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マスコミ報道の誤り―II.八ッ場ダムはすでに7割もできているという話の誤りについて

マスコミ・行政の問題

マスコミ報道の誤り

(2009年9月17日)

II.八ッ場ダムはすでに7割もできているという話の誤りについて

1.工事の進捗は大幅に遅れている

7割というのは、八ッ場ダム建設事業の事業費4600億円のうち、7割が平成20年度までに使われたということであって、工事の進捗率とは全く別物である。本体工事は未着手である。関連事業のうち、規模が大きいものは付替国道、付替県道、付替鉄道、代替地造成であるが、平成20年度末の完成部分の割合はそれぞれ6%、2%、75%、10%であり、まだまだ多くの工事が残されている。付替鉄道は75%まで行っているとはいえ、新・川原湯温泉駅付近は用地未買収のところがあって、工事の大半はこれからであるから、完成までの道のりは遠い。

八ッ場ダムの工事の進捗状況(平成21年3月末)

八ッ場ダムの工事の進捗状況(平成21年3月末)

代替地の進捗状況(平成21年3月末)

代替地の進捗状況(平成21年3月末)

2.完成が平成27年度末よりも大幅に遅れることは必至

八ッ場ダムの完成予定は平成27年度末で、今年度後半から本体工事着手となっているが、実際の完成は大幅に遅れる可能性が高い。八ッ場ダムの場合、ダムサイト予定地を国道と鉄道が通過しているので、付替国道、付替鉄道を完成させ、現国道と現鉄道を廃止しないと、本格的なダム本体工事をはじめることができない。この付替国道、付替鉄道の工事が用地買収や地質の問題で大幅に遅れているので、事業が継続されても、ダムの完成は平成27年度末より大分先になることは確実である。

 

 


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