「堤防決壊の8割、支流と本流の合流点に集中 台風19号」(朝日新聞)

 10月の台風19号豪雨では、多くの河川で堤防が決壊し、大水害となりました。
 朝日新聞の以下の記事によれば、堤防決壊箇所の8割は支流と本流の合流点に集中していたということです。
 堤防が決壊しやすい本流と支流の合流点の周辺では、国交省がすでに確立しながらお蔵入りさせている堤防強化工法を活用することが、有効な治水対策として考えられます。

 本流と支流の合流点が水害常襲地帯であったことは、地名や地元の言い伝えなどでわかります。利根川流域でも、渡良瀬川や烏川などの支流との合流点は、肥沃ではあるものの、水害に苦しんできた歴史があります。戦後の開発では、水害常襲地帯の宅地化が進められる一方で、これらの土地を守るためにダム建設が必要だと行政がPRしてきました。

 治水の問題に取り組んできた嘉田由紀子衆院議員は、滋賀県知事の時代に、水害に見舞われやすい土地の宅地化に規制をかける条例の制定に取り組みました。土地所有者にとって不利なこの条例の制定をめぐっては、県議会で自民党の反対が強く、嘉田氏は条例制定と引き換えに知事を退任したということです。
(参考➡滋賀県ホームページ「滋賀県流域治水の推進に関する条例制定後の取り組み」
 

◆2019年11月7日 朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASMC27W8HMC2UTIL01D.html
ー堤防決壊の8割、支流と本流の合流点に集中 台風19号ー

  台風19号の大雨で堤防が決壊した140カ所(71河川)のうち、8割にあたる112カ所(62河川)が、支流と本流の合流点から約1キロの範囲だったことが、朝日新聞のまとめでわかった。専門家は「合流点近くに住む人は、浸水が起きやすいことを自覚しておくべきだ」と指摘している。

 朝日新聞は、国土交通省と河川決壊があった宮城、福島、栃木、茨城、埼玉、長野、新潟の7県が発表した資料や担当者への取材で、台風19号で決壊した71河川の堤防140カ所の具体的な地点を特定。川幅などの小さな川(支流)が大きな川(本流)に合流する地点と、その決壊箇所の関係を調べた。

 それによると、合流点から約1キロの範囲で支流の堤防が決壊していたのは、35カ所(28河川)だった。

 河川氾濫(はんらん)のメカニズムに詳しい早稲田大の関根正人教授(河川工学)によると、河川のなだらかさや橋が近くにあるかなどによって変わるが、合流点から約1キロ以内の決壊であれば、多くで「バックウォーター現象」が起きた可能性があるという。

 この現象では、増水した本流の流れにせき止められる形で支流の水位が上がり、行き場を失った水があふれて決壊につながる。宮城県丸森町では、本流の内川に流れ込む支流の五福谷川や新川が氾濫。支流側の合流点付近では7カ所で堤防が決壊し、市街地全体が浸水した。昨年の西日本豪雨でも起きており、岡山県倉敷市真備町では、本流との合流点付近で支流の堤防が次々と決壊し、50人以上が犠牲になった。

 本流側でも合流点近くの77カ所(38河川)の堤防が決壊した。支流の流量が多かったり、流れ込む角度が直角に近かったりすると、本流側でも合流点付近の水位が高くなり、堤防の決壊につながりやすいという。

 福島県内を流れる社(やしろ)川では、白河市など4市町にまたがる12カ所で堤防が決壊したが、このうち10カ所が支流との合流点付近だった。阿武隈川や久慈川、千曲(ちくま)川など国が管理する大規模な河川でも、合流近くで決壊が多かった。

 関根教授は「原因を調べるには個別に細かな状況を見る必要があるが、決壊の約8割が合流点付近だったというのは驚きだ。大雨で流量が増す合流点近くは、浸水の危険性が大きいことが今回の大雨で示された」と指摘。合流点近くの堤防を高くし、支流を平行に近い角度で合流させるなどの対策も限界があるため、「人口減少が進むことも考えると、自治体は長い目でみて合流点付近の危険性を踏まえた街づくりを検討した方がいい」と話している。(渡辺洋介、贄川俊)