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自然環境の破壊八ッ場にダムが計画されるはるか以前、約80年前に現地を訪れた若山牧水は、詩人の直感で次の一文を書き残しています。
「関東の耶馬溪」と称される名勝、吾妻渓谷の上流部1/4地点がダムサイト予定地です。渓谷上流部は八ッ場ダムによって完全に水没することになり、ダム下流も川の流れの変化によって大きく様相を変えることになります。 また、水没予定地周辺は、丸岩、堂岩、王城山などの山々が連なり、渓谷にすぐるとも劣らない美しい景観に恵まれた地域です。吾妻川が長い歳月の間に造り出した自然は、一度ダムによって破壊されてしまえば、二度と元に戻ることはありません。 環境省では絶滅の危機に瀕している動植物をレッドデータブックに記載していますが、吾妻渓谷にはリストに載っている貴重な動植物が 66種 (「八ッ場ダム建設事業」、平成11年8月、建設省関東地方整備局八ッ場ダム工事事務所)も確認されています。その中には、鳥類の生態系の頂点にあるイヌワシ、クマタカなどの猛禽類も含まれています。このことは吾妻渓谷周辺がいかに自然豊かな環境を保ってきたかを示していますが、現地では今、すさまじい騒音を立てて周辺工事が進められており、これら動植物の生存も危機に瀕しています。 環境アセスメント
吾妻渓谷
東京新聞2010年1月1日付 ~一部転載~
◆営巣風景今も心に 日本野鳥の会吾妻支部長 堀込紀夫さん「ほら、あの丸い形の『丸岩』。あそこにイヌワシ(天然記念物、絶滅危惧(きぐ)種)が営巣していた」 長野原町の吾妻川沿いに絶壁がそびえる。八ッ場ダムの計画地。工事現場を走るトラックの騒音に、日本野鳥の会吾妻支部長を務める堀込紀夫さん(69)の声がかき消された。 堀込さんがイヌワシの営巣を確認したのは、ダム計画の一環として同町から鳥類の調査を委託された一九九〇年代。ところが、二〇〇〇年代に入ると、工事の進行状況に符合するように、営巣風景は姿を消した。 ◆『絶滅』『準絶滅』の危惧63種 八ッ場ダム計画地一帯 八ッ場ダム工事事務所は一九九九年に公表した「八ッ場ダム建設事業」の環境調査項目で、七〇~九〇年代に計画地一帯で現地調査や文献調査によって確認された貴重な動植物のリストを挙げている。このうち、環境省が二〇〇六年の段階で「絶滅危惧(きぐ)類」や「準絶滅危惧類」に認定した計六十三種を一覧表にした。 それによると、植物が五十一種を占める。県が発行した「絶滅のおそれのある野生生物 植物編」の責任者で、県自然環境調査研究会の須藤志成幸(しなゆき)副会長に見解を聞いた。 計画地一帯で現地調査の経験もある須藤副会長によると、五十一種のうち、オキナグサやクマガイソウなど計約十種は既に県内で絶滅した可能性がある特に希少な植物。ほかにも、カザグルマは県内では計画地周辺の一カ所のみに自生し、絶滅の瀬戸際にある。マルバウマノスズクサも県内では、計画地一帯にしか残っていないという。
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◆営巣風景今も心に 日本野鳥の会吾妻支部長 堀込紀夫さん