王湯会館正面入り口shuku 観光客に長年親しまれてきた川原湯温泉の共同湯「王湯」が6月末で閉館となり、7月5日に代替地の王湯会館がオープンしました。
 マスメディアが大きく報道したこともあって、多くの観光客が訪れています。特に初日の報道のあった翌日の日曜日は、300人以上の入浴客があったということです。
 
 王湯の現在の状況については、川原湯温泉協会がフェイスブックで最新の情報を載せていますので、訪れる前に以下のページを確認されることをお勧めします。
https://www.facebook.com/kawarayu?hc_location=timeline

 衣掛石のレプリカshuku 源頼朝のゆかりを表す笹竜胆の紋所が出迎える玄関脇には、オープンを祝う花が飾られ、正面には「衣掛け石」のレプリカが据えられています。
 川原湯温泉には、源頼朝が浅間狩りの折に川原湯に立ち寄り、大きな石に衣を掛けて入浴したという言い伝えがありますが、「衣掛け石」と呼ばれた本物の岩は、川原湯温泉街の道路拡張の際に土中に埋められたままです。

王湯会館への道 (2)shuku 王湯会館は尾根を切った造成地の先端にあります。
 平坦な造成地にある王湯会館ですが、水没予定地の川原湯温泉街の坂道を模したのか、建物は坂道の上に造られています。温泉街の石垣を模したと思われる石壁は人造石でできています。
 王湯会館前の町道には橋がかけられ、橋を渡ると公園と駐車場が配置されていますが、橋も町道も公園もまだ工事中です。
王湯会館のオープン時期はだいぶ前に決まっていたはずなのですが、なぜ国交省は工事を王湯会館のオープンに間に合わせなかったのでしょうか。もっとも、1990年代に完成しているはずの代替地がいまだに造成中ということ自体、住民に対して不誠実きわまりないことのですが・・・。

王湯会館から見た風景shuku 公園の先には、付け替え県道に沿って建築中の丸木屋旅館とすでに営業している丸木屋カフェのおしゃれな建物がたっています。その左側には、打越沢を挟んで民宿を兼ねている吾八寿司が営業しています。
 王湯会館の前には、障害者が車寄せできるスペースが設けられています。一般の住民や観光客は、大沢駐車場と王湯会館を結ぶ橋が工事中のため、約300メートル離れた打越沢駐車場から町道の完成部分を通って王湯会館に徒歩で行くことになります。

 浴室の入り口には川原湯温泉のシンボルともいえる湯かけ祭りの桶が並び、コインロッカー付きの脱衣場にはベビーベッドが備えられ、赤ちゃん連れの若いママに喜ばれそうです。脱衣場内にあるトイレは自動洗浄で、かつての王湯のトイレとはずいぶん印象が変わりました。
 (浴室内等の撮影は禁止されています。)
 露天風呂を取り巻く林shuku 露天風呂と二階の休憩室からは、水没予定地の温泉街を包み込んでいる自然林が見渡せます。八ッ場ダムができると、ダム湖の眺望が売りになるということですから、自然林がダム湖にとって代わることになります。

 露天風呂トリミングshuku 王湯会館のオープンを伝えた7月5日夕方のNHKのニュースでは、入浴客はさっそく「硫黄のにおいがする無色透明の泉質を楽しんでいました。」と報じられましたが、実際の王湯会館の温泉は無味無臭で、飲湯用のコップもなく、かつての王湯の温泉とは趣が異なります。
(注:王湯会館オープン時、硫黄のにおいがしないと川原湯ファンをがっかりさせましたが、その後、2015年1月大寒の湯かけ祭りを機に、硫黄のにおいが復活しました。湯前さまが移転したからとも言われますが、温泉を水没予定地からくみ上げるポンプを変えたことが原因のようです。少なくともダム完成までは、国交省が川原湯温泉の配湯設備の維持管理に責任を持つことになっています。ー2015年11月23日追記)

 

川原湯温泉の代替地につくられた貯湯タンク

川原湯温泉の代替地につくられた貯湯タンク

 しかし温泉であることに変わりはありません。体が温まるので、寒くなると温泉らしさをより実感することになるでしょう。
 現在、王湯に引かれている温泉は、八ッ場ダム事業により1989年にボーリングで掘り当てた新湯(あらゆ)を、暫定の引湯管によって500メートル離れた代替地へポンプアップし、循環式で配湯しています。。
 国土交通省は川原湯の本来の源泉である元の湯(旧源泉)の引き湯も計画しているということですが、ダム水没予定地の岩の割れ目から自然に湧出している旧源泉の引湯はまだ実現していません。

 
足湯閉鎖のあいさつshuku
温泉卵を作った場所shuku
 水没予定地の川原湯温泉街では、王湯の閉館と同時に足湯が閉鎖されました。
 新湯の源泉口は、備え付けの竹籠に生卵を入れて沈めると温泉卵ができるので、多くの人に利用されてきましたが、その源泉口も新温泉街への源泉の安定供給のためという理由で温泉水が来なくなりました。

どくだみと王湯shuku
 水没予定地の王湯の建物は、看板を外されたものの、今も元の場所に建っています。
 玄関の戸に閉館のご挨拶と新・王湯会館への道案内の貼り紙がありました。
 玄関脇の花壇では、斑入りドクダミが白い苞をつけています。

 元の湯の源泉は王湯に隣接しており、今も王湯から白い湯気をあげて谷を流れ下っています。

元の湯の湯気shuku

 
元の湯の蓋 (2)shuku
 泉源は板で蓋をされていますが、硫黄のにおいのする湯煙がたちこめています。湯口から流れ落ちる源泉を口に含むと塩の味がします。含硫黄ー塩化物・硫酸塩温泉の味です。

 以下の資料は、入札情報に掲載されていた旧源泉(元の湯)等についての概略設計業務です。この契約の履行期間は平成26年3月末までです。
 旧源泉を引き湯する技術的なメドは立ったのでしょうか?

キャプチャ温泉

【7/17追記】
 国交省関東地方整備局によれば、元の湯(旧泉源)引き揚げ等の設備設計に関する中央温泉研究所との契約が再延長され、現在、契約は12月末までとなっているということです。

 関連記事を転載します。

◆2014年7月5日 16時21分 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140705/t10015773101000.html
ー八ッ場ダム建設で移転の浴場 営業再開ー

 群馬県の八ッ場ダムの建設に伴い先月、営業を終えた温泉の共同浴場が新しい場所に移り、5日から営業を再開しました。

 群馬県長野原町にある川原湯温泉は、源頼朝が発見したという言い伝えがあり、源泉近くの共同浴場「王湯」は、古くから地元の人や観光客に親しまれてきました。

 しかし、共同浴場は八ッ場ダムの建設に伴い水没する地域にあることから、先月、営業を終えて新しい場所に移転し、5日から営業を再開しました。

 新しい共同浴場は元の場所から500メートル離れた高台にあり、営業再開を祝うセレモニーでは源頼朝が温泉に入る際に自分の着物を掛けたとされる石のレプリカの除幕式などが行われました。

 このあと、地元の人のほか、神奈川県や埼玉県などから訪れた人たちが早速、新しい浴場の温泉に入り、硫黄のにおいがする無色透明の泉質を楽しんでいました。

 群馬県の60代の男性は、「王湯の温泉は体が温まり、泉質がよくて最高です」と話していました。川原湯温泉協会の樋田省三会長は「これまでのようにタオル片手に気軽に来ていただければと思います」と話していました。

◆2014年7月5日 産経新聞  (共同通信配信)
http://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/140705/lif14070518070028-n1.html

ー八ツ場ダムで水没の温泉、高台で再開 川原湯のシンボル「王湯」ー

 2019年度に予定される八ツ場ダム(群馬県長野原町)完成に伴い水没するため、高台へ移転した川原湯温泉の共同浴場「王湯」が5日、営業を再開した。午後1時にオープンすると、約30人が次々と浴場に向かった。

 川原湯地区の美才治章区長は式典で「民主党政権でダム工事の中止を聞き、どうなるかと心配した。気持ちよく過ごしてもらえるよう運営していきたい」とあいさつ。

 約1時間半かけて車で来たという群馬県安中市の会社員、岡部吉彦さん(67)は「前の浴場より景色が良くなった。気持ちよかった。一杯飲みたいね」と笑顔を見せた。

 王湯は川原湯温泉のシンボル。前の場所から約500メートル東南の約30メートル高い場所に移った。営業時間は午前10時~午後6時。入浴料は大人500円、子ども300円。

*6日の東京新聞社会面に同じ記事が掲載されています。
◆2014年7月6日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014070602000098.html
ー「王湯」再開 奇祭も続く 八ッ場ダム建設で移転ー

◆2014年7月6日 朝日新聞

http://www.asahi.com/articles/ASG7555MBG75UHNB009.html

ー新「王湯会館」がオープン 眺望が売りー

 八ツ場ダム建設のため6月末に閉館した川原湯温泉(長野原町)の共同浴場「王湯」を引き継ぐ「王湯会館」が5日、高台の代替地にオープンした。初日から多くの客が新しい温泉街のシンボルを訪れた。

 新たな源泉から湯を引き、男女各二つの浴室がある。将来は元の源泉からも供給するという。ダムが完成すれば、露天風呂から湖面を一望できる。伝統の奇祭「湯かけ祭り」の舞台も来年からはここに移る。

 5日は午後1時前の開館とともに、約30人がさっそく一番風呂を楽しんだ。安中市の会社員岡部吉彦さん(67)は「気持ちよかった」。元の王湯にも月1回来ていたという。「前は情緒があって良かったけど、こっちも景色が楽しめた」と話した。(井上怜)

◆2014年7月6日 上毛新聞
http://www.jomo-news.co.jp/ns/9214045749632495/news.html

ー高台の「王湯」開業 川原湯温泉 八ツ場ダム建設で移転 ー

 八ツ場ダム(長野原町)の建設で水没するため、高台の代替地に移転した川原湯温泉の共同浴場「王湯」が5日開業した。王湯は川原湯温泉のシンボルで、新天地での営業再開に早速大勢の人が訪れた。ほかに数軒ある旅館も順次この近くに移転する見通しだ。

 前の場所から約500メートル東南の約30メートル高い場所に移った。同温泉で約400年前から続く奇祭「湯かけ祭り」は今後、新しい王湯の前で開催される。40年以上親しまれてきた旧王湯は6月末で営業終了していた。

 2019年度に予定される八ツ場ダム(群馬県長野原町)完成に伴い水没するため、高台へ移転した川原湯温泉の共同浴場「王湯」が5日、営業を再開した。午後1時にオープンすると、約30人が次々と浴場に向かった。

 川原湯地区の美才治章区長は式典で「民主党政権でダム工事の中止を聞き、どうなるかと心配した。気持ちよく過ごしてもらえるよう運営していきたい」とあいさつ。

 約1時間半かけて車で来たという群馬県安中市の会社員、岡部吉彦さん(67)は「前の浴場より景色が良くなった。気持ちよかった。一杯飲みたいね」と笑顔を見せた。

 王湯は川原湯温泉のシンボル。前の場所から約500メートル東南の約30メートル高い場所に移った。営業時間は午前10時~午後6時。入浴料は大人500円、子ども300円。

◆2014年7月6日 読売新聞群馬版
http://www.yomiuri.co.jp/local/gunma/news/20140705-OYTNT50407.html

ー高台で装い新たに 王湯会館再開ー

 八ッ場ダム(長野原町)の建設で水没する川原湯温泉の代替地に5日、新たな共同浴場「王湯会館」がオープンした。観光客らは早速、真新しい湯船につかり、目の前に広がる木々の緑を楽しんでいた。

 新しい王湯会館は、男女別の内風呂と露天風呂を備えた2階建ての和風建築。代替地の約30メートル下にある旧会館は、毎年1月に開かれる伝統の奇祭「湯かけ祭り」の会場だったが、6月末に閉館。来年1月の祭りは新会館で行われる。

 開館セレモニーで、共同浴場を管理する川原湯地区の美才治章区長(67)が「将来は、山の四季折々の変化が湖面に映し出される風景を望みながら入浴できるだろう。心安らぐくつろぎの場所になると思う」とあいさつ。美才治区長や萩原睦男町長らがテープカットして開館を祝った。

 午後1時の開館と同時に、入浴客約30人が早速、湯につかったり、2階の休憩室でくつろいだりしていた。

 富岡市の主婦下田百合子さん(60)は「古い王湯もよかったけど、こちらも露天風呂から見る景色がきれいでよかった」と話した。

 営業時間は午前10時~午後6時。大人500円、小学生以下300円。

◆2014年7月8日 上毛新聞投書欄

 心もとない八ッ場のあした 秋草 美俊(前橋市・82)

 過日、川原湯温泉の移転地が報道関係者に公開され、露天湯からの眺めは格別なものとして紹介された。
 そもそも露天湯の眺めは伊香保・草津をはじめどこも天下一品のもの。八ッ場のみではあるまい。私はダム工事が始まるまでは年に数回、万座・軽井沢方面を訪ねている。それは耶馬渓をしのぐ吾妻渓谷の景観に魅せられたからである。だがそれもダム工事で失われてしまった。
 関係者は露天風呂やダム湖、保養施設やエクササイズゾーンを観光ポイントにしている。だが吾妻の渓谷美は数百年に及ぶ歴史と自然の造形によって生まれた。まさに天が与えてくれた世界に誇れる天然の美である。
 これに匹敵する吾妻の美がこれから生まれるのだろうか。いまさらここで嘆いても始まらないことであるが、はなはだ心もとない話で関係者の一層の努力を期待したい。

—転載終わり—

最近のツイートを以下のページにまとめていただいています。吾妻渓谷周辺では、濃い緑の中にさまざまな花や実を見ることができます。
 http://togetter.com/li/690020