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「ダムに負けない村 第二弾」(2008/9/15)

八ッ場あしたの会について

(更新日:2011年8月1日)

イベント報告

「ダムに負けない村 第二弾」(2008/9/15)

photo-20080915東京大学農学部弥生講堂一条ホールにおいて、昨年に続き『ダムに負けない村』第二段を開催しました。

「澤地久枝さん、永六輔さん、加藤登紀子さんの現地めぐり」ビデオ上映後、神野直彦氏による基調講演「ダム計画から検証する”地域の再生”」が行われました。

第一部「ダム計画が地元にもたらすもの」

  • 群馬県長野原町― 八ッ場ダム事業の現況(嶋津 暉之)
  • 長野原町の財政(大和田一紘)
  • 新潟県湯沢町― 清津川ダムが中止された地元では?(佐藤 守正)
  • 岐阜県旧徳山村― わが国最大の徳山ダムが建設された地域の人びとは?(阿武野 勝彦)
  • 熊本県五木村―ダム本体工事が凍結されている川辺川ダム予定地より現地報告(森 明香)

第二部「脱ダムと地域の再生―八ッ場ダム問題を解決するために」

右から森まゆみさん、関口茂樹さん
  • 八ッ場ダム事業の見通し(関口 茂樹、嶋津 暉之)
    -代替地計画はどうなっているか(主に川原湯温泉の打越代替地)
    -ダム予定地に投入されている税金は地域を潤しているか?
    -八ッ場ダム事業の工期、工程はどうなるか

  • ダムが止まった時―地域再生への道筋と課題(神野直彦、関口茂樹、大和田一紘、嶋津暉之)
    -長年の地元民の損害と補償
    -首都圏下流が水没予定地の再生を支援するには


アーサー・ビナードさん最後に、作家のアーサー・ビナードさん、映画監督の坂田雅子さん、国会議員の皆様より、ご発言いただきました。

~参加者の感想より~

  • ダムについて私共はもっと真剣に国と、また地元と話し合うべきと思いました。涙あふれることごとです。

  • 川原湯温泉の山木館には相当以前に2・3度泊まりました。その頃もダムに沈むと言っていました。シンポジウムは多角的で良かったです。「棄民」という政策がありますが、日本は「棄故郷」という政策がとられており、自分もそれに流されて来たと感じました。

  • 八ツ場ダムの問題は殆ど無知に等しい状態から話を聞きましたが、何が問題なのか、他のダムがどんな状況か等々、わかり易く、かつ熱い議論が展開されて、充実したシンポジウムだったと思います。懇親会では、発言者や他の団体の人達と知のクロスオーバーが出来て、非常に楽しかったです。

  • あの吾妻渓谷はなんとしても全体で残したい。鬼石の三波石のみじめさは残念でならない。群馬・前橋の出身なので。

  • 今回、ダム問題というものにはじめて向き合った気がします。単に環境問題と思っていたところもあり、いまいち問題意識が向かなかった。しかし、環境だけでなく行政のしくみや住民にとっての地域とはどうあるべきかとか、いろいろ深い問題がからみあっていることを知りました。とくに八ッ場ダムだけじゃなく、他地域のことも知れたのがよかったです。それにしても、経済成長と一体になったダム建設などほんとに時代錯誤です。過ちを認めず、無責任に計画を実施してきた行政の罪は重い。「国策」で地域が分断、破壊された住民の姿を見ると「ここにも三里塚がある」とつい、思ってしまいます。

  • 近隣の人で八ッ場ダムの現状を知らない人が多いので、もっとマスコミに訴えて、大きな運動にしなくてはと思います。その点に重点を置いてください。

  • メンバーが変わってきたせいか? 過去の運動と雰囲気が変わった? 政治家、芸能人やマスコミの力は絶大か?! あまり気分のいいものではないが、こういったものか。現地抜きの大転換もやむをえない。

  • 森まゆみさんのコーディネートはなかなかよかった。八ッ場と川辺川と清津川と徳山ダムを対比できたのは面白かったけれど、結局どこも「夕張」か。でも、「夕張」も消えてなくなるわけではなく、そこに生きた人、これから生きていく人がいる。

  • すごく参考になる話もありましたが、抽象的な話も多かった。地元住民の苦悩にどう対応するかの議論はなかったように思います。先日、川原湯温泉のある旅館に泊まったが、経営者の本音は、代替地とダム湖に不安をもっていて、今の場所でずっと旅館をやっていきたいと考えているように感じました。こういうことについて、突っ込んで議論をしてほしかったです。

  • 八ッ場の現場はさらに悪化していることをビデオで思い知らされました。あのすばらしい石仏群が、あのような無残な姿になってしまうとは! 風情もない場所に等間隔に並べるセンスの悪さがすべてを物語っているような気がします。最後にアーサー・ビナードさんがいみじくも「面白い」とおっしゃいましたが、苦しむ現地の方を前にしては「面白い」などとは言いにくいにせよ、我々一人ひとりが口コミでどんどんこの問題を広めていけば、国家権力による暴挙、愚挙をやめさせられるのでは!? という点で確かに「面白い」のだという認識も新たにしました。関心をもってくれそうな人たちに、とにかく「知ってもらう」努力をできればと思います。

  • 私が地質屋のせいもあり、ダム湖周辺の脆い地盤が非常に気になります。地すべり地帯に代替地の造成なんて、あまりにもひどすぎます。資料38ページにある「上湯原地区の地質断面図」を見てびっくり、崖錘堆積物(崖の崩れた土塊が堆積したもの)層が厚く、しかも左側のボーリング柱状図では深度17m位までN値が不安定、この層の中間部辺りに満水位が来れば浸水による地すべりは避けられないと思います。ダムの水面下に浸水すれば、上部の地盤が浸水で緩んだ下部の地盤に引きずられて地すべりにつながります。その証拠に、どこのダム湖でも水面近くの木がダム湖側に傾いている光景を見かけます。おまけに盛土による造成で、建物の不同沈下や圧密沈下という新たな問題が発生しかねないです。代替地に移れば、地すべりと沈下の二重苦を強いられるのではないかと危惧せざるを得ません。シンポでは、森明香さんにより川辺川ダム計画地の火山灰層の地盤のトンネルの亀裂により維持費がかかることや、群馬県旧鬼石町の関口さんも地すべり地帯にダムを造ると地すべり対策が大変になると指摘していました。八ツ場ダムが造られれば、地すべり対策で技術的にも予算的にも大変になり、地元が疲弊するだろうな、と思いました。