八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

シンポジウム『ダムに負けない村 第三弾』(2009/7/20)

八ッ場あしたの会について

(更新日:2010年1月13日)

イベント報告

シンポジウム『ダムに負けない村』(2009/7/20)

プログラム

<第一部> 基調講演「河川行政の転換 -ダム予定地の現実に接して」
宮本博司(前淀川水系流域委員会委員長、元国土交通省防災課長)
<第二部> パネルディスカッション「八ッ場ダム問題を真に解決する道とは」
コーディネーター:森 まゆみ(作家)
パネリスト:加藤登紀子(歌手・国連環境計画UNEP親善大使)宮本博司(前掲)
牧山 明(長野原町議会議員)
八ッ場あしたの会より報告:嶋津暉之(運営委員・水問題研究家)
<第三部> トーク 加藤登紀子 「八ッ場への想い」
主催: 八ッ場あしたの会
協力: 八ッ場ダムを考える1都5県議会議員の会

基調講演
『河川行政の転換ーダム予定地の現実に接して』(1)~(5)
講師:宮本博司さん

【プロフィール】
1952年京都生れ。1978年旧建設省へ入り、苫田ダム工事事務所長、長良川河口堰建設所長を歴任。
その後、近畿地方整備局河川部長として情報公開の徹底などいわゆる淀川方式の実践に尽力。
06年、本省防災課長を最後に国交省退職後、一市民として淀川水系流域委員会委員長に選ばれるが、08年辞任。現在、家業の樽徳商店会長を務める。

アンケート結果

  • 八ッ場ダム計画における推進と反対の間で苦悩する現地の人々の痛苦の想いは、都市住民の我々の想像を越えるものがあると思う。しかし、時代の価値観をかえるための歴史的な教訓とし、このような事態を招かないために現地の人々の生活再建のために財政的、精神的支援に力を尽くすことが反対運動を進めてきた我々のなすべきこと。
  • 新聞で知っていたつもりでしたが、わからないところもありました。川原湯は本当によいところです。懐かしい思い出が沢山あります。最近行って、巨大な橋脚を見て恐ろしく思いました。(70代)

  • 八ッ場ダムの現状を少し解ったように思います。隣の座席にいらした方は現地の方だそうです。本日のシンポジウムを、「このように思っている方もあるんだと思って聞いている。現地は生やさしいものではない・・・」。ダムの工事が中止になったあとの問題が大きなことがよく解ったように思います。

  • 大河原雅子さんの話で多摩地域の地下水の問題を初めて知った。これも地元にとっては新たな難題だと感じた。民主党議員はダム中止後、「協議会」を作ると説明をしていたが、冗談じゃないと思った。このダム計画は57年もの歴史がある。地域にはダムに半世紀翻弄されてきた人もたくさんいる。私の世代も、ダムを前提とした地域づくりに取り組み、環境の整った故郷を託すつもりで、息子に都会から帰ってきてもらう。現地住民は年に100回もの会議を開いて、ようやく生活再建に辿り着こうとしている。会議でつきあっている国交省職員は、みな宮本さんと同じように誠実な人たちだ。また、地元を騙しているなど、考えたくもないという気持ちもある。ダム事業中止はとても受け入れられることではない。新たな協議会を開くエネルギーなど、もう地元には残っていない。牧山町議は登紀子さんに遮られて地元のことを中途半端にしか伝えられなかった。他の地元民も牧山さんと一緒に登壇すれば、もっと議論がかみ合ったのではないか。私ももっと勉強しなければと思う。(地元住民)

  • 本体工事が実施されないことを聞いて安心しています。国のやることはむごいですね。皆で知恵を出し合って、孫子の代まで守り続けなければいけないことがあります。応援しています。川原湯温泉も生き続けてほしい。生命があるかぎり、人々の暮らしがあるかぎり。(50代)

  • 全体をみれば、大自然を壊すのはもう止めてほしい、 という気持ちが一番です。でも、そこに住んできた人たちのことを思うと、どんなに辛く長い時間、宙に浮いた生殺しの
    状態で過ごし、今もいるのかと思うと、切なくやりきれません。必要のないダムとわかっているにも関わらず、誰が何の目的でこの工事を推し進めているのか、本当に理解できません(国交省の影の誰なのか)。先日、新聞で自民党がマニフェストに八ッ場ダム推進という記事が出ていましたが、理解できません。景色が変わっていくのを見ると、とんでもないことをしているということだけは理解できます。なんとか声を上げて、周りの人に伝えて、取り返しのつかないことにならないように努力していきたいと思います。川原湯の人々にも安心して生活してもらいたい。苦しんできた分、幸せになってもらいたい。だからこれからも関わっていきたいと思います。以前、会員でしたが、生活に余裕がなく、今回のチラシは友人からいただきました。チラシ配布など、広げる活動はできますので、協力させてください。(40代)

  • 二部の生活再建のあたりから聞きました。牧山さんのお話を聞いて、生活再建の色々な選択肢を示す必要があると思いました。嶋津先生の現状の問題点は、短いながらとてもわかりやすい説明でした。私は埼玉の原告として数年裁判に参加していますが、政権交代すれば止められるという大河原さん(参院議員)のお話でちょっとがっかりしています。(でも現地の人々は何十年も闘っているんですよね。)でも、裏を返せば、これは“政治”の問題なんだなーと思いました。(40代)

  • 貴重なお話が聞けてよかったです。(20代)

  • あしたの会の考えがよくわかりませんでした。反対? 地元の生活再建ができればどちらでもOK? 宮本博司さん、森まゆみさんは八ッ場ダムについてはよくわからない旨の発言をしていました。謙遜されてのことだと思いますが、本当にそうであれば・・・? 皆さんの生活再建についての熱意が伝わりました。ありがとうございます。(40代)

  • 参加者がとても多くなり、嬉しく思いました。みんなの関心が高まっている証しと思います。国のレベルでも、転換できる状況になり楽しみですが、人々の今後の生活を支えていくための法整備など早急に整える必要があるでしょう。各パネリストがとても明快な話をしてくれたので、より理解でき、楽しく聞けました。こんな場を群馬だけでなく、各地で開いてほしいものです。友人たちに広めていきます。(60代)

  • コーディネーター役の森まゆみさん素晴らしかったです。お疲れ様でした。また、パネラーの方々も、積極的に問題を追及する姿勢で、そこに住む人、地域の人としての問題意識と、地域の人でない人から見た提案とがぶつかり合い、話し合って理解を深め合い、一緒になって最善を見つけ出す努力が大事だなあと改めて感じました。

  • 無知だったので、「目からウロコ」の気持ちです。家に帰って、家族に、地域の友達に伝えたいと思っています。(68歳)

  • 国の計画した事業を中止変更するのは本当に難しい問題だと思います。科学的に考えれば、むだなダムだと思います。政治を変えて、正しい方向へ修正することが望まれます。多くの人に八ッ場ダム問題を知らせていくことが大事だと思います。(70代)

  • 継続、中止いずれにしても大変なことだが、群馬の温泉激戦地で川原湯は褌を相当締めないと、今後何をやっても50年の損失は取り戻せないと思う。草津でも各旅館の内実はかなり苦しくなって来ている。伊香保もひどいもの。ダムを観光資源なんて発想は、まず無理だし古いと思わないのだろうか。公社、三セクがバタバタ倒れるこの頃、株式会社でなどと踊らされないよう、眉に唾して褌を締めてほしい。(70代)

  • 川原湯温泉街の人たちはみんな精神的にギリギリのところにきており、よその人と話をするのも苦痛という状態だ。旦那衆は代替地に移転するつもりだし、ダムが止まってもその気持ちは変わらないだろう。水没しなくても、温泉の引き湯をしてもらうと要求するだろう。現在の温泉街は、地元の人々にとってあまりに辛いことが沢山あったので、あそこに住みたくないと思っているのだ。温泉は群馬県の県有泉だから、引き湯してくれることになっているが、その後の維持管理費については合意していない。代替地では観光客が来ないこともわかってはいるが、それでも代替地に行くしかない、他のことは何も考えたくないという気持ちは、私も元住民だからよくわかる。ある地権者は「川原湯はもう空中分解している」と言う。見かけはまだ温泉街の体裁をとっているが、内部は崩壊している。川原湯は滅びるだろうが、それも致し方ない。これほどまでに心に深い傷を負っている地元の話を遮って、観光客の願望みたいなことを主張する人がいるのでは、問題の解決に程遠い。
    転出した人々は後悔はしていないという声が殆どだが、それでも川原湯のことは気にしている。できればよくなってほしいが、ダムが止まっても、今は何も希望が見えない。あしたの会には頑張ってもらいたいと思っている。(元地元住民)

  • 登紀子さんの話もよかった。2009年が未来にとっていい年にしたい。

  • 次回はぜひ現地長野原町で開いて下さい。総選挙で民主党が勝つので、中止は目前です。

  • 中止になった場合、今までに造ってしまった施設の有効利用 (1)環境を考えるため、後世に伝える施設に (2)そこに住んでいる人々の考えを聞く。

  • 今日は来られてよかったです。六ヶ所村の再処理工場の問題に関心をもっています。交付金などによって、住民の繋がりや心がズタズタになってしまう状況が似ていて、難しいと感じました。だけど人間の都合の判断だけで自然を切り崩す政策はもう止めてほしいです。その一歩としても、運動を応援します。知らせてくれて、ありがとうございました!(30代)

  • 現地の人の話をもっと詳しく聞きたかった。外からの意見ばかりで、現地の人が聞いたら怒るだろうなと思った。現状と中止になったときの問題点をわかりやすく説明してほしかった。(30代)

  • なぜ中止なのかが一般的には理解されていないのでは? 本日のようなシンポジウムや勉強会を今後もたくさん計画して下さい。映像による説明はとてもよかったです。

  • 大切な自然を壊してはいけない。大事なものがアッという間になくなってしまう。正しいことが通ってほしい、残してほしい。会の皆様、どうかお体大切になさって下さい。

  • 加藤登紀子さんが牧山さんへの追求をゆるめないので、彼が可哀そうでしたが、加藤さんの真剣さもわかりました。本来、シンポジウムというのは討論の場であるのだから、加藤さんの発言は、本来的な意味で引き締まってよかったと思います。東京のコンサートでもそうでしたが、ドキュメンタリーDVDを挿入する工夫がよかった。話だけだと集中困難ですから。政治色は出してよかったんじゃないでしょうか。やっぱり今のままでは希望がもてません。民主党や野党議員の話が聞けてよかったです。風力発電による鳥の被害は永さんの話で知っていたけれど、それ以外は知りませんでした。風力発電のファンドに投資しなくてよかったです。今度、風の強い日に測定器を持って電磁波を測ってみます。ダムのためだけでなく、議会制民主主義を通じて、ほぼ初めての政権交代のために、できたら民主党のボランティアとして活動に参加したい。(40代)

  • 57年間の地元の方々の思いを考えると、ダムを中止して、なんとか生活再建できるものをつくれたらと思います。(50代)

  • 「上毛カルタ」で子供たちすべてが知っている吾妻峡をどうしても残してほしいことと、無駄なダムを止めるのは今を生きる私たちの責任と思います。主催者の皆さん、ありがとう。(60代)

  • 元国交省のお役人(宮本博司さん)の話はよくわかった。時間の都合ではしょった前半部分の京都の樽のことなども聞きたかった。(50代)

  • パネルディスカッションの最後の方はちょっとゴチャゴチャしてきましたが、森さんがうまっく処理していらっしゃいました。さすがです。ダム中止が現実味を帯びてきて、現地の生活再建などの問題点が示され、とてもよかったと思いました。新たな問題が起こりそうですが、できることは何でも協力したいと考えています。我々大人の責任として成し遂げていかねばなりません。第一部、宮本さんのパワポとお話がわかりやすく、力がこもっていてとてもよかったです。来てよかった!(50代)

  • 地元民の意思が知りたい。ダム建設が中止になっても、その後の課題が難問だということを実感。地元の人の意思を尊重といっても、地元の意見も分かれているので解決には何年もかかると思います。地元でない人間としては、ムダな税金は使わないで、地元民の希望が最優先されることを願うだけです。

  • 止められるかもしれないー勇気をもらいました。ダムを止めたあとの生活再建をキチンとやることーそれが新しい政治の一歩ですね。(60代)

  • 八ッ場ダムがストップしても、地元住民の方々の希望にそえる財政支出ができるよう、政治に期待したい。(50代)

  • 期待しただけに、内容には大いに不満。牧山町議が他のパネリストに話を遮られたのを見て、同じ地元民として惨めだった。鉄道や道路が必要だと牧山さんが話してくれたが、その議論をもっとしてほしかった。渋川に転出した人が、こちらより税金も安く、道路も便利でずっと暮らしやすいと言っていた。ただ、森まゆみさんが言っていたように、壇上で登紀子さんに反論する人もいて、会にも色々な考えの人がいるんだな、と現状が伝わったのはよかったのではないか。

  • 登紀子さんが川原湯に惹かれるのはわかるが、旅館の旦那衆より恵まれない人が多いから、地元ではその人たちを可哀そうだと思う人はあまりいない。かつては多くの人が温泉街で働いていた。旅館も経営が苦しいだろう。切羽詰った状況があって、政策転換による停滞を恐れているのだと思う。
    地元は川原湯だけではない。水没予定地域全体を見なければ、問題の本質はわからない。ダムが止まったとき、各地域にどれほど多くの課題があるか、理解する必要がある。今まで地元はさんざん苦しんできたが、このままではダムのツケを弱りきった水没予定地が負わされることになる。あしたの会に是非フォローしてもらいたい。私は政権交代には賛成だし、ダムが止まって生活再建、地域振興ができれば、それば一番いいと思っている。民主党が時間を置かずにそうした政策を進めてくれれば、地元の不安は和らぐ。他の参加者に「このままでは地元で自殺者が出る」と言ったら、「これは戦争だから、少しぐらいの犠牲は仕方がない」と言われた。当事者でないから言えることだと腹が立った。(地元住民)

  • パネルディスカッションでは、現地の現状やこれからの課題にもっと時間をさいてほしかった。ダムの必要性などは何度も聞いているので、時間がもったいなかった。半世紀以上かかってできなくても、誰も困らない、その説明だけあれば十分だ。

  • 無駄なダムはいらない! これは今ようやく国民的合意になりつつある。しかし何十年もかかって工事が進行する中で、地元の人たちの複雑な気持ち(本音と建前、そして現実の生活など)をぬきには考えられない。もっと早くもっと多くの人がこの問題に目覚められなかったのは、私も含めて国民の意識の低さです。しかし、国(権力)のしたたかさ、公共事業で税金を食い物にしてきた人や会社・制度には、怒りいっぱいです。宮本さんの仰った、「もう私たちの世代はいい。孫や子供たちに・・・」という言葉が心にしみました。(60代)

  • ダム本体工事を早く中止して生活再建に取り組みましょう。頑張りましょう! そして次回のシンポは、地域再生について議論するようにしましょう!(70代)

  • ちょっと欲張りすぎの内容と思う。ダムが止まる場合の問題提起はよかったと思うが、まだ消化不良の点あり。

  • 群馬県で開催、大変なご苦労があったと思います。その中でのご盛会、本当に頭が下がります。どのお話も興味深く聞かせていただきました。おそらく地元の方々の反応など大変だと思いますが、微妙なバランスをよくとれたと思いました。おトキさんの想いはわかりますが、ちょっと長かったかな~。宮本さんのお話をもっと聞きたかったです。(40代)

  • 中止に伴う補償、回復等に国交省は責任を持つ法律を作るべき。(60代)

  • 宮本先生のお話、興味深く伺わせていただきました。国交省官僚の頭の中を変えねばならないと思いました。他人の金(税金)の使い方、それに対しての内省を含めた評価を、価値基準を変えていただかねば、日本の風土は壊滅してしまうという思いを改めて実感しました。いつの日か、八ッ場の住民が登壇して共に話せる日を夢見たいと思います。(30代)

  • エコ、自然派として関心があり、興味をもっていたのですが、実際にこのような会に参加したのは最近では初めてでした。でもとても内容が面白く良かったし、勉強になりました。3部の登紀子さんの話も歌もすばらしかったです。(60代)

  • 住民の気持ち、現状の理解が足りない。

  • これは環境問題です。中学生の詩を聞き、もっと大人は子供の声に耳を傾けるべき、大人のはかりだけでなく、もっと幼い真っ直ぐな心に沿っていかなければならないと思いました。

  • 地元の町議さんに対して、登紀子さんが率直な意見を仰ったことに共感。地元の人は大変だと思うが、登紀子さんの仰るとおり、気持ちの持ちよう。地球環境が危機に瀕していることを考えるべき。

  • これからの自分の活動の軸足をよりしっかりさせてくれました。(60代)

  • 宮本さんのお話をもっと聞いてみたい。会場が寒くて集中できず。加藤さんの発言を聞いて、地元のことがわかっているのかと感じた。ダムの工事は今日も進んでいます。今日もダム建設地の国道を通ってきました。生活を確立しなければなりません。道路、鉄道は大事なことです。(30代)

  • どう見ても工事の進捗状況が遅すぎる。ダム受け入れ後の状況は、「飲み水はこれ以上いらない。東京の治水は大丈夫」の神の声に押されたかのように国交省はのらりくらりの姿勢を貫いた。コミュニティは壊され、心はズタズタ。予定地上流の地域もこのダムのお陰で、何年たっても不便を強いられてきた。民主党はダム中止をマニフェストに。それもいい。しかし、壊された地域の人々の心を支えて欲しい。危惧するのは、この選挙区に民主党が候補者を立てなかったこと。マニフェストに「ダム中止」を入れるのならば、候補者を擁立すべきだ。民主は自民にマニフェストの財源の根拠を問われてきた。「無駄」に振り回される地元民の心を察してほしい。倉渕ダムや沼田ダム構想もかつてはあったが、そのおかげでそういった地域では思い切った施策ができないできた。「行くのも地獄・止まるのも地獄」は名言。シンポに参加させてもらい、できる支援をしたいという気持ちの反面、もう手遅れという感も否めなかった。

  • 政権交代が起こったら、民主党には間を置かずに現地住民の声を聞く場をつくってもらわなければならない。群馬県を通さずに、直接長野原町と対話してほしい。町執行部、町議会、ダム対策委員会、観光協会、温泉組合などの役職にある人々が意見を言い、それを民主党が取り入れる姿勢を示さなければ前に進めない。ダム本体工事は中止するが、生活再建・地域振興事業は継続する、そのことを長野原町として要求する形をつくっていくことが肝要だ。(地元住民)