八ッ場ダム、4月に運用開始(朝日新聞群馬版)

 4月1日から八ッ場ダムが本格運用になります。
 この本格運用について、朝日新聞群馬版の記事では、水需要が減少していることを伝えています。

 タイトルに「東京五輪の飲み水確保へ」とありますが、東京五輪は中止・延期が取りざたされています。現時点では、八ッ場ダムの本格運用が始まる4月1日にダム湖畔で聖火リレーが行われることになっており、スタート地点の川原湯温泉・王湯会館前や湖面橋・八ッ場大橋に聖火リレーの看板が立てられています。

◆2020年3月20日 朝日新聞群馬版
https://digital.asahi.com/articles/ASN3M7GCQN3BUHNB008.html
ー八ツ場、4月に運用開始 東京五輪の飲み水確保へー

 国が今春の完成を目指し建設を進めてきた八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)の本格運用が4月に始まる。1964年の前回東京五輪前の異常渇水を機に建設計画に拍車がかかったダム。2020年東京五輪・パラリンピックでの水需要の増加を見込んで、10日から水をため始めている。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、3月末に開催予定だった完成式典は延期された。時期は未定という。

 国土交通省関東地方整備局によると、昨年10月1日に試験貯水を始め、当初3~4カ月で満水位まで水をためる予定が、台風19号の影響で半月で満水になった。その後は水位を下げ、12月12日から最低水位の状態を維持。台風による流木の処理や、大雨で緩んだ一部道路の補強を進めた。ダム本体や周辺地盤などの安全が確認できたとして、今月9日で試験は終えた。

 通常は31日の完成を待って4月から水を貯留するが、暖冬で水不足が予想される一方で五輪開催前から下流都県の飲み水などの利水需要が高まると整備局はみており、早めに水をためているという。

 八ツ場は利水と治水、発電に使われる多目的ダム。総貯水量は1億750万立方メートルで東京ドーム約87杯分。利根川流域で死者1100人の被害を出したカスリーン台風を受け、治水目的で52年に構想が浮上した。

 反対運動と吾妻川上流の強酸性の水が問題となり計画は進まなかったが、64年7~9月に首都を襲った大渇水が計画の推進力になった。当時は東京都の主要水源は利水専用の小河内ダム(1億8540万立方メートル)のみ。渇水を教訓として利根川や荒川の上流域に利水も兼ねた多目的ダムが次々建設された。八ツ場もその一つだった。

 八ツ場を含む利根川上流9ダムが夏季に利水と発電に使える最大容量は計3億6849万立方メートルが確保されており、うち八ツ場は2500万立方メートルで6・8%にあたる。

 ただ、都の一日最大配水量は78年度の645万立方メートルをピークに、2018年度は470万立方メートルまで減少。利根川を水源とする各県も緩やかな減少傾向が目立つ。節水機器の普及や漏水率の低下、経済の低成長などで水余りの状態が続く。

 八ツ場の総事業費は86年の基本計画では2110億円とされたが、いまや国内のダム建設史上最高額の約5320億円に。かかった費用は地域振興などの費用も含めると計約6500億円に上っている。(丹野宗丈)

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八ツ場ダムを巡る主な経緯
1947年 9月 カスリーン台風で利根川流域を中心に約1100人が死亡

  52年 5月 国がダム計画を長野原町に伝える

  65年 3月 国が町に八ツ場ダム計画を通告、地元の反対運動が活発化

  66年2月 町議会が建設反対を決議

  74年 4月 町長選で建設反対派が当選

  76年 4月 国が水資源開発基本計画(フルプラン)に八ツ場ダムを組み入れる

  80年11月 計画に反対する町に、県が総額約1600億円の生活再建案を提示

  85年11月 生活再建案に町と県が合意。事実上のダム受け入れ

  86年7月 ダム建設に関する基本計画告示。完成は2000年度、総事業費2110億円の予定

  92年5月 「反対期成同盟」が「対策期成同盟」に

    7月 国、県、町が建設に関する基本協定に調印

  94年3月 ダム関連工事がスタート

  96年3月 代替地造成と付け替え国道の工事開始

2001年5月 住民と国が補償基準に合意

     9月 工期を10年延長、10年度完成予定に

  04年9月 ダム建設事業費が4600億円に倍増

  05年9月 代替地分譲基準が決まり、水没地区外へ転居が進む

  07年6月 代替地の分譲手続きが始まる

  08年9月 工期5年延長、完成予定は15年度に

  09年9月 民主党政権がダム建設中止表明

  10年12月 代替地に付け替えた国道145号が開通

  11年12月 民主党政権が再検証で建設再開に転じる

  12年12月 建設推進を掲げる自民党が政権復帰

  13年11月 4回目の基本計画変更で19年度完成に延期

  15年1月 本体工事に着手

  16年6月 ダム本体のコンクリート打設開始。19年6月に完了

    8月 事業費を5320億円に増額

  19年10月 試験貯水開始

  20年3月 ダム完成

    4月 運用開始

—転載終わり—

写真=3月10日に貯水が開始され、最低水位より少し水位が上がってきた。2020年3月21日撮影。

写真=道の駅「八ッ場ふるさと館」の駐車場の脇に設置された地すべり計測器。