「水陸両用バスやBBQ…八ツ場ダム完成後へ布石」(朝日新聞群馬版)

 八ッ場ダムは今年3月末に完成する予定です。ダム完成後の地域振興についての朝日新聞の記事を紹介します。

 ダム建設地の群馬県長野原町では、ダム事業に参画する利根川流域都県の負担金でダム受け入れの見返りとして様々な地域振施設がつくられてきました。ダムの水没地は川原湯温泉と名勝・吾妻峡を中心とした観光業が地域経済の中心であっただけに、今後の観光の行方が注目されています。

 以下の記事によれば、八ッ場ダム事業で整備されることになった12の地域振興施設のうち、まだ7施設が未完成です。
 ダム湖は今も試験湛水で水位が下がったままですが、長野原町は水陸両用バスと観光船の早期運航開始を前提として、準備を進めています。春~秋は水陸両用バスを運航するとのことですが、水位が下がる夏場、どの程度実際に運航できるのでしょうか?

 

◆2020年1月31日 朝日新聞群馬版
https://digital.asahi.com/articles/ASN1W4SZ1N1WUHNB00L.html?iref=pc_ss_date
ー水陸両用バスやBBQ…八ツ場ダム完成後へ布石ー

  国が3月の完成を予定する八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の地元は観光が主産業。川原湯温泉街で20日早朝に行われた伝統の奇祭「湯かけ祭り」のようなイベントに限らず、観光客を呼び込むための様々な仕掛けを用意している。間近に迫ったダム完成後の地域の生き残りに向けた布石だ。

 町や県によると、ダム周辺には観光向けに12の地域振興施設を計画。ダム受け入れの代償として、受益者の下流都県などが整備費の多くを負担した。共同浴場「王湯会館」や道の駅など5施設はすでに運用されているが、7施設はまだ整備中。一部では、東京五輪・パラリンピックで資材不足などが生じたことも工事の遅れに影響したという。

 目玉は、今春の運航開始を目指す水陸両用バスや観光船を使ったツアーだ。県内初となる水陸両用バス1台と、観光船2隻を用意。春~秋は水陸両用バスで湖面や湖岸の地域を案内し、冬は船内から景観を楽しめる観光船を運航する。

 湯西川ダム(栃木県日光市)などで水陸両用バスのツアーを運営するNPO法人「日本水陸両用車協会」(東京都)が手がける予定のバスは全長12メートル、幅2・5メートル程度で定員約40人。道の駅が担う方針の観光船は全長14メートル、幅3・5メートル以上で定員約30人だ。ルートや料金は現段階では未定。

 JR川原湯温泉駅すぐそばには、「遊びの基地」を目的にした複合施設が夏にもオープンする。露天風呂付きの温泉やカフェ、レンタサイクル、日帰りバーベキューなどを楽しめる。運営は川原湯の住民が担う。

 横壁地区には屋内運動場や飲食・物販施設、川原畑地区にはダムサイトに売店、林地区には水没文化財保存センターがそれぞれ来春までにオープンする見通し。すでに期間限定で行われている八ツ場大橋からのバンジージャンプだけでなく、今後はカヌー、カヤックなどの貸し出しも検討している。長野原町ダム対策課の担当者は「ダム湖からの景色や周辺施設の魅力を知ってもらい、地元をもっと盛り上げたい」。

 ダムの下流側の東吾妻町にも6年前にオープンした道の駅のほか、廃線跡を活用した地域振興策もある。ダム建設に伴ってルートが変更され、廃線となったJR吾妻線の旧線の一部3・1キロで、自転車型トロッコの運行を5月にも始める。自転車2台をレール上に固定し、ペアでこぎ進める。電動アシスト付きのため、吾妻渓谷周辺の景観を傾斜を気にせず楽しめる。安全のため、身長135センチ未満は乗車できない。

 渓谷沿いをダム直下付近まで走る2・3キロの「渓谷コース」や、800メートル区間を往復する「田園コース」を用意している。ただ、ダム直下で県の水力発電所が建設中のため、渓谷コースは当面、延長7・2メートルで日本一短いとされた樽沢トンネル付近までの1・6キロ運行に制限する。(丹野宗丈)