水道料金値上げについての朝日新聞記事

 水道料金の値上げが続いていることを朝日新聞が伝えていますが、問題の掘り下げがありません。
 水道料金値上げの原因は、施設の老朽化と水使用量の減少だけではありません。いくつかの水道事業体では、不要不急のダム建設に参画し、それに関連する水道事業を進めているために、水道事業に負担がかかり、値上げの要因となっています。

 長崎県の佐世保市は、人口減少等に伴う水需要の減少にもかかわらず、過大な水需要予測を立てて石木ダムの利水事業に参画しています。水問題研究家の嶋津暉之さんは6月に佐世保市で開催された講演会において、佐世保市は石木ダム事業とこれに関連する水道事業の負担額が1世帯当たり約60万円にも上ることを詳細なデータ分析をもとに解説しました。
★参照⇒講演会の配布資料「佐世保市民にとって石木ダムは無用の長物」

 朝日新聞の記事の終わりに登場する滝沢智・東京大学教授は、石木ダム予定地住民を強制収用で追い出すことを可能にする事業認定で、佐世保市の架空の水需要予測にお墨付きを与える意見書を提出しました。石木ダムのように不要なダム建設が水道料金値上げの要因になっていることを滝沢氏は自覚しているのでしょうか。新聞社はこうした事実を知っているのでしょうか。 

◆2018年7月11日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASL735GBXL73ULBJ00T.html?iref=pc_ss_date
ー上がる水道料金、58%アップの市も 背景に施設老朽化ー

 水道料金の値上がりが続いている。全国平均の家庭向け料金は2014年から4年連続で過去最高を更新。この30年で3割超上がり、10年間で料金格差が20倍になるとする推計もある。国は今国会に水道法の改正案を提出し、急激な値上げにならないよう、事業者に長期的な見通しの公表を求める方針だ。

 水道事業は原則、市町村が経営する。家庭に飲み水を供給する水事業者は、5千ほどある小規模の簡易水道を除き約1300ある。

 日本水道協会によると、水道事業の家庭用(管の口径13ミリ)の平均料金は昨年4月で月20トン使って3228円。30年前より3割増え、値上がりが続く。

 総務省によると、値上げした地域は12〜16年度に延べ188。口径13ミリ10トンの料金でみると東京都羽村市は14年度に58%、静岡県富士市は16年度に48%の大幅な値上げに踏み切った。

 水道事業者には原則、料金収入などで経費を賄う「独立採算」が求められている。しかし家庭用水道料金を低く据え置く自治体も多く、供給にかかる費用が収益を上回る「原価割れ」の事業者は16年度の決算で3割超に上る。

 値上げの背景には、施設の老朽化と水の使用量の減少がある。全国の水道網は高度成長期に急速に整備され、資産規模は40兆円超。水道管の耐用年数は40年で、更新が必要な水道管は年々増えるが、人口減や節水対策で料金収入は落ち込んでいる。

 EY新日本監査法人(東京都)などは3月、水道事業の統計や人口増減のデータを使い、「90%の事業者で値上げが必要になる」とする報告書を公表。40年度時点で累積赤字をゼロにするには、分析した1236事業者のうち1118で値上げが必要だった。

 施設の更新状況も考慮した値上げ率は平均36%。事業者間の料金格差も広がり、今の9倍が24年度には20倍になる見込みだ。福田健一郎シニアマネジャーは「事業や施設の適正規模を考える時期に来ている」と話す。

 水道事業に詳しい滝沢智・東京大教授(都市水システム)は「水道料金の値上げは住民の理解が得にくいが、先送りするほど施設は古くなり、値上げ幅が大きくなる。料金も含めた水道事業の在り方の議論を自治体ごとに早急に始める必要がある」と話す。(阿部彰芳、福地慶太郎)