現状レポート
現地の状況
(更新日:2013年6月1日)
ダム予定地は、今(2013年6月1日)
久しぶりに八ッ場ダム予定地を訪れる人は、現地の変貌ぶりに声を失ってしまいます。
5月11、12日とあしたの会では現地イベントがあり、のべ50名近くが参加しましたが、川原湯温泉駅に覆いかぶさるように聳える湖面1号橋の工事に、ダム事業の巨大な破壊力を見せつけられたという声が多く聞かれました。
マスメディアの報道では、ダム本体の関連工事の入札が行われるニュースと前後して、林地区の道の駅「八ッ場ふるさと館」のオープン、川原湯の代替地における旅館再開の記事が次々と掲載され、ダムを抱える地域の将来に明るい展望を願う地元の人々の想いが綴られていますが、実際には一人ひとりの住民の努力ではどうにもならない厳しい状況が進行しています。
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川原湯温泉駅と湖面一号橋
●川原湯温泉駅と湖面一号橋
小さな駅を睥睨するように聳える湖面橋。手前のコンクリート壁面の左上に川原湯地区の打越代替地。
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川原湯温泉の新駅予定地
●川原湯温泉の新駅予定地
写真中央奥にプラットフォームができ、線路も敷かれた。駅の完成予定は来年2月。周辺では駅前整備事業により地形の改変が進む。ダム本体予定地には今も吾妻線が通っており、線路を付け替えないと本格的な本体工事は始められない。
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川原湯温泉新駅前の整備事業
●川原湯温泉新駅前の整備事業
梅林と茗荷畑がなくなり、駅前広場の造成工事が進められている。ここは江戸・天保年間、川原湯で亡くなった旅人の遺体置き場だったといい、工事により武蔵(野)国の住人の(天保年間の)墓石が出土。
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柏屋さんのあった土地に道路
●柏屋さんのあった土地に道路
川原湯温泉街で最も大きな旅館が解体された跡地に盛り土の道路が出現。王湯に隣接するこのあたりには高田屋、みよしやもあったが、いずれも解体されている。
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打越代替地の温泉街ゾーン
●打越代替地の温泉街ゾーン
山が平らに切られ、尾根だった場所の先端に王湯が移転する予定(写真右奥)。現在の王湯は今年いっぱいの営業。ダム事業によるボーリングで掘り当てた新源泉を運ぶ引き湯設備はできたが、自然湧出の旧源泉は引かれていない。代替地で今年再開するやまた旅館と山木館は、温泉街ゾーン以外の土地に移転。
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アナグマ
●アナグマ
水没予定地に暮らすアナグマ。ケーンケーンと鳴くキジや、高い木の巣穴から顔を出すムササビの姿も。ダムの関連工事が進む中、水没予定地は動物たちに残された貴重な棲家。