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事務局だより
事務局だより : 馬淵大臣への要請(代替地の安全性に関して)
投稿者 : ゲスト 投稿日時: 2010-11-04 (1798 ヒット)

2010年11月4日

 本日、八ッ場あしたの会と八ッ場ダムを考える1都5県議会議員の会は、代替地の安全性に関する下記の要請書を馬淵澄夫国土交通大臣に提出しました。
 要請書の添付資料は、こちらのページからご覧になれます。↓
http://yamba-net.org/modules/genchi/index.php?content_id=19

 2010年11月4日

 国土交通大臣 馬淵 澄夫 様

 八ッ場あしたの会(代表世話人 野田知佑ほか)
  連絡先 事務局:渡辺洋子
 八ッ場ダムを考える1都5県議会議員の会(代表世話人 関口茂樹)
  連絡先 事務局:角倉邦良


                     代替地の崩落危険性問題に関する要請書
                   ―計算ミスだけでなく、更なる問題があります!―

 11月2日、八ッ場ダム工事事務所は八ッ場ダム代替地の安全性の検証で計算ミスがあり、計算し直すと、代替地の一部は安全度を下回り、大地震時に崩壊の危険性があることを発表しました。川原湯の打越代替地第二期分譲地は、谷を埋めて造成した盛土部分の耐震性を計算した結果、大地震に耐える安全度の基準(宅地造成等規制法の基準)を下回ることを明らかにしました。今回の計算ミスは地盤の物性値に入力ミスがあったとのことで、これにより、第二期分譲地の安全度は、修正前は約1.1倍であったものが、1を下回ることになり、地盤補強の工事が行われることになりました。
 代替地の安定計算については、群馬県がダム湛水の場合での計算結果を求めているにも関わらず、国土交通省はダム湛水を想定しない現状についての計算結果のみを公表しているのですが、その現状においても大地震時での崩壊の危険性があることが判明しました。
 代替地は地元住民が補償金の大半を注ぎこんで、とわの住処を得るために購入しつつあるところです。その代替地の耐震性が安全度の基準、しかも、国交省所管の宅地造成等規制法の基準を下回り、大地震時に崩壊の危険性があるというのは許されないことです。八ッ場ダム工事事務所がダム事業を急ぐがあまり、代替地の安全性を二の次にしてきたことを物語っています。
 問題はそれだけではありません。第二期分譲地の修正前の安全度は約1.1倍になっていますが、その値そのものが恣意的に求められた疑いが濃厚なのです。
 以下、その疑問点について説明いたします。


◆疑問点1 「盛土内の地下水なし」とする不可解さ

 打越代替地の谷を埋めて造成する盛土部分は深さが30~40mに及ぶ超高盛土であって、民間の宅地造成では例をみないものです。盛土造成地が地すべりを起す可能性を調べるための計算(安定計算)で重要な要素は盛土内の地下水の存在です。地下水が存在して、その水位が高いほど、地盤が不安定になって地すべりを起こしやすくなるからです。
 ところが、第二期分譲地の安定計算では「地下水なし」という前提がおかれています(別紙1)。この前提は現実と違っています。第二期分譲地の一部は沢を埋め立てたところもありますから、山側から地下水が浸入してくることは当然予想されることです。また、降雨が続けば地表面から浸透した雨水が地下水になることもあります。「地下水なし」という前提そのものが現実と遊離していると考えられます。
 「地下水あり」という前提をおけば、修正前でも安全度の計算結果が1.1ではなく、1を下回り、修正後は1を大きく下回ることが予想されます。


◆疑問点2 雨が降らなかったあとの現地調査で「地下水の浸出なし」

 国交省がなぜ打越代替地第二期分譲地は「地下水なし」としたのか、宮崎岳志衆議院議員の質問に対して国交省から提出されたのが、別紙2です。7月7日と9月7日に国と群馬県が現地調査を行ったところ、代替地の法面の水抜き管から地下水の浸出がなかったというのが理由でした。
 しかし、7月7日と9月7日より前の日の降雨状況を調べてみると、別紙3(国交省の長野原雨量観測所)のとおり、その前は数日以上、雨らしい雨が降っていない状態ですから、地下水の浸出がなくても当然です。雨が降った直後であれば、地下水が浸出していたことが十分に予想されます。大地震は降雨の状態とは関係なく起きますから、安全側、すなわち「地下水あり」の状態を想定して安定計算を行わなければなりません。ところが、国交省は地下水が浸出しない可能性が高い日に現地調査を行って,「地下水なし」と判定しているのです。


◆疑問点3 「地下水なし」の前提は恣意的ではないか

 国が代替地の安全性の調査報告を県に提出したのは8月30日ですから、国と県が地下水の浸出状況を調査した上記2日のうち、7月7日は報告をまとめる最終段階であり、9月7日は報告が提出されてからのことになります。このことは、打越代替地第二期分譲地の安定計算は最初から「地下水なし」の前提がおかれていて、現地調査はその理由のあと付けのために行われたものであることを示唆しています。
 この経過を見ると,「地下水あり」で計算したところ、安全度を下回ったので,「地下水なし」にすることにしたのではないかという疑惑さえ生まれてきます。代替地の安定計算がもしこのように恣意的に行われたならば、許されることではありません。
 十二分な安全を確保しなければならないはずの代替地の安定計算は常識的には安全側を見込んで、「地下水あり」の前提をおくべきです。少なくとも豪雨直後に大地震が来ることもありえるのですから、「地下水なし」は安全という計算結果を引きだすための恣意的な前提であると考えざるを得ません。
 〔補〕打越代替地の設計を行った「川原湯(打越)地区代替地造成実施設計業務報告書」(平成15年3月 セントラルコンサルタント(株))を見ると、設計条件は湛水前の状態では地下水位を盛土高の0.5倍にすることになっており(24ページ)、地下水位の設定は国交省自身が当初の設計条件に入れておいたことです。ただし、この報告書の計算結果はそのことを考慮しないものになっています。


◆疑問点4 そのほかの疑問

 その他にもいくつかの疑問があります。
 安定計算は設定した調査測線にそって行われます。安定計算を行った調査測線の勾配は1:2.54となっています。代替地の法面は現在は暫定法面です。勾配は1:1.8で、小段(5mの高さに対して水平方向に1.5mの小段)の部分を入れて1:2.1ですから、調査測線の勾配1:2.54は現在の法面の勾配よりかなり緩くなっています。法面の勾配が緩いほど、安全度が高くなりますから、勾配が最も急になる調査測線を設定した安定計算も行うべきですが、行われていません。
 さらに、安定計算で設定した地盤の物性値が適切なのかという問題もあります。地盤の物性値が変われば、安定計算の結果も変わってきます。今回の安定計算で使用した物性値の設定根拠資料が示されていないため、物性値の妥当性についての疑問も残されています。


◆要請事項

 以上の疑問点を踏まえ、下記のことを要請します。

○ 代替地の安全性の検証を一から実施しなおして、その結果を公表し、地元住民の方々が安心して暮せる方策を示すこと

 打越代替地について「地下水あり」の状態を設定するなど、代替地全体について安全側を十二分に考えた前提条件を設定した計算を実施しなおして、その結果を計算根拠データも含めて公表し、それに基づいて地元住民の方々がこれから水没予定地も含め現地で安心して暮らせる方策を示すことが必要です。

 私たちの要請を真摯に受け止められるよう、お願いいたします。