八ッ場ダム事業の問題点

ダムによる損失と危険性

(更新日:2017年7月29日 作成日:2016年3月23日)

もろい地質

地すべり対策と代替地の安全対策の行方

八ッ場ダム湖予定地周辺は地質がもろいことで知られており、熱水変質帯、応桑岩屑流堆積物(おうくわがんせつりゅうたいせきぶつ)、崖錐堆積物(がいすいたいせきぶつ)などの脆弱な地層が広く分布しています。

ダム湖予定地周辺は、もともと住民の居住地域でしたが、八ッ場ダム事業では水没予定地住民の移転代替地をダム湖のまわりに造成する”現地再建ずり上がり方式”が採用されたため、
ダム湖は多くの住宅地に取り囲まれることになります。
このため、湛水後のダム湖周辺の安全確保は、八ッ場ダム事業における重要な課題です。

水没予定地の川原湯地区住民が移転しつつある打越代替地は地形を大規模に改変した人工造成地。2015年12月25日撮影

水没予定地の川原湯地区住民が移転しつつある打越代替地は地形を大規模に改変した人工造成地。2015年12月25日撮影

八ッ場ダムの地すべり対策費は、3地区で約49.17億円が必要とされていましたが、道路等の関連工事費の肥大化により予算が足りなくなり、2004年の計画変更では地すべり対策費をわずか5.82億円に縮減しました。

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しかし、専門家らからこれでは安全性は確保できないとの厳しい指摘が相次いだこともあり、国交省関東地方整備局は民主党政権下の2011年、八ッ場ダムの検証の中で、地すべり対策費を約110億円(11地区)とする試算を公表しました。

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地すべり対策約110億円の内訳は下表のとおりです。

20160322-dat01

2011年の検証では、新たに代替地の安全対策費(5地区)を約40億円とする試算も公表されました。

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代替地安全対策約40億円の内訳は下表のとおりです。

20160322-dat04

八ッ場ダムの検証のあと、地すべり対策と代替地安全対策のための追加検討業務が次のとおり、行われてきていますが、2016年3月現在、対策費を見直した結果は明らかにされていません。

地すべり対策:平成25年度八ッ場ダム地盤性状検討業務
代替地の安全性対策:平成25年度八ッ場ダム代替地検討業務

地すべり対策費の増額と代替地の安全確保のための新たな対策費を計上するためには、 国交省関東地方整備局が関係都県の同意を得て、事業費の再増額(注)を盛り込んだ八ッ場ダム基本計画の変更を行う必要があります。
(注:八ッ場ダム計画は2004年に事業費が2110億円から4600億円に倍増)

■2016年の事業費増額
2016年12月、国交省関東地方整備局は当会が予測した通り、八ッ場ダムの事業費を4600億円から
5320億円に増額する、五度目の計画変更を行いました。
増額要因の中には、「地すべり対策」約96億円と「代替地の安全対策」約44億円が含まれていました。
しかし、増額やその根拠となる地質調査などの国交省資料を見ると、今回の増額による対策は不十分で問題が多々あることがわかりました。

詳しくは、こちらをご覧ください。 →「2016年の計画変更による地すべり等の対策」