2009年に自公政権から民主党政権へ政権が交代した時、全国では144のダム事業が計画中あるいは工事中でした。
欧米ではすでに河川環境に多大な負荷をかけるダム建設を見直す流れとなっており、わが国でも利権構造が強固なダム事業はムダな公共事業の典型として国民の風当たりが強いことから、民主党政権は当初、全国のダム事業を見直すという政策を掲げました。
こうして、すでに本体工事着工済みであったり(栃木県の湯西川ダム、北海道の夕張シューパロダムなど)、政権交代時に駆け込みで県が本体着手したダム事業(長野県の浅川ダム、香川県の内海ダムなど)、既設ダムの改造事業、政府が中止方針を掲げた川辺川ダム事業をのぞく84ダム事業の見直しを行うため、検証作業が実施されることになりました。
しかし、検証の基準と手順は、国交省みずからが人選した有識者会議が決めることになり、有識者会議メンバーの大半がそれまで国交省と共にダム事業を推進してきた、いわゆる御用学者で占められたため、ダム検証は実際には政策の見直しとは程遠いものとなりました。
八ッ場ダム事業では、事業を進めてきた国交省関東地方整備局みずからが2010年10月に検証作業を開始し、翌11年11月30日に「事業継続妥当」との検証結果を国交省本省に報告、これを有識者会議が12月1日と7日の会議で追認しました。
2012年12月に自公政権が復活した後も、この検証作業は事業者側に有利なことから引き継がれ、全国のダム事業を対象に進められてきました。2016年4月1日現在、72ダム事業の検証が終わり、検証未了のダム事業は12事業―国直轄4事業(大戸川ダム、利賀ダムなど)、水資源機構3事業(思川開発・南摩ダム、丹生ダムなど)、補助ダム5事業―です。
[ 全国のダム事業で特に問題とされている事業 ] | [ 国直轄ダム・水資源機構ダム ] | [ 補助ダム ]
八ッ場ダムをはじめ問題が多く、反対の声が大きい全国のダム事業の検証結果、国交省の方針決定時期、平成21年(民主党政権発足)時点での事業段階などをまとめました。
各事業のダム貯水容量、総事業費、平成21~28年度の各年度予算、平成21年(民主党政権発足)時点での事業段階、国交省の方針決定時期などをまとめました。
(都道府県が国の補助金を受け、事業主体として進めるダム)
各事業のダム貯水容量、総事業費、平成21~28年度の各年度予算、平成21年(民主党政権発足)時点での事業段階、国交省の方針決定時期などをまとめました。