地下水利用増による自治体の水道料金減収に関する記事(朝日新聞)

 朝日新聞が経費削減のために自前で地下水を使う施設が増え、水道の料金収入が大幅に落ち込む事態が起きているという記事を掲載していました。

◆2019年4月17日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASM4J5WG8M4JULBJ00F.html
ー水道料金、地下水に切り替えて節約→減収の自治体は悲鳴ー

 人口の減少や節水によって使用量が減る中、水道管の更新費用が負担となり、経営悪化が懸念される水道事業。運営する自治体はいま、新たな危機と向かい合っている。経費削減のために自前で地下水を使う施設が増え、水道の料金収入が大幅に落ち込む事態が起きているためだ。

 静岡県磐田市の大型商業施設は3年前から地下水を使い始めた。衣料品や雑貨、インテリアの店舗のほかフードコートも備え、年間約14万トンの水を使う。その半分程度を地下水に切り替えることで、水道使用量を減らしていた。

 一方、市水道局にとっては年1千万円余の減収だ。市の水道料金収入の0・5%前後で、一般家庭約200世帯の1年分にあたる。「市内で一、二を争う大口客。できれば水道を使ってほしかった」と担当者。

 今後は老朽化が進む水道管の更新などに多額の経費がかかり、経営は間違いなく厳しくなる。そこに大口客による地下水への切り替えが増えれば痛手になる。

 施設側にすれば、地下水を使い続ければ、切り替え時の整備費を含めても割安になる。災害時に複数の水源も確保できる。このため、今後も併用を続ける方針だという。・・・(以下略)

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 かつて東京の下町などで、工場が大量に地下水を利用した結果、深刻な地盤沈下が発生し、東京都などでは今も地下水規制が行われていますが、すでに地盤沈下問題は過去のものとなっています。

 地下水規制を行っている地域でも、通常は小口径井戸(ポンプの吐出口断面積6㎠以下)は規制対象外になっています。ポンプの能力向上で小口径井戸でも一日100㎥以上の地下水はくみ上げることができます。病院、スーパー、私立学校などがこの規制対象外の小口径井戸を設置し、膜ろ過装置を通して地下水を利用する例が多くみられるようになりました。そのシステムの導入を一括受注するのが地下水ビジネスです。
(ただし、東京都は小口径井戸に対して揚水量最大20㎥/日以下、平均10㎥/日以下、埼玉県は揚水量最大50㎥/日以下という制限を設けて、地下水ビジネスへの対応措置をとっています。)

 地下水はダムによる開発水より安価で、水質もよいことで知られています。また、上記の記事にもあるように、災害時に複数の水源を確保することは防災上重要ですが、ダム事業に参画している自治体は、たとえダムの開発水(河川水)が不要であっても、河川水を使わざるをえず、地下水切り捨て政策によって水道事業の経営を悪化させています。

 記事では、水道使用量の減少に悩む自治体として、最初に静岡県磐田市を取り上げています。
 磐田市は遠州広域水道の給水対象区域です。この遠州広域水道は、水が十分足りていたにもかかわらず、2009年に静岡県が建設した太田川ダムの開発水を押し売りされている状態です。

〇静岡県公式サイトより、「遠州広域水道用水供給事業の紹介」
 http://www.pref.shizuoka.jp/kigyou/suido/ensyuukouiki.html

 磐田市と共に遠州広域水道の給水対象区域となっている浜松市では、水道民営化の問題が注目されています。太田川ダムが不要であるとわかっていながら、過大な水需要予測をもとにダム事業を進めた結果、遠州広域水道の大量の水あまりと水道事業への経営圧迫という問題が起きていることを次のブログが詳しく論じています。

「水道民営化よりもやるべきことがある!!」

 記事で二番目に登場する千葉県流山市。
 千葉県が八ッ場ダム事業に参画しているため、水が余って困っている流山市も八ッ場ダムの開発水を押しつけられます。八ッ場ダムに参画している千葉県の4事業体の一つが流山市を給水対象としているためです。

 〇千葉県公式サイトより、「八ッ場ダムについて」
 https://www.pref.chiba.lg.jp/suisei/yannba/yannbadamu.html

 〇参考:「流山市水道事業経営戦略」より一部引用
 「TX(つくばエクスプレス)の開業に伴い人口増加は顕著ですが、年間配水量はほぼ横這いで推移し大きな伸びは見られません。
水需要低迷の要因としては、節水意識の浸透による 1 人当たり使用水量の減少、大口使用者の水道離れが挙げられます。 」

 八ッ場ダムの利水事業に参画する利根川流域一都四県では、現在でも水はあまっているのに、これから将来、さらに水あまりが進みます。関係都県は八ッ場ダムの事業費とともに、八ッ場ダムの維持管理費を負担し続けることになります。国交省の”やんばツアーズ”では決して触れない、八ッ場ダム問題の一つです。