現状レポート
(更新日:2016年4月29日)
鉄鋼スラグ問題と八ッ場ダム
八ッ場ダム予定地を抱える群馬県では、(株)大同特殊鋼・渋川工場から長年排出されてきた鉄鋼スラグの有害性が大きな社会問題となっています。大同の有害スラグ問題が最初に発覚したのは、2013年6月のことです。六価クロムやフッ素などの有害物質を含む鉄鋼スラグは本来、産業廃棄物として処理するものですが、(株)大同特殊鋼は渋川工場から排出される有害な鉄鋼スラグを建設資材として出荷し、大同のスラグは群馬県内の公共工事現場などで大量に使用されてきました。
当初は、工場のある渋川市内に限定されると見られていたスラグ問題と八ッ場ダム事業との関係を明らかにしたのは、八ッ場ダム本体工事入札の前日、2014年8月5日の毎日新聞一面トップスクープと社会面の記事でした。
国交省関東地方整備局は八ッ場ダムの本体工事に予定通り、2014年度中に着手するため、八ッ場ダム事業における有害スラグの調査を2014年9月18日に開始し、問題の早期解決を図る姿勢を打ち出しました。
しかし、その後、明らかになったスラグの使用状況は大量に使用されたスラグの一部に過ぎないと見られ、いまだに問題解決に程遠い状況です。
有害スラグの問題は、地すべりなどダム湖予定地周辺の地質と同様、八ッ場ダム事業の犠牲になってきた住民の生活再建にとって、きわめて重要な問題です。
有害スラグの問題に関しては、2015年9月、群馬県が(株)大同特殊鋼などを刑事告発しました。
刑事事件に発展したスラグ問題の行方が注目されます。
鉄鋼スラグと八ッ場ダムの問題を解説したスライドを掲載します。
32ページのスライドのポイントを以下に掲載します。
スラグ問題の主な関連記事
- 水没住民の移転代替地、土壌からフッ素基準の10倍検出(2017年8月3日)
- 鉄鋼スラグ事件 大同特殊鋼など不起訴(2016年12月23日)
- 拡大するスラグ使用箇所(国交省と群馬県による12月の報道発表と関連記事)(2016年12月23日)
- 群馬県による大同スラグに関する5月の記者発表と八ッ場ダム事業( 2016年5月31日)
- 大同特殊鋼の有害スラグ問題で大同など書類送検(2016年4月28日)
- 長野原町と群馬県と国交省による有害スラグ調査(2016年3月22日)
- 八ツ場ダム予定地住民の移転代替地で基準超すスラグ(2016年3月12日)
- 鉄鋼スラグで県警 大同特殊鋼 立件へ(2016年1月5日)
- 国と県、渋川市による有害スラグへの対応方針(連絡会議で決まったこと)(2015年11月18日)
- 「鉄鋼スラグ:膨張、住宅傾斜 盛り土、雨水吸い」(毎日新聞)(2015年10月26日)
- 有害スラグ問題ー群馬県と県議会の対応(2015年10月13日)
- 毎日新聞の”記者の目”ー「鉄鋼スラグ 有害物質問題」(2015年10月5日)
- 有害スラグ問題、群馬県警が強制捜査(2015年9月14日)
- 国交省記者発表ー鉄鋼スラグに関する土壌の分析試験結果ーについて(2015年4月25日)
- 八ッ場大橋の橋脚工事にも使われていた有害スラグ(2015年1月30日)
- 有害スラグに関する毎日新聞の解説記事(2014年12月31日)
- 八ッ場ダム関連事業で六価クロムなど基準超える有害物質検出(2014年12月27日)
- 鉄鋼スラグに関する公開質問書への国土交通省回答へのコメント(2014年11月7日)
- 国交省、鉄鋼スラグに関する調査の中間報告(2014年10月28日)
- 「八ッ場ダム:代替地や国道、20カ所余にスラグ」(毎日新聞)(2014年10月27日)
- 八ッ場ダム:代替地の調査を開始、鉄鋼スラグ問題で国交省(2014年9月18日)
- 鉄鋼スラグ問題、最初に発覚した渋川市の現場と衆院議事録(2014年8月15日)
- 八ッ場ダム代替地整備に有害鉄鋼スラグ(2014年8月5日)