民会議) 
       
 連絡先 事務局(深澤洋子)TEL&FAX 042-341-7524

                      
 国土交通省関東地方整備局で策定を予定している利根川水系河川整備計画は、河川法改正の本旨に立ち返ってゼロベースから民主的な策定作業を進めるよう、下記のとおり、要請いたします。

(1) 関係住民の意見を反映させる方法の確立

① 2006年12月に関東地方整備局が言明した「整備計画原案を示し、有識者会議、関係住民等の意見をきいて整備計画修正案をつくり、それを何回か実施して計画をつくる。」【参考1】の約束を守り、関係住民の意見聴取を1回限りで終わらせることなく、繰り返し実施すること。

② 1997年河川法改正の国会答弁【参考2】「(関係住民の意見を)言いっ放し、聞きっ放しというのでは全く意味がない」、「まさにその河川整備計画に関係住民の皆さん方の意向が反映をしていくというふうに考えております。」に沿って、関係住民の意見を確実に反映できる方法を実施すること。

③ 具体的には、淀川水系流域委員会の提言により実施された「公聴会を円卓方式の『対話集会』【参考3】とし、河川管理者と流域住民などとが公開で討議、討論を行う」方式を実施すること。

④ 関係住民の合理的な意見を反映するにあたり、1997年河川法改正の国会答弁【参考4】「住民の皆さんの御意見、地方の御意見が反映できるように、そういう形で整備計画の案の段階でお諮りをして議論をいただく」「基本方針で定めた中ではこの整備計画がどうしてもできないということになれば、またこの基本方針のあり方についても再度検討をする」を尊重し、河川整備基本方針に縛られずに検討すること。

(2) 利根川の有識者会議の民主的な委員選定と運営

淀川水系流域委員会の方式【参考5】を基本として、利根川の五つの有識者会議について次の改善を求める。
① 現在の有識者会議の委員は、専ら関東地方整備局が選定したものであり、ダム事業の推進を求める委員が多数を占め、きわめて偏った構成になっているので、改めて民主的に委員を選定し直し、ダム事業に反対の意見又は懐疑的な意見を持つ委員が半数を占め、公正な審議を行えるようにすること。

② 特に五つの有識者会議の中で最大の利根川江戸川有識者会議の座長は、ダム推進論者として国交省の広報などでしばしば自説を主張してきており、公平な審議を進めるうえで相応しくないので、人選をし直すこと。

③ 有識者会議は全面的に公開し、一般市民の傍聴を自由とすること。別室でモニター傍聴というような傍聴者を隔離する方式ではなく、同じ会議室で直接傍聴できる方式とすること。

④ 淀川流域委員会に倣って、傍聴者が意見書を提出し、意見を述べることができるようにすること。

⑤ 有識者会議の事務局は、河川管理者と一線を画し、委員の意思を積極的に支援する中立的立場で民間団体が行うこと。

(3)ゼロからの河川整備計画の策定作業

2006年~08年当時の策定作業開始時に示された利根川水系河川整備計画のメニューと、八ッ場ダム事業の検証で前提とした整備計画の枠組みは大きく変わっている。【参考6】
2007年2~3月の公聴会およびパブコメは当時のメニューに対して行われたものであり、その内容が大きく変わっているのであるから、当時の公聴会、パブコメも一から仕切り直す必要がある。
以上のことを踏まえ、利根川水系河川整備計画の策定作業をゼロからスタートさせること。  以上


 参考資料

【参考1】 利根川水系河川整備計画の策定について関東地方整備局が言明したこと

 関東地方整備局は第2回利根川・江戸川有識者会議で下記の議事録のとおり、有識者会議、関係住民等の意見を繰り返し聞いて整備計画をつくることを言明した。

 第2回利根川・江戸川有識者会議(2006年12月18日)の議事録(4~5ページ)
「事務局:髙橋河川計画課長
それから、河川整備計画の原案をそういった意見を踏まえてつくらせていただこうと思っておりまして、また、その河川整備計画の原案につきましては、全体の意見を取りまとめて整理させていただいた上で、その後の有識者会議になろうかと思いますが、そこの段階でお示しさせていただければと思っております。その段階におきまして、また関係住民の方々にもインターネット等での意見募集、それから公聴会、そういったものを開かせていただいて、再度意見をいただいて、また、その整備計画の原案を修正させていただく。で、また修正したものにつきましても、再度ご提示させていただいて、また学識の先生方、それから関係住民の方々からご意見をいただくと、そういったことを何回か実施させていただきまして河川整備の案を取りまとめていきたいと思っております。」 


【参考2】 河川整備計画策定への関係住民の意見反映は国会の質疑で約束されたこと

 1997年の河川法改正に当たり、関係住民の意見反映について当時の尾田栄章河川局長は下記の議事録のとおり、国会の質疑で「河川管理者は河川整備計画に関係住民の意見を反映させる責務がある」と答弁した。

 「衆議院建設委員会-12号 平成09年5月9日
○尾田政府委員 先生御指摘のとおり、言いっ放し、聞きっ放しというのでは全く意味がないというふうに考えておりまして、具体の河川整備計画の案を策定する段階で、十二分に案を策定するために、案の案、原案の案、そういう意味では原案でございますが、これを御提示をいたしまして、それについて御意見をいただく、その上で必要なものについては修正をするという形で考えておりますので、まさにその河川整備計画に関係住民の皆さん方の意向が反映をしていくというふうに考えております。」


【参考3】 淀川水系河川整備計画の策定における住民参加

 淀川水系流域委員会は、1997年の河川法改正の本旨「河川整備計画への関係住民の意見反映」を具体化する方法を検討し、次の提言を行い、この提言に沿った取り組みがされてきた。

 淀川水系流域委員会「住民参加部会」の提言   2003年4月21日 
「河川管理者に対する河川整備計画策定時における一般意見の聴取反映方法について」
(2)対話集会もしくは対話討論会(ワークショップ等)の考え方
この公聴会は円卓方式の「対話集会」もしくは「対話討論会」とし、河川管理者と参加住民、住民組織、地域組織などとが委員会と同様に公開で討議、討論を行い、議事録などは全て公開されるべきである。


【参考4】 基本方針のあり方についても再度検するという国会答弁

 「衆議院建設委員会-12号 平成09年5月7日
○尾田政府委員(河川局長) そして、この河川整備基本方針に従いまして、ダムをどこにつくるか、どこに堤防をつくるか、そういう個別の事項につきましては、すべて河川整備計画の中で定めます。この河川整備計画については、まさに住民の皆さんの御意見、地方の御意見が反映できるように、そういう形で整備計画の案の段階でお諮りをして議論をいただくということを考えておるわけでございます。
 そういう意味合いで、基本方針で定めた中ではこの整備計画がどうしてもできないということになれば、またこの基本方針のあり方についても再度検討をする、そういう仕組みを考えておるわけでございまして、この河川整備基本方針に住民意見の反映の手続がないということをもって住民意見の反映がされていないという御批判は当たらないと私は考えておるところでございます。」


【参考5】 淀川水系流域委員会の民主的な委員選定と運営

 淀川水系流域委員会(学識経験者の意見を聴く場)は人選から運営まできわめて民主的に行われてきている。淀川水系流域委員会の設置に当たって、準備会議が設置され、その準備会議が下記のとおり、委員候補の選定を行うとともに、委員会の運営の方向性を示し、この答申にそって淀川水系流域委員会の運営が行われてきた。まもなく、第四次の淀川水系流域委員会が発足するが、この発足にあたって、委員候補推薦委員会が設置されて委員の人選が行われており、基本路線は引き継がれている。

 「淀川水系流域委員会のあり方について」答申  平成13年1月11日
淀川水系流域委員会準備会議
○淀川水系流域委員会委員候補の選定
・委員候補のリスト作成にあたって、準備会議委員や河川管理者の推薦に加え、公募を行った。
・学識経験者の範囲として、大学の教員、研究所の研究員といった従来型の範囲に加え、地域の特性に詳しい者を新たに加えた。
・改正河川法の趣旨を踏まえ、河川事業に関わる専門の範囲を従来よりも幅広くとらえ、治水、利水、環境の分野から選定した。
・広く国民的な議論を行うために、経済、法律を専門とする者、マスコミの経験者等も選定した。
○住民意見の聴取方針
・住民の意見が寄せられるのを待つだけではなく、河川利用の現場に赴くなどして、より積極的に意見を聴取することとする。
・多様な意見聴取方法を取り入れ、できるだけ、広範囲に多様な住民の意見を聴取することとする。
○庶務
・河川管理者と一線を画し、流域委員会委員の意思を積極的に支援する中立的立場で民間企業が行うこととする。


【参考6】 利根川水系河川整備計画の枠組みの大きな変更

 八ッ場ダムの検証で前提とした利根川水系河川整備計画の枠組みは、2006年11月からの策定作業で関東地方整備局が示した河川整備計画のメニューと大きく変わっている。
すなわち、関東地方整備局は八ッ場ダムの検証では、治水安全度を1/50洪水から1/70~1/80洪水に、目標流量を約15,000㎥/秒から17,000㎥/秒に、さらにダム等による洪水調節量を約2,000㎥/秒から3,000㎥/秒に引き上げた。このことによって、八ッ場ダムの治水面での必要度を高める枠組みがつくられた。
ア 2006~08年の策定作業で示された河川整備計画のメニュー(枠組み)
(流量は治水基準点の八斗島(群馬県伊勢崎市)の数字を示す。以下同じ)
  治水安全度 1/50
・目標流量          約15,000㎥/秒(当時の委託調査報告書に記載)
・河道対応流量          13,000㎥/秒(当時の局配布資料に記載)
・ダム等による洪水調節量   約2,000㎥/秒
    (洪水調節施設:既設ダム、八ッ場ダム、ダム事業再編※、烏川河道内調節池)
     ※ダム事業再編 : ① (八斗島に近い)下久保ダムの利水容量の一部を治水容量にし、その分、奥利根のダム群の利水容量を増やす。② 奥利根ダム群の奈良俣ダムと藤原ダムとの間で利水容量と治水容量を交換する。
    
イ 八ッ場ダムの検証で前提となった河川整備計画の枠組み
  治水安全度 1/70~1/80
・目標流量           17,000㎥/秒
・河道対応流量         14,000㎥/秒
・ダム等による洪水調節量   3,000㎥/秒
     (洪水調節施設:既設ダム、八ッ場ダム、ダム事業再編※※、烏川河道内調節池)
      ※※ダム事業再編 : アの当時のメニューと異なり、下久保ダムの容量振替がなくなり、②のみとなったため、ダム事業再編の治水効果はアよりかなり小さくなった。それにもかかわらず、ダム等による洪水調節量は逆に2,000㎥/秒から3,000㎥/秒に引き上げられている。

 利根川流域市民委員会 賛同団体一覧  2012.5.16現在 33団体(順不同)
 利根川・江戸川流域ネットワーク
 水源開発問題全国連絡会
 利根川の水と緑を守る取手連絡会 
 霞ヶ浦導水事業を考える県民会議 
 高崎の水を考える会
 八ッ場あしたの会 
 八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会 
 八ッ場ダムをストップさせる群馬の会
 八ッ場ダムをストップさせる千葉の会
 八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会 
 八ッ場ダムをストップさせる茨城の会
 八ッ場ダムをストップさせる東京の会
 ムダなダムをストップさせる栃木の会
 渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会 
 首都圏のダム問題を考える市民と議員の会
 霞ヶ浦・北浦をよくする市民連絡会議
 思川開発事業を考える流域の会
 ダム反対鹿沼市民協議会 
 栃木の水を守る連絡協議会
 千葉県自然保護連合 
 千葉の干潟を守る会
 藤川をきれいにする会
 市川緑の市民フォーラム 
 耕さない田んぼの会
 東京市民オンブズマン
 渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える 
 全水道関東地方本部
 水道事業を考える土浦市民の会 
 スーパー堤防問題を考える協議会
 スーパー堤防・街づくりを考える会 
 希望社会研究所
 那珂川ウォーターネットワーク鶴亀隊  
 アサザ基金


 関連記事を転載します。

◆2012年5月17日 上毛新聞

「河川整備計画は民主的な策定を」 市民団体が国交相に要望

 八ッ場ダム(長野原町)の本体着工条件の一つになっている利根川水系の河川整備計画策定について、市民団体の利根川流域市民委員会は16日、「計画の民主的な策定」を求める要請書を前田武志国土交通相宛てに提出した。計画策定に当たる有識者会議の委員が「ダム事業推進を求める委員が多数を占めている」と指摘し、委員の人選のやり直しや関係住民の意見聴取を繰り返し行うことを求めている。 


投稿日時: 2012-05-16 (165 ヒット)

2012年5月16日

 昨日、本HPの事務局だよりで、「 八ッ場ダムの事業費増額と工期延長を既定化する国交省」について、お伝えしました。↓
 http://yamba-net.org/modules/news/index.php?page=article&storyid=1637

 八ッ場ダムの事業費増額、工期延長は、ダムの基本計画の変更を必要とします。基本計画の変更には関係都県の了承が必要なのですが、国交省は関係都県が事業費増額と工期延長を認めない中で、5月10日、ホームページにこれらを既定路線とする文書を掲載しました。

 けれども国交省は、この件について関係都県の反発を受けたことから、ホームページの記述を修正せざるをえなくなりました。
 ↓
 国交省関東地方整備局のホームページ
 http://www.ktr.mlit.go.jp/shihon/shihon00000085.html
 平成24年度直轄事業の事業計画等(当初)[平成24年5月15日時点]
 事業計画の河川関係(ダム事業 多目的ダム建設事業 利根川八ッ場ダム)の欄のうち「全体事業費」及び「備考」((注)を含む)の記載を修正しました(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都)。

 以下の群馬県知事への文書では、4ページ目の表の八ッ場ダムの項目の記述が修正されました。
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000060943.pdf

 関係都県としては、国に唯々諾々とは従わないという立場を強調するための実績作りだったのでしょうが、八ッ場ダムは事業を継続する限り、事業費増額と工期延長が必至の情勢です。いずれ国交省は基本計画の変更を関係各都県に提示せざるをえず、関係都県も八ッ場ダム推進の立場である限り、これを了承せざるをえなくなるでしょう。
 国交省関東地方整備局が2010年から一年かけて実施してきた八ッ場ダムの検証作業では、関係都県の意見を聴く「検討の場」が幹事会だけで10回も開催され、関係都県からは再三、事業費増額、工期延長は認められないという意見が表明されました。↓
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000160.html

 しかし八ッ場ダムの検証は、共同事業者である国交省関東地方整備局と関係都県が事業の基本的な事項である事業費と工期で合意できずにいるという矛盾を解消しないまま、うやむやのうちに「継続妥当」という結論を導き出しました。御用学者らによる有識者会議も、無力な国交大臣をはじめとする民主党の政務三役も、このようにお粗末なダム検証にすら切り込めず、自民党政権と同様、官僚の言いなりになって矛盾を先送りにしました。
 ホームページの修正という今回の茶番劇は、矛盾に満ちた八ッ場ダム事業の一端を示しているにすぎません。八ッ場ダム計画が続く限り、国民の前で今回のような茶番劇が延々と繰り返されることでしょう。
 

◆2012年5月16日 上毛新聞一面

 ー八ッ場ダム 費用、工期を修正
   基本計画通りに 1都5県反発でー

 国土交通省関東地方整備局は15日、10日に公表した本年度の事業計画で4783億円とした八ッ場ダム(長野原町)の総事業費を基本計画通り4600億円に修正したと発表した。工期も2018年度までかかる可能性を示したが、基本計画の15年度に直した。共同事業者の1都5県は基本計画と異なる事業計画の提示に反発し、国が修正の要望に応じた格好だ。

 県は「正規の手続きもなく、修正は当然だ。基本計画通り早くダムを完成させてほしい」と強調した。
 同整備局は昨年度の検証結果を踏まえ、事業計画をいったんは示したが、「基本計画に基づく事業費とし、より適切な表記に改めた」と修正理由を説明した。
 国の対応に、八ッ場ダム建設反対派からは疑問の声が上がった。角倉邦良県議は修正について「国や1都5県は工期が延び、費用が増えることは分かっている。こんなのは茶番だ」と批判した。


◆2012年5月16日 朝日新聞社会面
http://www.asahi.com/politics/update/0516/TKY201205160239.html

 ー八ツ場「183億円増、3年延長」…指摘受け国交省修正ー

 昨年末に政府が建設再開を決めた八ツ場ダム(群馬県長野原町)について、国土交通省関東地方整備局が関係6都県に対し、基本計画よりも事業費が183億円増え、工期が3年延びる見通しを示す通知文書を10日付で送っていたことがわかった。

 群馬県の指摘を受けた整備局は15日、基本計画通りの事業費と工期に表記を修正した。

 文書は、整備局から今年度分の国の直轄事業の内容を知らせるためのもの。同ダムの基本計画では、事業費は4600億円、工期は2015年度までとなっているが、文書では事業費が4783億円に増額され、工期は18年度までとされていた。

 09年の民主党への政権交代後、政府が2年3カ月間再検証した際に出た見込みの数字だという。

 しかし、八ツ場ダムのように国や関係都県が事業費を負担し合う特定多目的ダムは、基本計画の変更に、関係都県の議会の議決を得ることが法的に必要だ。

 群馬県は、通知直後に「基本計画と全体事業費や工期が違う」と指摘。整備局は15日付で、基本計画通りの表記に直した。関係都県はこれまでも、基本計画通りの事業費と工期に抑えるよう国に求めていた。 (小林誠一)


◆2012年5月16日 共同ニュース
http://www.niigata-nippo.co.jp/world/politics/2012051601001814.html
http://kumanichi.com/news/kyodo/politics/201205/20120516010.shtml
http://www.oita-press.co.jp/worldPolitics/2012/05/2012051601001814.html

 ー国交省、計画上回る事業費を通知  群馬の八ツ場ダムー

 国土交通省関東地方整備局が、建設再開が決まった八ツ場ダム(群馬県)について、事業費が基本計画より183億円増え、工期も3年延びると見通した文書を10日付で群馬など関係6都県に送っていたことが16日、整備局への取材で分かった。

 特定多目的ダム法は、基本計画の変更には関係都道府県の議会の議決が必要としている。費用を負担する6都県に「計画と異なる」と指摘され、整備局は15日、基本計画に基づく事業費と工期に修正した文書を再通知した。

 整備局によると、文書は2012年度分の国直轄事業の内容を知らせるため送った。 (共同)


◆2012年5月17日 東京新聞群馬版
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20120517/CK2012051702000124.html

 ー八ッ場ダム 県指摘で国が修正ー

 国土交通省が十日に発表した本年度の直轄事業計画で、八ッ場(やんば)ダム(長野原町)の総事業費を、基本計画にある四千六百億円を百八十三億円上回る四千七百八十三億円などと示したところ、群馬を含む関係一都五県から「基本計画と違う」との指摘を受け、修正していたことが分かった。

 十六日の県議会八ッ場ダム対策特別委員会で、角倉邦良県議から経過の説明を求められ、清野哲哉県特定ダム対策課長が答えた。

 十日発表の直轄事業計画では、八ッ場ダムの総事業費を、地滑り対策などの追加費用を上乗せした四千七百八十三億円と表記。基本計画で二〇一五年度までとしている工期は一八年度までとしていた。

 いずれも昨年十一月に関東地方整備局がまとめた検証報告書の内容を反映させた。

 これに対し県などから「基本計画と異なる」との指摘が相次いだため、国交省は十五日付で基本計画通りに総事業費と工期を修正。ただ、今後の工程については「あらためて精査した上で示す」と変更の可能性を示唆した。

 角倉県議は「基本計画の工期の延長と事業費の増額は避けられない。本音ベースで議論すべきだ」と話した。 (伊藤弘喜)


投稿日時: 2012-05-15 (244 ヒット)

2012年5月15日

 国土交通省の各地方整備局は5月10日に今年度の直轄公共事業の計画を発表しました。

 これは直轄事業の今年度当初予算の事業計画を各都道府県に通知するものです。

 関東地方整備局については、こちらに掲載されています。
 http://www.ktr.mlit.go.jp/shihon/shihon00000085.html

 群馬県 http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000060943.pdf

 その中で、八ッ場ダムについては次のように記されています。(4ページ目参照)

 八ッ場ダム 全体事業費 4,783億円**   〈事業展開〉** H25~H30:約1,030億円

 今年度当初予算の負担基本額(治水分)  群馬県 8.38億円 (1都5県 62.59億円)

 今年度当初予算の地方負担額(治水分)   群馬県 3.93億円


 ここで注目すべきことは、総事業費が八ッ場ダム事業の基本計画で定められている4600億円ではなく、4783億円、工期が基本計画の平成27年度ではなく、平成30年度になっていることです。これらの数字は、2010年から2011年にかけて行われた国交省関東地方整備局による八ッ場ダムの検証によって試算されたものです。

 しかし事業費増額と工期延長は、八ッ場ダムの基本計画を変更しなければ変更することはできません。基本計画の変更は、八ッ場ダムに関係する各都県議会の議決が必要ですが、各都県(東京都・埼玉県・千葉県・茨城県・栃木県・群馬県)はいずれも基本計画の変更による事業費増額と工期延長に強く反対していますので、基本計画の変更は容易ではないはずです。
 次の〔注〕が付いているとはいえ、八ッ場ダム事業の基本計画が変更されていない現時点で、あたかも既定であるかのように群馬県への公式文書にこのような数字が公然と使われているのは問題です。

 ~~~
 「** 総事業費及び工期については、八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討において実施した点検結果を記載しております。この点検内容は、さらなるコスト縮減、工期短縮などの期待的要素を含めずに検討したものであり、今後の工程、事業展開については、改めて精査した上で、お示しいたします。」
 ~~~

 2009年の政権交代により、民主党政権は当初、前原誠司国交大臣がマニフェストに掲げた八ッ場ダム中止を実現すると表明しました。
 しかし、その後、中止方針は次第に後退し、昨年暮れには条件付きではありますが、本体工事の予算計上を認めてしまいました。現時点では、条件の一つである「八ッ場ダム事業を組み込んだ利根川の河川整備計画」が未策定であるため、八ッ場ダムも本体未着工ですが、民主党政権下で八ッ場ダムの中止方針が覆った最も大きな理由は、関係都県が中止に強く反対したからだと言われます。
 八ッ場ダムの本体着工を求める関係都県は、都県住民の多くが利権の温床であるダム事業の中止を支持したにもかかわらず、八ッ場ダムの中止方針を掲げる民主党政権を地方自治を無視した強権政治と批判し、責め立てました。
 しかし、上記の文書を見る限り、国交省と関係都県は主従関係にあるようです。実際、関係都県ではダム関係の主要ポストに国交省の出向者が就いていることが多く、各都県の意見は実質的に国交省の意見をそのまま踏襲したものになっています。各都県はそれぞれの議会で、八ッ場ダムに反対する議員の質問に対して、国交省の意見をそのままオウムのように繰り返すばかりです。
 間もなく開会する各都県の議会では、それぞれの議員が八ッ場ダム事業の実態と各都県民の意見を踏まえ、将来を見据えた真摯な議論を行うことを望みます。

 国土交通省の発表については、上毛新聞が次のように報じています

 2012年5月11日 上毛新聞一面

 ー総事業費は4783億円 地滑り対策費上乗せ 八ッ場ダムで国交省ー

 国土交通省は10日、2012年度に全国で予定している直轄公共事業の計画を公表した。
 八ッ場ダム事業(長野原町)ではこれまでの検証結果を踏まえ、基本計画上4600億円としていた総事業費を地滑り対策費などを上乗せして4783億円とした。計画上15年度までの工期については18年度となる可能性も示した。
 関東地方整備局は「検証結果を反映したが、さらなるコスト縮減や工期縮減の期待的要素は含めない」と述べ、コスト縮減と工期短縮に含みを持たせた。


投稿日時: 2012-05-13 (91 ヒット)

 ■学ぼう「越水堤防」の研究成果■

 近年、「越水堤防」は新たな治水のあり方として注目されています。
 しかし、その調査研究成果は1980年代にすでに出ていました。
 ところが、河川行政の現場では採用されてこなかったのが現状です。

 30年の時を経て、当時、最前線でその調査研究を行った研究者にその成果をパワーポイントで解説していただきます。ふるってご参加ください。

◆講師:石川忠晴・東京工業大学大学院総合理工学研究科教授

◆日時:5月23日(水)17:30~18:45 開場(17:20)

◆会場:東工大蔵前会館 手島精一記念会議室(S)(下記)

◆定員:16人(補助席あり)
 
◆参加費:500円(学生無料)

◆講師プロフィール:東京工業大学博士課程修了(1978年)。建設省土木研究所研究員、東京工業大学工学部助教授、東北大学工学部助教授・教授を経て、現在は東京工業大学大学院総合理工学研究科教授。専門は河川工学、環境水理学。

◆主催:治水のあり方シフト研究会(緊急時080-3127-0915)

◆交通アクセスhttp://www.somuka.titech.ac.jp/ttf/access/index.html 
 会場地図:大岡山駅(東急目黒線)から徒歩1分(東工大正門前)


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