八ッ場ダム問題との最初の出会いは、都議会議員の時代でした。東京の多摩地域ではきれいな地下水を毎日くみ上げて飲用水として水道に使っているのに、国、東京都が水源として認めていない、なぜだろうか? 国がダムを計画し、自治体は水があまっていても何も言えずに(ダム計画に)参加していることを知りました。八ッ場ダムの完成年度が2000年度から2010年度に延長され、事業費が2100億円から4600億円に倍増され、二度のダム計画の変更を都議会で経験しました。その頃、都議会では残念ながら、八ッ場ダムを見直せという大きな声は挙がっていませんでした。今、こうして八ッ場ダム計画の見直しを求める1都5県議員のネットワークができ、この集会に各都県の議員の皆さんが参加しておられることは、隔世の思いです。川の水を利用させていただく下流の私たちは、上流の方々に苦痛を強いてきた立場です。けれども、将来のために、今こそ上流、下流双方のために見直す機運を作り出す流れの中にあると思います。
私は都議会時代、生活者ネットワークというローカル・パーティの代表として、民主党が八ッ場ダムの中止をマニフェストに盛り込むよう活動いたしました。民主党が八ッ場ダムを政策項目に入れ、(私自身も、)2007年の選挙で民主党の参議院議員として当選、バッジをつけさせていただいております。
民主党のマニフェストの中で公共事業の見直しは大変大きな柱です。昨年1月、民主党国土交通部門の下に公共事業検討小委員会を立ち上げ、公共事業中止後の生活再建支援についての法制化に着手しました。公共事業の幅は広いのですが、主にダム問題に取り組みます。この小委員会の座長は枝野幸男衆院議員、事務局長は逢坂誠二衆院議員、私は事務局次長に加わりまして、八ッ場のことを解決したいという思いで小委員会を進めているところです。
民主党は、以前から河川問題に関してのプロジェクトチームをつくり、2004年には八ッ場ダム検証プロジェクトチームが立ち上げられました。その時点で中間報告が出されており、八ッ場を見直す項目の中に、ダム中止後の地域支援を法案化することが盛り込まれておりました。そういう意味では、民主党内に地下水脈のように流れができていたわけですが、選挙でメンバーが入れ替わるなどして、改めて昨年1月から小委員会の活動をしているところです。
本当にこの八ッ場の問題、巨大な国直轄のダムを止めることは、田中康夫さんが長野県で脱ダムと仰いましたが、結果的に県営ダムでもなかなか止められなかった、そして知事が交代すればまた逆戻りしてしまった、そういう状況にあります。ダムを止めるルールは、現行の中ではないに等しい。河川法が改正されても、流域委員会がうまく機能できないことが課題となって皆さんにも見えていると思います。世の中の空気をつくることに大変時間がかかったのじゃないか、と思います。民主党内でも昨年の解決課題はなんといっても道路でしたので、なかなかダム問題とは距離があったかと思います。
昨年1月23日に私は民主党の代表質問で「福田ダム」ということで狼煙を上げたのですが、あっという間に(福田康夫氏は)総理をおやめになって、なんということだろうと。議員の皆さんのネットワークで追い続けていこうと思っていたわけですが、なかなか進んでこなかったことはお詫びしなければならないと思っております。
ただ、本当にこの問題は関心を集めるようになってきました。先週は中東のアルジャジーラ放送の取材がありました。中国の三峡ダムを取材している記者だそうで、政官財癒着の構造、巨大公共事業の国の誤ったあり方を変えてゆくのが今度の政権交代だというお話しをさせていただきました。英語放送があるとのことで、世界中も見ているのかと、ああいう体たらくの政権ですから、注目も集まろうかと思います。間近に政権交代、公共事業見直しを着実にできるところまで来ておりますので、地道な形でこの問題に取り組ませていただければと思っております。
民主党の小委員会では、昨年一年は現地視察も含めまして各地のダム計画のヒアリングを行いました。設楽ダムや徳山ダム、川辺川ダム、山鳥坂ダム、中部ダム、木曽川導水路・・・中止できたところ、どの時点で止められるか、ダム計画によってだいぶ対応を違えなければならないということで、私も八ッ場ダムのことを頭に描きながら法案をつくりたいと思ってやってきたのですが、法案として出すことになりますと、一般的な骨組みを作ることにとどまってしまうのかとも思っています。市民団体の皆さんから法案についてのご提案をいただきましたが、民主党の中で論点を整理して、法案に向けて法制局とのやりとりをしているところです。
先ほど1月9日の八ッ場ダム本体工事のフライング入札のお話もありましたが、昨日、衆議院で予算が通ってしまいまして、来週から2009年度の予算審議が参議院で始まりますが、参議院に送付されて30日で予算は自然成立してしまいます。私たちが今、法制化に向けて進めているものは、150日間の会期ですので、間に合えば6月末までに提案したいと思いますが、選挙があって政権がとれれば直ちに法案を成立させて、ダム事業見直しについて地元の方々に直接お声がかけられるようにしたいというのが、政権交代にかける民主党の姿勢です。
ダム中止後の生活再建支援法案については、何よりも地元の方々の声をどれだけ受け止められるかが鍵だと思っています。大規模公共事業については地元の方々が本当に長い年月苦しめられ、暮らしを阻害されてきたわけです。この方々の地域を指定させていただいて、地域再生の協議会をつくり、その協議会で地域再生計画をつくっていただく。それに基づいて地域再生を行うことが一番苦しんだ方々に報いる方法ではないかと思っております。住民の方々への補償も何らかの形で法案に盛り込みたいと思っていますが、先ほどお話のあった精神補償というのがどのくらいのことになるのか・・・今の法律では全くできないことはハッキリしています。今までの日本の法律では個人の財産についての補償はできないということだったのですが、被災者支援法などでも市民の皆さんがどんどん押し込んで、やっと住宅の新築部分にも補償が充てられるようになりました。(直接補償が)新たな課題となっていると思いますので、この問題も議論を尽くさなければならないと思っております。地域の皆さんとの法案形成のプロセスを充分重視した法案を打ち出したい、その一方で、各地でヒアリングをさせていただきますと、補償された地域の周りから「不公平感」についての声も挙がってまいります。「バラマキだ」と批判を受け、ご当地の方たちが二度三度と苦しめられることのないようなプロセスもきちんとしないといけないと思います。
事前にいただきました主催者からの質問に沿ってお話しますと、例に出しておられる県営中部ダム(鳥取県)の場合、事業を中止した責任は県の役割がきわめて大きいわけです。中部ダムの場合は、県が大変丁寧に役割を果たされたと思うんですが、今、私たちの考えている法案は国のダムを止めた後の支援策ですので、都道府県の役割を法案の中にじかに盛り込むことは少し別の話ではないかと思います。国と都道府県が当該自治体をうまくバックアップしていけるような仕組みを盛り込みたいと思っております。今、事業実施中の国直轄のダムが48、補助ダム(都道府県営)が93、日本で進行中のダム計画が合計141あります。建設費が6兆円で始まったものが八ッ場ダムのように事業費が増額されたりした結果、現時点で9兆円を超えると、前原議員が今週の予算委員会でも取り上げていました。非常に大きな事業費をかけて無駄なダムが造られようとしているわけですが、これを中止するに当たっては、当該地域に相応の補償をすべきだと思います。直轄ダムの場合は、やはり国が中心となって補償すべきだと思っているわけですが、下流の利水予定者の責任ももちろんあります。すべてを国に押しつけてしまうと、モラルハザードが起こるかなと思うんですが、利水予定者の自治体には、必要に応じた負担の割合ももちろん考えていただかなければならないと思います。
生活再建支援金の支給について、先ほどもお話しさせていただきましたが、住民の皆さんにはなんといっても生活を再建していくというところで、個人の思いに応える補償が必要だとは思いますが、今、どのような形でできるかについて、ここで明確なことは申し上げられません。しかし、各地の例を見ましても住宅を中心として支援の方法は出てきているんだと思います。個人単位の補償、集落、地域、自治体単位の補償・・・どのような形の補償にしたら使い易いのか、地元でご議論があるところだと思います。私どもは必ず、この法案を作りましたらパブリックコメントを、大勢の皆さんからご意見をいただこうと考えていますので、そういったところの網にもかけていただけたらと思っております。
そしてまた、ご質問いただきましたのは、事業中止前に転出した住民への配慮ということです。確かに補償金を受け取って故郷を出た皆さんのご苦労に報いるのは難しいことだと思います。ただ、国が買収した土地が不要になってくることがありますから、そこに戻りやすくするという仕組みを作ることは個別的にも可能ではないかと思っておりまして、地域再生計画策定の中で、買収した土地の返還協議についての仕組みを作りたいと思っております。
最後に、継続中の関連事業の扱いについてご質問をいただいております。民主党の動きに対して、実は八ッ場周辺の自治体の首長の皆さんがこぞって民主党においでになりました。ダムを造れと仰るのかなと思っていましたら、「なんでダムを造る計画を長引かせるんだ。道路ができないではないか」と。ダムができないから困るとは仰らない。ダムを造ることを前提とした関連事業については、ダムをいらない再生計画ということですので、やはり見直しをさせていただく。そして必要な関連事業は精査継続させていただくことが必要だろうと思います。継続、縮小、中止といった決定を地元との合意で決定させていただくことがよいのだろうと思います。付帯事業については、中止した際にはかえって費用がかかるのではないかと言われる方々もおられますが、たとえば道路が大きすぎるという判断は、地元の声がないと決定できないことだと思っています。関連事業の継続についての関係者との協議、その仕組みを考えてゆく中で可能になってくると思います。
なかなか法案の全体像が見えないというご感想もあろうかと思いますが、地元との協議がなぜ必要か、それは公共事業の一つひとつが個別に違うという難しさだということはご理解いただけることだと思います。ぜひ、政権交代を実現させていただいて、生活再建支援法の制定にご支援をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
八ッ場ダムの問題については、2000年の選挙で国会に送っていただいて以来、北関東地域を担当する者として、現地に何度も足を運び、国会におきましても公共事業チェック議員の会などでもずっと取り組んできたテーマです。私どもは八ッ場ダムは中止すべきだと訴えてまいりましたが、年月を経るにしたがって問題がより一層深刻となる、利水や治水の面でムダで役に立たないダムであるという観点だけではなく、環境を破壊し、災害を誘発する危険性があるという意味で有害なダムであること、併せて地域での生活再建をいたずらに先延ばしにする、地域再建を妨げるダムであるということで、二重の意味で有害なダムであると改めて中止を訴えてきたところです。皆さんの運動の広がりの中で、国民的関心も大きく広がってきたと思います。住民監査請求に始まり、住民訴訟の運動が各地での裁判を通じて、マスコミでも取り上げられ、輪が広がってゆく中で、各都県の議員の皆さんも一緒に力を合わせて声をあげてゆこうという新たなうねりが広がってきた、この間、心が通い合うような取り組みの前進を大きく実らせるときに来ているのだと感じています。その点で、やはり皆さん方が問題提起をされている、八ッ場ダムを中止するときにいかにこの地域の住民の皆さんの思いに心を寄せられるか、思いを汲み取った対応策こそ求められている、それが皆さん方がご提案されておられる生活再建支援法という仕組みなんだと受け止めております。
工期5年延長というダム計画の変更を地元の方がどのように受け止めておられるんだろうと、ぜひ直接伺いたいと思い、昨秋現地を訪ねました。水没予定地の住民の皆さん方のお話を伺い、対策委員の方々のお話も伺いました。長野原の町長さんは、「私は代替地に家をつくっている」ということでした。二軒立派な家がつくられ始めている中の一軒が町長さんのお宅で、もう一軒はご親戚の家だと。「風呂場を作るのでも随分工夫している。窓を開けると、ダム湖が見渡せる場所に風呂場の窓の位置をつけている」と。町長さんにしてみれば退くに退けない思いでおられるのだろう、という印象を強く受けました。一方で、水没地域の住民の皆さんのお話を聞いたときに、何よりも強く望んでおられるのは「早く決着をつけてほしい」ということであります。いたずらに計画が先延ばしにされて、先の見通しが立たないのがいたたまれないんだと。ですから、そういう意味でも、単にダムを完成させるより、早く決着してほしいからダムを早く造れということであるわけで、仮にダムが中止であっても、そこから展望が開けるのであれば、そこにも新たな選択肢があるのだと感じました。そのためにも生活再建のスキームをつくることがまさに必要なのだと思います。
私どもは党の国会議員団として昨年10月、国土交通省に申し入れを行いました。河川行政の抜本的な転換を求める立場での申し入れですが、そのポイントは二つありました。一つは川辺川や淀川流域でも取り組みが広がっているように、河川法改正の趣旨にのっとり、流域住民を主人公とする河川行政に転換する、そのことをハッキリさせる政策転換を求めたことであります。もう一つが川辺川や八ッ場ダムの現状にありますように、長らくダム計画に苦しんでこられた地域住民の皆さんの思いに寄り添って、生活再建支援のためのしっかりとしたスキームをつくることです。私どもは公共事業の見直しに伴い、住民の生活再建、地域振興を促進する法律の制定を掲げておりますけれども、こういうスキームを国としてつくるよう要請したわけであります。
八ッ場ダムの問題につきましても、流域住民が主人公となって河川のあり方を決めるということがまさに問われている時代、皆さんの運動自体がまさに、利根川流域の皆さんの声を総結集して、流域のあり方、八ッ場ダムのあり方についても流域住民が決めるという立場で取り組んでおられる、これが大きく政治を動かしているわけですから、さらに前進するために皆さんと力を合わせたいと考えております。
その上で、地域再建の問題であります。公共事業の中止に伴って、住民の生活再建支援や地域振興を図ることを義務付ける法律になるわけですが、その際に留意すべき二つのことを私たちは掲げております。その一つが、地域の住民が受けた困難を償うことです。国の作為によって被害がもたらされたのだから、国が損害を補償することを明確にすることです。国がやったことによって迷惑を蒙ったのだから、原状回復に加えて慰謝料などを含めて何らかの賠償を行うのは当然だという立場でスキームを作る必要があるだろうと思います。そうであれば、被害を蒙った方々を広く対象とするのもまた当然のことで、その地域をやむなく離れていった方々に対して補償することも含まれると考えます。もう一つ留意すべきことは、このような地域振興や生活再建支援を具体化する上で必要な地元での協議会をつくる、国も都道府県も地元自治体も協議会が中心となって、地域振興や生活再建支援の枠組みを具体化する。その場合、流域住民が主人公という立場から、地元住民も協議会に参加して意見を述べるー具体化に参画をする立場で臨むことが大事だと思います。
ダムに伴う付け替えの工事などにあたっても、地元の方々が必要とするかを協議会で議論し、地元の方々の要望を協議会で具体化するという立場で臨むことが大事だと考えます。
今日は社民党としての発言の後に、公共事業チェック議員の会、ここにお並びの皆さんにも入っていただいておりますが、超党派の国会議員で構成して活発に様々な問題に取り組んでおります、その会の事務局長の立場からも一言申し上げさせていただきたいと思います。
ダム計画中止後の生活再建支援法案、ぜひ必要だと思っております。とりわけ八ッ場ダムの場合、50年以上の歳月が経っておりまして、旅館業の住民の方、二代目の方、先代の方、色々お話を聞かせていただきましたけれど、「なにしろもうここまで来てしまった、強く反対をしてきたけれど、何事もダム建設というスキームの中できた、将来に対して非常に不安はあるけれど、かといってダムが中止となっても見通しはない。長年の間に相手(行政)の人は変わってきたけれど、住民はずっとダムに振り回され、もう疲れてしまった」と。確かに私たちがチェック議員の会として、たとえばダムが中止となった新潟の清津川ダムの現場に行って、生活再建がどうなっているのかを見ると深刻です。残された地域の人々の生活は大変追い詰められた状況です。ダム事業によって、地域の人々の多くが出て行ってしまうとか、地域をよくしようというインセンティブが、そもそもダムができるのだからとなくなってゆく状況にあったからです。
したがって生活再建支援法的な枠組みはぜひ必要だなということは、かなり以前から、6~7年前でしょうか、中村敦夫さんが公共事業チェック議員の会の会長をやっておられた頃から感じてきました。地方自治法に基づいた地域振興協議会、鳥取県営のダム中止後に開かれておりますが、こういった枠組みをつくることが必要だと思います。
今回の生活再建支援法にぜひ盛り込みたい視点は、いわゆる治水特会から大変な規模の事業予算がえんえんと止まることなく使われてきている。もう、費用対効果の冷静な議論や分析ができないような状態になってしまっている。それはなぜならば、この事業予算が止まれば、あとが何もなくなるということであって、もう必要か必要じゃないかなどということではないんだと、こういうことが八ッ場ダムの中でもあるんだと思います。これだけ進んでいるんだからと、いわば既成事実の積み重ねの議論だと思います。しかし生活再建、地域振興にかかる予算規模はいくらなのか。八ッ場ダムは1兆円に向けて事業が膨張しようとしていますけれど、止めない場合は、経済的出費はどれだけ膨らむのか。つまりは生活再建をしっかりやらないことによって、地元住民からすれば先の見通しがないから、とりあえず必要があってもなくても事業を進めてもらいたい、ここのところをしっかり冷静に読み解けば、生活再建をしっかりやることで、必要のないダム事業、防災の役に立つどころか災害の原因にすらなるダム事業は、冷静に判断してやめることができる。障害となっているのは、住民の皆さんが事業が止まったらどうにもならないという状態です。そして総支出においても、ムダな公共事業の出費を減らして国民生活の役に立つ医療や環境や社会保障に資するもっと身近な公共投資に転換してゆくための議論として、この生活再建支援法案は八ッ場ダムにのみ必要なのではありません。もう一度費用対効果をしっかりみつめよう、冷静に判断しましょうという環境をつくることが必要だと考えています。
公共事業チェック議員の会の事務局長の立場に移りますけれど、この問題に熱心に取り組んでおられる各政党の国会議員の皆さんと一緒に、私たちは立法府におりますので、公共事業チェック議員の会八ッ場部会として、座長の大河原さんのもとでぜひ生活再建支援法の素案を作ってみたいと思います。いくつか法制局と議論しなければならない論点は出てくると思いますが、今、100年に一回といわれている経済危機で、公共事業をどんどんやろうという風にこれから反転してくるんですね、そのときに八ッ場を進めろと、推進派にとってみれば天の声が出てくるときに、そうじゃないと覆してゆくときに、やっぱり大きな論戦が必要だと思います。きたる総選挙における与党側との議論にもなってゆくのかなと思っています。この期に夜陰に乗じてムダな公共事業への負担を増加させてゆくようなことを許してはならないという意味で、これから数ヶ月間、国会で皆さんからご提案いただいている生活再建支援法案の提案をもとに、議連としても素案を掲げてゆく中で、全国会的、全政治的な論点にしてゆけないかと事務局長として考えております。
今日はこれだけ多くの方がこの問題に関心を持って集まっていただき、ありがとうございます。配布資料の1ページに、国交省は八ッ場ダム事業の今後の予定として、2011年度末までに住民移転を終了予定と書いてありますが、実はこれは全く根拠がありませんで、一方的に国交省がそう言っているだけなんです。本当に移れるんだったら、どこの予算をどのように使って、代替地をどのように仕上げるのかちゃんと説明しろと半年前ぐらいから言っているんですが、未だに議会に対しても地元に対しても説明がありません。おそらく2011年度末までにはできないだろうというのが大方の見方です。長野原町議会では定例議会の時に八ッ場ダム対策会議というのを国土交通省と群馬県の特ダム課を呼びましてやりとりがあるんです。12月に説明するように言ってありますので、3月議会になければ強く要請しまして、必ず出させるようにしたいと思います。
移転が遅々として進まないと配布資料にもあります。代替地への移転希望129軒のうち、すでに代替地に移転しているのは1割程度で、それ以外の住民はこの段階に来ても先が見えない状況にあります。すでに地域外に転出した方も、補償金を受け取って生活再建をするのは、なかなか厳しいとは聞いていますが、なにより故郷に残って地域を守りたいと考えている人たちの生活の見通しが立っていないのが現実です。129軒の多くが川原湯地区の住民です。これは川原湯地区の代替地(打越、上湯原)ができていないからです。旅館、あるいは自営業の人が最も深刻で、旅館の場合は一軒ずつだんだんに移転するというのでは商売になりませんので、今の打越の大沢に近い所を旅館の代替地にする計画ですが、ここが仕上がるのがだいたい平成22(2010)年ぐらいといわれています。これも実際に根拠が難しいところでして、仮に平成22年にできたとしても、大きな旅館を建てながら片方で(水没予定地で)営業しながらということになりますので、実際には平成25(2013)年ぐらいにならないと住めないんじゃないかというのが、町のダム対策課の見方です。順調にいってもそういうことでして、もしこれが事業が中断して動かないということになりますと、本当に旅館も場合によっては廃業する方もおられるという心配があります。とにかくここまできますと、時間が非常に重要で、一日も早く先が見えることが水没予定地の方々にとっては願いであり、現実的な問題になっていると思います。この中で現地に行っておられない方がおられましたら、ぜひ、現地を見ていただきたいと思います。
もう一点、一昨年のうちにわかっていたことですが、ダム事業費は4600億円でやりきれると国交省は豪語しているんですが、その根拠が本体工事の設計変更です。資料を見ていただければと思うんですが、もともと18メートル岩盤を掘削して基礎を作るということだったのですが、岩盤が丈夫だから3メートル掘れば大丈夫というんです。ずいぶん危ない話だと思うんですけれど、コンクリートの節約ができると。3メートルではほとんど置いただけのダムじゃないかと思うんですが、これは長野原町の議員として私が追求することではなく、ダムの下流の方々がよく調査をして下さればと思います。