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事務局だより
事務局だより : 利根川流域市民委員会による国交省への要請
投稿者 : ゲスト 投稿日時: 2012-05-16 (1822 ヒット)

2012年5月16日

 このほど再結成された利根川流域市民委員会が本日、前田国交大臣、下保国交省関東地方整備局長に「利根川水系河川整備計画の民主的な策定を求める要請書」を提出しました。
 大型公共事業の推進による利権の温存から、真に流域住民の命と暮らしを守る河川行政への転換を求めている利根川流域市民委員会には、今日現在、33の市民団体が参加しており、八ッ場あしたの会も参加団体の一つです。
 八ッ場ダム事業を組み込んだ利根川の河川整備計画の策定は、八ッ場ダム本体着工の条件とされており、河川整備計画の策定作業がどのようなプロセスで進められるか、大いに注目されるところです。

 利根川流域市民委員会再結成の経緯
 http://yamba-net.org/modules/news/index.php?page=article&storyid=1626
 
 利根川流域市民委員会のこれまでの活動
 http://yamba-net.org/modules/genjou/index.php?content_id=2

 本日提出された要請書を転載します。
 要請書の末尾に、賛同団体のリストがあります。

 ~~~
 2012年5月16日

 国土交通大臣 前田武志 様
 国土交通省関東地方整備局長 下保 修 様

        利根川水系河川整備計画の民主的な策定を求める要請

 利根川流域市民委員会 共同代表 
 佐野郷美(利根川江戸川流域ネットワーク)
 嶋津暉之(水源開発問題全国連絡会)
 浜田篤信(霞ヶ浦導水事業を考える県民会議) 
       
 連絡先 事務局(深澤洋子)TEL&FAX 042-341-7524

                      
 国土交通省関東地方整備局で策定を予定している利根川水系河川整備計画は、河川法改正の本旨に立ち返ってゼロベースから民主的な策定作業を進めるよう、下記のとおり、要請いたします。

(1) 関係住民の意見を反映させる方法の確立

① 2006年12月に関東地方整備局が言明した「整備計画原案を示し、有識者会議、関係住民等の意見をきいて整備計画修正案をつくり、それを何回か実施して計画をつくる。」【参考1】の約束を守り、関係住民の意見聴取を1回限りで終わらせることなく、繰り返し実施すること。

② 1997年河川法改正の国会答弁【参考2】「(関係住民の意見を)言いっ放し、聞きっ放しというのでは全く意味がない」、「まさにその河川整備計画に関係住民の皆さん方の意向が反映をしていくというふうに考えております。」に沿って、関係住民の意見を確実に反映できる方法を実施すること。

③ 具体的には、淀川水系流域委員会の提言により実施された「公聴会を円卓方式の『対話集会』【参考3】とし、河川管理者と流域住民などとが公開で討議、討論を行う」方式を実施すること。

④ 関係住民の合理的な意見を反映するにあたり、1997年河川法改正の国会答弁【参考4】「住民の皆さんの御意見、地方の御意見が反映できるように、そういう形で整備計画の案の段階でお諮りをして議論をいただく」「基本方針で定めた中ではこの整備計画がどうしてもできないということになれば、またこの基本方針のあり方についても再度検討をする」を尊重し、河川整備基本方針に縛られずに検討すること。

(2) 利根川の有識者会議の民主的な委員選定と運営

淀川水系流域委員会の方式【参考5】を基本として、利根川の五つの有識者会議について次の改善を求める。
① 現在の有識者会議の委員は、専ら関東地方整備局が選定したものであり、ダム事業の推進を求める委員が多数を占め、きわめて偏った構成になっているので、改めて民主的に委員を選定し直し、ダム事業に反対の意見又は懐疑的な意見を持つ委員が半数を占め、公正な審議を行えるようにすること。

② 特に五つの有識者会議の中で最大の利根川江戸川有識者会議の座長は、ダム推進論者として国交省の広報などでしばしば自説を主張してきており、公平な審議を進めるうえで相応しくないので、人選をし直すこと。

③ 有識者会議は全面的に公開し、一般市民の傍聴を自由とすること。別室でモニター傍聴というような傍聴者を隔離する方式ではなく、同じ会議室で直接傍聴できる方式とすること。

④ 淀川流域委員会に倣って、傍聴者が意見書を提出し、意見を述べることができるようにすること。

⑤ 有識者会議の事務局は、河川管理者と一線を画し、委員の意思を積極的に支援する中立的立場で民間団体が行うこと。

(3)ゼロからの河川整備計画の策定作業

2006年~08年当時の策定作業開始時に示された利根川水系河川整備計画のメニューと、八ッ場ダム事業の検証で前提とした整備計画の枠組みは大きく変わっている。【参考6】
2007年2~3月の公聴会およびパブコメは当時のメニューに対して行われたものであり、その内容が大きく変わっているのであるから、当時の公聴会、パブコメも一から仕切り直す必要がある。
以上のことを踏まえ、利根川水系河川整備計画の策定作業をゼロからスタートさせること。  以上


 参考資料

【参考1】 利根川水系河川整備計画の策定について関東地方整備局が言明したこと

 関東地方整備局は第2回利根川・江戸川有識者会議で下記の議事録のとおり、有識者会議、関係住民等の意見を繰り返し聞いて整備計画をつくることを言明した。

 第2回利根川・江戸川有識者会議(2006年12月18日)の議事録(4~5ページ)
「事務局:髙橋河川計画課長
それから、河川整備計画の原案をそういった意見を踏まえてつくらせていただこうと思っておりまして、また、その河川整備計画の原案につきましては、全体の意見を取りまとめて整理させていただいた上で、その後の有識者会議になろうかと思いますが、そこの段階でお示しさせていただければと思っております。その段階におきまして、また関係住民の方々にもインターネット等での意見募集、それから公聴会、そういったものを開かせていただいて、再度意見をいただいて、また、その整備計画の原案を修正させていただく。で、また修正したものにつきましても、再度ご提示させていただいて、また学識の先生方、それから関係住民の方々からご意見をいただくと、そういったことを何回か実施させていただきまして河川整備の案を取りまとめていきたいと思っております。」 


【参考2】 河川整備計画策定への関係住民の意見反映は国会の質疑で約束されたこと

 1997年の河川法改正に当たり、関係住民の意見反映について当時の尾田栄章河川局長は下記の議事録のとおり、国会の質疑で「河川管理者は河川整備計画に関係住民の意見を反映させる責務がある」と答弁した。

 「衆議院建設委員会-12号 平成09年5月9日
○尾田政府委員 先生御指摘のとおり、言いっ放し、聞きっ放しというのでは全く意味がないというふうに考えておりまして、具体の河川整備計画の案を策定する段階で、十二分に案を策定するために、案の案、原案の案、そういう意味では原案でございますが、これを御提示をいたしまして、それについて御意見をいただく、その上で必要なものについては修正をするという形で考えておりますので、まさにその河川整備計画に関係住民の皆さん方の意向が反映をしていくというふうに考えております。」


【参考3】 淀川水系河川整備計画の策定における住民参加

 淀川水系流域委員会は、1997年の河川法改正の本旨「河川整備計画への関係住民の意見反映」を具体化する方法を検討し、次の提言を行い、この提言に沿った取り組みがされてきた。

 淀川水系流域委員会「住民参加部会」の提言   2003年4月21日 
「河川管理者に対する河川整備計画策定時における一般意見の聴取反映方法について」
(2)対話集会もしくは対話討論会(ワークショップ等)の考え方
この公聴会は円卓方式の「対話集会」もしくは「対話討論会」とし、河川管理者と参加住民、住民組織、地域組織などとが委員会と同様に公開で討議、討論を行い、議事録などは全て公開されるべきである。


【参考4】 基本方針のあり方についても再度検するという国会答弁

 「衆議院建設委員会-12号 平成09年5月7日
○尾田政府委員(河川局長) そして、この河川整備基本方針に従いまして、ダムをどこにつくるか、どこに堤防をつくるか、そういう個別の事項につきましては、すべて河川整備計画の中で定めます。この河川整備計画については、まさに住民の皆さんの御意見、地方の御意見が反映できるように、そういう形で整備計画の案の段階でお諮りをして議論をいただくということを考えておるわけでございます。
 そういう意味合いで、基本方針で定めた中ではこの整備計画がどうしてもできないということになれば、またこの基本方針のあり方についても再度検討をする、そういう仕組みを考えておるわけでございまして、この河川整備基本方針に住民意見の反映の手続がないということをもって住民意見の反映がされていないという御批判は当たらないと私は考えておるところでございます。」


【参考5】 淀川水系流域委員会の民主的な委員選定と運営

 淀川水系流域委員会(学識経験者の意見を聴く場)は人選から運営まできわめて民主的に行われてきている。淀川水系流域委員会の設置に当たって、準備会議が設置され、その準備会議が下記のとおり、委員候補の選定を行うとともに、委員会の運営の方向性を示し、この答申にそって淀川水系流域委員会の運営が行われてきた。まもなく、第四次の淀川水系流域委員会が発足するが、この発足にあたって、委員候補推薦委員会が設置されて委員の人選が行われており、基本路線は引き継がれている。

 「淀川水系流域委員会のあり方について」答申  平成13年1月11日
淀川水系流域委員会準備会議
○淀川水系流域委員会委員候補の選定
・委員候補のリスト作成にあたって、準備会議委員や河川管理者の推薦に加え、公募を行った。
・学識経験者の範囲として、大学の教員、研究所の研究員といった従来型の範囲に加え、地域の特性に詳しい者を新たに加えた。
・改正河川法の趣旨を踏まえ、河川事業に関わる専門の範囲を従来よりも幅広くとらえ、治水、利水、環境の分野から選定した。
・広く国民的な議論を行うために、経済、法律を専門とする者、マスコミの経験者等も選定した。
○住民意見の聴取方針
・住民の意見が寄せられるのを待つだけではなく、河川利用の現場に赴くなどして、より積極的に意見を聴取することとする。
・多様な意見聴取方法を取り入れ、できるだけ、広範囲に多様な住民の意見を聴取することとする。
○庶務
・河川管理者と一線を画し、流域委員会委員の意思を積極的に支援する中立的立場で民間企業が行うこととする。


【参考6】 利根川水系河川整備計画の枠組みの大きな変更

 八ッ場ダムの検証で前提とした利根川水系河川整備計画の枠組みは、2006年11月からの策定作業で関東地方整備局が示した河川整備計画のメニューと大きく変わっている。
すなわち、関東地方整備局は八ッ場ダムの検証では、治水安全度を1/50洪水から1/70~1/80洪水に、目標流量を約15,000?/秒から17,000?/秒に、さらにダム等による洪水調節量を約2,000?/秒から3,000?/秒に引き上げた。このことによって、八ッ場ダムの治水面での必要度を高める枠組みがつくられた。
ア 2006~08年の策定作業で示された河川整備計画のメニュー(枠組み)
(流量は治水基準点の八斗島(群馬県伊勢崎市)の数字を示す。以下同じ)
  治水安全度 1/50
・目標流量          約15,000?/秒(当時の委託調査報告書に記載)
・河道対応流量          13,000?/秒(当時の局配布資料に記載)
・ダム等による洪水調節量   約2,000?/秒
    (洪水調節施設:既設ダム、八ッ場ダム、ダム事業再編※、烏川河道内調節池)
     ※ダム事業再編 : ① (八斗島に近い)下久保ダムの利水容量の一部を治水容量にし、その分、奥利根のダム群の利水容量を増やす。② 奥利根ダム群の奈良俣ダムと藤原ダムとの間で利水容量と治水容量を交換する。
    
イ 八ッ場ダムの検証で前提となった河川整備計画の枠組み
  治水安全度 1/70~1/80
・目標流量           17,000?/秒
・河道対応流量         14,000?/秒
・ダム等による洪水調節量   3,000?/秒
     (洪水調節施設:既設ダム、八ッ場ダム、ダム事業再編※※、烏川河道内調節池)
      ※※ダム事業再編 : アの当時のメニューと異なり、下久保ダムの容量振替がなくなり、②のみとなったため、ダム事業再編の治水効果はアよりかなり小さくなった。それにもかかわらず、ダム等による洪水調節量は逆に2,000?/秒から3,000?/秒に引き上げられている。

 利根川流域市民委員会 賛同団体一覧  2012.5.16現在 33団体(順不同)
 利根川・江戸川流域ネットワーク
 水源開発問題全国連絡会
 利根川の水と緑を守る取手連絡会 
 霞ヶ浦導水事業を考える県民会議 
 高崎の水を考える会
 八ッ場あしたの会 
 八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会 
 八ッ場ダムをストップさせる群馬の会
 八ッ場ダムをストップさせる千葉の会
 八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会 
 八ッ場ダムをストップさせる茨城の会
 八ッ場ダムをストップさせる東京の会
 ムダなダムをストップさせる栃木の会
 渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会 
 首都圏のダム問題を考える市民と議員の会
 霞ヶ浦・北浦をよくする市民連絡会議
 思川開発事業を考える流域の会
 ダム反対鹿沼市民協議会 
 栃木の水を守る連絡協議会
 千葉県自然保護連合 
 千葉の干潟を守る会
 藤川をきれいにする会
 市川緑の市民フォーラム 
 耕さない田んぼの会
 東京市民オンブズマン
 渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える 
 全水道関東地方本部
 水道事業を考える土浦市民の会 
 スーパー堤防問題を考える協議会
 スーパー堤防・街づくりを考える会 
 希望社会研究所
 那珂川ウォーターネットワーク鶴亀隊  
 アサザ基金


 関連記事を転載します。

◆2012年5月17日 上毛新聞

「河川整備計画は民主的な策定を」 市民団体が国交相に要望

 八ッ場ダム(長野原町)の本体着工条件の一つになっている利根川水系の河川整備計画策定について、市民団体の利根川流域市民委員会は16日、「計画の民主的な策定」を求める要請書を前田武志国土交通相宛てに提出した。計画策定に当たる有識者会議の委員が「ダム事業推進を求める委員が多数を占めている」と指摘し、委員の人選のやり直しや関係住民の意見聴取を繰り返し行うことを求めている。