国交省関東地方整備局は来秋から八ッ場ダム本体工事に着手する方針です。
工事予定地である国の名勝・吾妻渓谷では、今年度中に本体準備工事が始まる予定です。
すでに入札手続きが進んでいる本体準備工事には、吾妻渓谷左岸を10万立方メートル掘削する「本体左岸上部掘削工事」や「仮締切(かりしめきり)工事」があります。
仮締切工事とは、ダム本体工事を始める為に吾妻川の流れを迂回させるために、すでに完成済みの仮排水トンネルの呑み口の直下に高さ29メートルの小ダムを作り、さらに約40メートル下流にある仮排水トンネルの吐口の直上流で締切工事を行うものです。小ダムが造られるのは、吾妻渓谷の観光名所ともなっている滝見橋の下流側です。また、締切工事が行われるのは、やはり吾妻渓谷の観光ポイントである小蓬莱付近です。渓谷最大の見所である”八丁暗がり”は小蓬莱付近から始まります。
本体準備工事は名勝・吾妻渓谷に甚大な影響を及ぼすことが懸念されますが、関東地方整備局は本体準備工事が吾妻渓谷に与える影響について何ら対外的な説明を行っていません。当会では8月22日に本体準備工事に関連する公開質問書を送りましたが、いまだに回答が届いていません。
「八ッ場ダムの仮締切工事と関連事項に関する公開質問書」の全文はこちらに掲載しています。
https://yamba-net.org/wp/?p=5467
関東地方整備局の担当者が10月28日に説明したところによれば、回答が遅れている理由は、「仮締切(かりしめきり)工事」が入札手続き中であるため、とのことでした。
8月19日に公告された仮締切工事のの開札は10月9日に行われることになっていましたが、入札不調のため二度目の入札が10月29日に行われました。
◆仮締切工事の入札情報(下の画像をクリックすると、大きく表示されます。)
◆仮締切工事の入札調書
以下の入札調書によれば、工事業者は岩田地崎建設株式会社(札幌市)で、落札金額は4億2,500万円億円です。工事は来年(2014年)7月末まで行われる予定です。
◆本体左岸上部掘削・造成工事の入札調書
なお、同じく本体準備工事の一環である「八ッ場ダム本体左岸上部掘削工事」は、最初の入札公告が5月17日に行われ、7月1日には開札が行われる予定でしたが、こちらも入札不調で二度目の入札公告が7月30日に、開札が9月30日に行われました。以下の入札調書によれば、若築建設(東京都)が3億600万円で落札しています。この工事は来年10月末まで行われることになっています。