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事務局だより
事務局だより : 代替地の安全性に関する公開質問への国交省の回答
投稿者 : ゲスト 投稿日時: 2011-03-01 (2677 ヒット)

2011年3月1日

 八ッ場あしたの会より1月に送付した「八ッ場ダムの川原湯地区打越代替地の安全性に関する公開質問書」に対して、ようやく国交省より回答が届きましたので、回答についての当会の見解を公表します。

 1月21日に送付した公開質問書の全文は、こちらに掲載しています。↓
http://yamba-net.org/modules/news/index.php?page=article&storyid=1136

 1月25日に送付した追加の公開質問書はこちらに掲載しています。↓
http://yamba-net.org/modules/news/index.php?page=article&storyid=1144

 国交省より届いた回答全文は、コメントの後に転載しています。

 
   「八ッ場ダムの川原湯地区打越代替地の安全性に関する公開質問書」への
         国土交通省八ッ場ダム工事事務所からの回答について

 当会では今年1月21日に上記表題の公開質問書を提出し、さらに、25日に質問項目の追加を送付しました。回答期限を2月4日としましたが、返事が一切ないので2月8日に回答の督促状を送りました。それでも、返事がなかったので、電話で繰り返し催促し、宮崎岳志衆議院議員事務所からも督促があり、2月25日の夜にようやくFAXで回答が届きました。今回の公開質問に対する国交省八ッ場ダム工事事務所の不誠実な対応はまことに遺憾です。

 公開質問書で回答を求めた代替地の安全性の問題は、ダム予定地の住民の今後の生活にとって、きわめて重大な問題です。今回の回答内容は真摯な答えとはいえませんので、今後、質問主意書や再質問書などで代替地の安全性の問題を追及していきたいと考えています。
 今回の公開質問書で私たちが明らかにしようとしたこと、今回の回答へのコメントは下記のとおりです。


1 打越代替地第三期分譲地(温泉街ゾーン)の安全性について

  〇 私たちが明らかにしようとしたこと

① 打越代替地の第三期分譲地は第二期分譲地よりも盛土高さがはるかに大きくなっています(最大盛土高さは第二期分譲地約18m、第三期分譲地が約30m 別紙1)。一般的にはこの盛土高さが大きいほど、地震時の安定性が低下します。第二期分譲地でさえ、国交省の計算による地震時の安全率が補強工事後で1.03にとどまっているのですから、第三期分譲地の安全率が1を大きく下回ることが十分に予想されます。

② ところが国交省は、第三期分譲地は盛土をする前の地盤面の勾配が20度を下回っているという理由により、宅地造成等規制法施行令の第19条の外形基準に該当せず、安定計算は不要とし、安定計算をしていません。

③ しかし、これは国交省が意図的に勾配を小さくとって、安定計算の対象から第三期分譲地を外したことによるものです。第三期分譲地は、盛土をする前の地盤面の途中に山があって、それより谷側の造成地を見れば、勾配が20度を超えます(20,4度)。ところが、国交省は谷側、山側の代替地を一つに扱って勾配を小さくとっているのです。

④ これは「大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドラインの解説」(平成20年2月)(66ページ)(別紙2)に違反した解釈です。このガイドラインでは、盛土をする前の地盤面の途中に山がある場合はそこで二つの造成地に区分し、それぞれについて安全性を検証することを求めています。(このことは国交省都市・地域整備局都市・地域安全課の大槻氏に確認しました。)

⑤ 第三期分譲地を二つに区分すれば、谷側の造成地における盛土をする前の地盤面の勾配は20度を超えますので、安定計算の対象となり、その計算を行えば、安全率は1を大きく下回ると考えられます。

⑥ このように、ガイドラインに従って第三期分譲地を検証すれば、安全性が確保されないことになり、造成宅地防災区域の指定対象になると予想されます。


  〇 八ッ場ダム工事事務所の回答へのコメント

? 八ッ場ダム工事事務所は上記の内容を問うた質問に対してまともに答えず、
次の言葉を繰り返すのみでした。特に目立つのは、群馬県に責任を転嫁する姿勢です。

? 「造成宅地防災区域の指定の判断者である群馬県により確認されている」

? 第三期分譲地は、「宅地造成等規制法施行令第19条第1項第1号イ及びロの基準(外形基準)に該当しない。」

? 1の質問の核心は、なぜ第三期分譲地を二つの造成地に分けて安全性を検証しなかったのかということです。当会では1月21日の公開質問書の後、1月25日の追加質問において、「大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドラインの解説」(66ページ)に従って調査しないのはなぜなのかを問いましたが、これに対する回答はありませんでした。

? 回答がなかったのは、国交省が策定したガイドラインに国交省が自ら違反したことを認めざるを得ないからだと推測されます。


2 打越代替地第二期分譲地の安全性について(盛土内の地下水の問題)

  〇 私たちが明らかにしようとしたこと

① 第二期分譲地では現在、補強工事が行われています。これは、昨年8月末に群馬県に提出した報告に計算ミスがあり、そのミスを修正すると、第二期分譲地の地震時の安全率が1を下回るので、補強工事が必要となったことによるものです。

② この補強工事後の安全率は1.03ですが、これは盛り土内に地下水が存在しないという前提をおいて計算したものです。地下水が存在すると、浮力が働いて地盤を不安定にする方向に働きますから、その存在を前提にして計算すれば、1を下回ることは確実で、今回の補強工事だけでは第二期分譲地は安全性を確保できないことになります。

③ 国交省は地下水なしの前提をおいた根拠として、第二期分譲地の水抜き管の地下水の浸出を7月と9月に延べ2回、目視したところ、水が浸出していなかったことを挙げています。しかし、2回の調査日とも、雨らしい雨がしばらく降らなかった日ですから、この目視調査の結果は地下水不存在の根拠にはなりません。

④ しかも、地下水の状況を「目視」で調べるのは「大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドラインの解説」には書いていない常識外のやり方です。造成地の安全性を判断する上で重要な地下水有無の確認をそのようなやり方で終わらせるのは地下水無しにしなければならない事情があるからに他なりません。

  〇 八ッ場ダム工事事務所の回答へのコメント

? 回答は1と同様、上記の内容を問うた質問に対するまともな答えはありませんでした。

? ここでも、「造成宅地防災区域の指定の判断者である群馬県に確認した」とか、「造成宅地防災区域の指定の判断者である群馬県とともに調査を行った」とか、群馬県に責任を転嫁するような回答が中心でした。

? 2-1では、関東地方整備局の山田邦博河川部長が「大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドライン」にない「目視」という文言を、群馬県議会(2010年10月14日、八ッ場ダム対策特別委員会)で「ガイドラインにある」と答弁したのはなぜなのかを問うていますが、これに対する具体的な回答はありませんでした。
〔注〕2010年12月13日の群馬県議会八ッ場ダム対策特別委員会では、山崎建築住宅課長は「(大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドラインに)記載されている」と答弁していますが、ガイドラインにはそのような記載はありません。

? 2-2では、なぜボーリング調査を実施しなかったのかを問いましたが、「群馬県に確認し」「現地調査による湧水箇所の分布などから推定により確認することとしたものです」と答えているのみで、より正確な調査をなぜしなかったのかのまともな回答になっていません。

? 2-3では、前日まで雨らしい雨が降らなかった日を二日だけ調査日に選んだのはなぜなのかを問いましたが、回答は「群馬県の担当者との日程調整の結果」としているだけです。

? まともな回答がないということは、当方の質問に真正面から答えることができなかったことを意味していると判断せざるをえません。国交省は、地下水の存在を前提とすると、第二期分譲地は1を超える安全率を得ることが困難であったので、地下水なしで計算し、その理由の後付けで、水抜き管の目視調査を2回だけ行ったことを示唆していると考えられます。

? なお、2-4の質問「地下水有りとした場合の安全率」について「現地条件の異なる他の事例をもって、異なる箇所の計算結果を推定することは不適切であると考えます。」と答えていますが、これは事実誤認の回答です。質問書に、「湯浅欽史・元都立大学教授(土質力学)が打越代替地について設計条件として見込むべき高さの地下水位〔注〕を設定して安定計算を行ったところ、地下水無しの場合と比べると、安全率が約25%低下するという結果が得られています。」と書いたように、湯浅氏の計算は他ならぬ打越代替地について行ったものですから、第二期分譲地について地下水の存在を前提にして安定計算を行えば、安全率が1を下回ることは確実です。
〔注〕打越代替地の設計を行った「川原湯(打越)地区代替地造成実施業務報告書(平成15年3月、セントラルコンサルタント(株))には、安定計算の条件として、地下水位を盛り土高さの半分に設定すると書かれています。湯浅氏も同じ条件を設定して安定計算を行いました。


3 代替地の安全性確保について

  〇 八ッ場ダム工事事務所の回答へのコメント

? 私たちは上述のとおり、打越代替地第二期、第三期分譲地は安全基準を充たしていない可能性が高いので、計算のやり直しを求めましたが、ここでも「造成宅地防災区域の指定の判断者である群馬県」に責任を転嫁する答えでした。

? 回答の中で、「今後、八ッ場ダムの検証の中で、ダムが湛水した場合の代替地の安定計算を行うこととしております。」とありました。これは、八ッ場ダムの検証において代替地の安全性が踏まえなければならない課題になってきたことを示しています。
                    以上


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八ッ場あしたの会 代表世話人 野田知佑 様

国土交通省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所長

「八ッ場ダムの川原湯地区打越代替地の安全性に関する公開質問書」に対する回答について

 平成23年1月21日、平成23年1月25日に当職あてに送付された八ッ場ダムの川原湯地区打越代替地の安全性に関する公開質問書について、別紙のとおり回答します。


 別紙
 
はじめに
 平成22年8月30日付けで八ッ場ダム工事事務所長から群馬県県土整備部建築住宅課長へ報告した文書は、八ッ場ダム建設事業に伴う代替地の区域が「造成宅地防災区域」の指定にあたっての基準に該当するかの確認を判断権者である群馬県が行うために、群馬県からの要請に基づき、八ッ場ダム工事事務所において技術的情報の整理を行い群馬県へ報告したものです。
 その際、宅地造成等規制法施行令第19条第一項第一号イ及びロに規定されている要件にあてはまらない代替地については、同号の安定計算を実施しないこと等、安定計算に当たっての様々な条件設定については、群馬県に確認し、安定計算を行っております。
 なお、八ッ場ダムの川原湯地区打越代替地を含め、代替地の設計にあたっては、河川砂防技術基準等の設計基準を適正に満たしているものですが、今後、八ッ場ダムの検証の中で、ダムが湛水した場合の代替地の安定計算を行うこととしています。
 いずれにしても、国土交通省として、地元の方々に対して法令上適正な代替地を提供していく考えに変わりありません。


1 打越代替地第三期分譲地(温泉街ゾーン)の安全性について

1-1 第二期分譲地より盛土高さが大きい第三期分譲地は安全なのか。
 第二期、第三期分譲地が何を意味するのか不明ですが、第二期分譲地、第三期分譲地について、平成22年8月30日付で八ッ場ダム工事事務所長から群馬県県土整備部建築住宅課長へ報告した文書での整理番号である、川原湯地区②が第二期分譲地、川原湯地区③が第三期分譲地であると仮定して以下回答します。
 川原湯地区③は、宅地造成等規制法施行令第19条第1項第1号イ及びロの基準に該当する区域ではないため同号に基づく安定計算を行う対象ではありません。このことは、造成宅地防災区域の指定の判断権者である群馬県により確認されております。

1-2 第三期分譲地の勾配の選定理由
 「大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドラインの解説」によれば、原地盤面の勾配(Θ)(p.26)は、「盛土の最下流端の原地盤面の標高と盛土の最上流端の原地盤面の標高差(Δh)を、それぞれ計測した二地点間も水平距離(d)で商を求め、その商を逆正接した値とする。」と記載されています。今回の報告では、「大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドラインの解説」に基づき、開発前の谷筋に沿った盛土の最下流端の原地盤の標高と盛土の最上流端の標高より勾配を求めています。これについては、造成宅地防災区域の指定の判断権者である群馬県により確認されております。

1-3 第三期分譲地の勾配の取り方
 川原湯地区③は、宅地造成等規制法施行令第19条第1項第1号イ及びロの基準に該当する区域ではないため、同号に基づく安定計算を行う対象ではありません。このことは、造成宅地防災区域の指定の判断権者である群馬県により確認されております。

1-4 「大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドラインの解説」にしたがい、区分して安全性を検証する必要はないのか。
 川原湯地区③は、宅地造成等規制法施行令第19条第1項第1号イ及びロの基準に該当する区域ではないため、同号に基づく安定計算を実施する対象ではありません。このことは、造成宅地防災区域の指定の判断権者である群馬県により確認されております。


2.打越代替地第二期分譲地の安全性について(盛土内の地下水の問題)

2-1 山田邦博河川部長の答弁(水抜き管の目視調査)の根拠
 平成21年10月14日に群馬県議会八ッ場ダム対策特別委員会は開催されておらず、平成22年10月14日の群馬県議会八ッ場ダム対策特別委員会のことを指していると思慮いたします。
 ご質問の関東地方整備局河川部長 山田邦博の答弁について、当方で公的な会議録を所持していませんが、答弁の意図は、「大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドラインの解説」(p.62)において、盛土をしたことにより、当該盛土をした土地の地下水位が盛土をする前の地盤面の高さを超え、盛土の内部に侵入しているかどうかを確認する手法として「①当該一段の造成宅地周辺のため池などの位置と現地調査による湧水箇所の分布などから推定」とあることから、造成宅地防災区域の指定の判断権者である群馬県と共に現地調査を行い、盛土法面や盛土前面に設置した擁壁の水抜き管から水の滲み出しが有るか否かについて目視により確認したことについて述べたものです。

2-2 本格的な地下水調査を行わない理由
 地下水の調査方法については、造成宅地防災区域の指定の判断権者である群馬県に確認し、現地調査による湧水箇所の分布などから推定により確認することとしたものです。

2-3 代替地法面の水抜き管の調査日の選定理由
 造成宅地防災区域の判断権者である群馬県の担当者との日程調整の結果、7月7日と9月7日に調査を実施したものであり、ご指摘のような「地下水がしみ出さないような調査日」をわざわざ選んだ」ものではありません。

2-4 地下水有りとした場合の安全率
 現地条件の異なる他の事例をもって、異なる箇所の計算結果を推定することは不適切であると考えます。

2-5 第二期分譲地の安全性を地下水無しの安定計算で判断してよいのか
 造成宅地防災区域の指定の判断権者である群馬県と共に調査を行い、盛土法面等から水の滲み出しが無いことを確認し、地下水無しとして計算を行いました。