「ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案」が3月13日に閣議決定され、国土交通省のホームページに関連資料とともに掲載されました。
http://www.mlit.go.jp/report/press/kokudoseisaku01_hh_000011.html
ダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案 →
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2009年に発足した民主党政権は、当初は八ッ場ダムの中止と共に法整備に取り組むとしましたが、いずれも実現せず、2011年12月22日、前田武志国交大臣は八ッ場ダム本体工事の予算計上を発表しました。しかし民主党は八ッ場ダムの本体着工に反対しているため、政府は八ッ場ダムの本体工事の予算計上を認めたものの、予算執行には二条件を付すことになりました。その二条件の一つが、「ダム建設予定だった地域に対する生活再建の法律を、川辺川ダム建設予定地を一つのモデルとしてとりまとめ、次期通常国会への提出を目指す」というものです。
川辺川ダムは八ッ場ダムと共に2009年総選挙における民主党の選挙公約(マニフェスト)に中止が掲げられ、その後も中止方針は撤回されていません。熊本県や流域自治体に推進の声がほとんどなくなっている川辺川ダムは、八ッ場ダムより中止が容易だとされています。
川辺川ダム事業では、付け替え道路などの関連事業がほとんど完了しており、水没予定地の家屋もほとんどが解体されています。多くの住民が水没予定地から転出し、残った住民もダム予定地周辺に造成された代替地へ移転しています。
生活再建支援法案はダム推進をめざす国交官僚のボイコットによって前に進まないと言われましたが、八ッ場ダム本体工事の執行条件に法案の国会提出が入れられたことで、国交省は精力的に法案の準備を進め、今年3月13日には国会に提出する法案が閣議決定されました。八ッ場ダムを中止するために必要だった法案が、八ッ場ダムの本体着工のために準備されるのは、なんとも皮肉なことです。
この法案は、民主党の議員有志による「八ッ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟」(会長:川内博史衆議院議員)が市民団体の協力を得て作成した法案(昨年9月公表)をもとに作られたといわれています。けれども、議連による法案に含まれていた移転しない住民への補償が削られているなど、問題もあります。
閣議決定された法案に関して、中島隆利衆院議員(社民党)が質問主意書を提出し、3月23日に政府答弁が出されました。
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政府答弁などをもとに閣議決定された法案の仕組みと問題点をまとめました。
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