2007年7月18日
国土交通省河川局長 門松 武 様
関東地方整備局長 中島 威夫 様
利根川・江戸川有識者会議 座長 宮村 忠 様
渡良瀬川有識者会議 座長 小葉竹 重機 様
鬼怒川・小貝川有識者会議 座長 西村 仁嗣 様
霞ヶ浦有識者会議 座長 前田 修 様
中川・綾瀬川有識者会議 座長 鮭川 登 様
利根川流域市民委員会
共同代表 佐野 郷美(利根川江戸川流域ネットワーク)
嶋津暉之(水源開発問題全国連絡会)
吉田正人(江戸川大学教授)
連絡先 省略
住民参加を充実させ
よりよい利根川水系整備計画案を策定するための提案
国土交通省関東地方整備局は、利根川水系の河川整備計画策定にあたり、有識者会議の設置、公聴会の開催などを行ってきました。しかし、私たち利根川流域市民委員会が期待する住民参加のあり方からはほど遠く、単なる「傍聴」や一方通行の「意見表明」にとどまっています。
一方、近畿地方整備局では、淀川水系流域委員会を巡り、レビュー委員会を開催し、同委員会は、4月6日に、透明性、委員会のすすめ方、住民参加、委員の選定方式についてプラス評価を行うとしたまとめを発表しました(資料1)。これに対し、冬柴鐵男国交大臣は、「悪かった点は排除し、良かった点は出来るだけ尊重をすることが大事」と述べ、「淀川だけではなしに他の水系に対しても、尊重されるであろう」と見解を明らかにしました(資料2)。
そこで、これまでの経緯を踏まえ、こうした評価や大臣見解に基づき、利根川流域市民委員会として、改めて以下のことを提案し、策定の進め方について改善を要望します。
この提案についての検討結果の回答を7月末までに連絡先の深澤の方へお送りくだされば幸いです。
1 淀川水系流域委員会レビュー委員会が評価し、大臣が「尊重されるであろう」とした点の提案
河川管理者が住民との間でキャッチボールを密に行うことを基本的な前提として、有識者会議を改組し、その運営方法を改善すること
(1)有識者会議の改組
淀川レビュー委員会の評価
「河川工学など学問領域の専門家のみならず、学識経験者の範囲を拡大し、地域での体験の中で培われた知識を有する者を委員として加え、また、第三者による推薦プロセスを経て、一般公募を含め幅広く委員を選定したことで、多くの意見をもとに議論できたことは評価できる。」
「流域委員会の運営に関する庶務を河川管理者の委託を受けた民間企業が行ったことに関しても、流域委員会の充実した活動を補助するという点に鑑みて評価されるべきである。」
上記の評価を受けて有識者会議を次のように改組すること
(1) 有識者会議を改組し、住民を「地域に詳しい委員」として会議の委員に含めること
(2)「地域に詳しい委員」は、公募によって選考すること
(3) その選考は第三者委員会が行うものとし、選考プロセスをガラス張りにすること
(4) 有識者会議の公平性・独立性を担保するため、事務局は関東地方整備局ではなく、第三者機関とすること
(2)有識者会議の運営の改善
淀川レビュー委員会の評価
「委員会の場で常に傍聴者発言の時間を確保したことや常時住民からの意見を受け付けたこと、現地での意見聴取を実施したこと等を通じて、流域委員会が住民の意見を聴くことにより、住民が意見を述べる機会が増加したとともに、学識者が自らの認識を高めつつ意見を述べることができたということは評価できる。」
上記の評価を受けて有識者会議の運営を次のように改善すること
(1) 有識者会議で傍聴者発言の時間を確保すること
(2) 有識者会議及び事務局は傍聴者の発言にきちんと対応すること
(3) 有識者会議は住民から出された意見書について住民からその内容を聴く場を設けること
(4) 有識者会議は住民と双方向性の意見交換を行う場を設定すること
2 淀川水系流域委員会の実績を踏まえて利根川整備計画の議論の対象に関する提案
淀川水系流域委員会では、計画中の事業だけでなく、実施中の事業、そして、既設施設の維持管理の方法についても議論の対象としてきたので、それを踏まえて利根川においても議論の対象を次のようにすること
(1) すでに実施中のダム建設等の事業も検討の対象とし、その是非を議論すること
(2) 工事を行う事業だけでなく、利根川河口堰や常陸川水門のゲート操作などの維持管理の方法も検討および議論の対象とすること
以上