荒川の河川整備計画を策定するための有識者会議が開かれています。
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/index00000028.html
一昨日は三回目の有識者会議が開かれ、その配布資料が関東地方整備局のHPに掲載されました。
第3回荒川河川整備計画有識者会議(平成27年4月23日)
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000248.html
この会議に対して、当会も参加している利根川流域市民委員会は公開を求めてきましたが、有識者会議は非公開での開催が続いています。今回、利根川流域市民委員会では、荒川流域の他の市民団体などと連名で全面公開を求める以下の要請書を提出しました。
2015 年4 月22 日
荒川河川整備計画有識者会議 委員各位
荒川の自然を守る会 代表 菅間宏子
荒川緑地エコ・ネット代表 小林隆子
エンハンスネイチャー荒川・江川代表 小川早枝子
桶川の古墳と自然を守る会代表 堀口長治
鴻巣の環境を考える会代表 川島秀男
行田ナチュラリストネットワーク代表 橋本恭一
熊谷の環境を考える連絡協議会代表 栗原堯
全国環境保護連盟 代表 岩田薫
政策アドバイザー 北村文子
利根川流域市民委員会 共同代表 佐野郷美(利根川江戸川流域ネットワーク) 嶋津暉之(水源開発問題全国連絡会) 浜田篤信(霞ヶ浦導水事業を考える県民会議)
荒川河川整備計画有識者会議を全面公開にすることを求める再度の要請
私たちは3月27日の第2回荒川河川整備計画有識者会議において本有識者会議を全面公開にすることを求める要請書を各委員に提出しました。マスコミ関係以外の一般市民は別室でのモニター傍聴にとどめられており、理解しがたい運営がされていることに対して、その改善を求めたものです。
その要請の趣旨は前回の会議の終わりに堂本泰章委員が取り上げ、その発言を受けて山田正座長と事務局で会議の公開をあらためて検討することになりました。
堂本委員の発言にあったように、有識者会議を全面公開にして市民が直接見守る中で審議を進めることに何の支障もありません。全面公開にすることは至極当然のことであり、それを拒む理由は何もないはずです。
ところが、今回の第3回有機者会議も一般市民への対応は何ら変わらず、別室のモニター傍聴となっています。なぜ改善することができないのでしょうか。
市民を審議の場から遠ざける前近代的な措置を続けることに対して私たちは心底からの憤りを覚えざるを得ません。
前回の会議でモニターからみると、会議室は広く、スペースに余裕が見られ、一般市民を傍聴するスペースを設けることは十分に可能です。それにもかかわらず、私たち一般市民は狭い部屋に閉じ込められ、直接傍聴ではないから、委員の発言が聞き取りにくく、発言者の名前もわかりずらく、ストレスが募るばかりです。
1997 年の河川法改正の目的の一つは、河川行政を市民とともに進めていくことができるよう、従来の河川行政のあり方を根本から変えることにありました。だからこそ、利根川の有識者会議でも、他の水系の流域委員会等でも河川整備計画のために設置された会議は全面公開し、市民が直接見守る中で議論が行われてきました。
荒川河川整備計画有識者会議はなぜ、市民を遠ざけようとするのでしょうか。このような権力主義的のやり方は河川法改正の主旨に踏まえないものであり、且つ、およそ民主主義とは程遠いものです。
荒川流域の安全と環境を真剣に考える私たちに対する排除の姿勢は、これから策定される今後30 年間の荒川河川整備計画に暗い影を落とします。
荒川河川整備計画有識者会議を他の水系の有識者会議や流域委員会と同様に、全面公開にして、一般市民が直接傍聴できるように会議の運営のあり方をあらためて審議し、改善措置をとられることを強く要請します。
本有識者会議が今後も一般市民締め出しに固執するならば、そのような時代錯誤の措置に異論を唱えない各委員もそれぞれ責任を負うことを申し添えておきます。 以上
~~~~~ 転載終わり ~~~~~
4月23日の会議の冒頭で、市民団体から要請のある公開の問題について、やり取りがあったとのことです。
会議をモニターテレビで傍聴した嶋津暉之さん(利根川流域市民委員会・共同代表)によれば、山田正座長(中央大教授)が会議の運営は座長に一任されていると語り、事務局に説明を求めたところ、
事務局を務める小島優河川専門官から「関東地方整備局内の委員会は公開の仕方がいろいろあるが、今まで全面公開にした委員会では、傍聴者の不規則発言で議事が乱された例があった」との説明があったとのことです。
2012年度に開かれた利根川・江戸川有識者会議では、八ッ場ダムの本体工事着工の成否が議論され、八ッ場ダムに科学的な妥当性がないことを説明した大熊孝委員(新潟大学名誉教授・河川工学)らの発言に対して傍聴席の市民からエールが送られる一方で、議論を封じた事務局(国交省関東地方整備局)や事務局を擁護する委員には批判の声があがりました。
このことを苦々しく思った泊宏(とまり・ひろし)河川部長ら関東地方整備局の幹部が市民に対する意趣返しとして、荒川有識者会議の全面公開を認めない措置をとっているようです。
泊氏は2012年の途中まで国交省「今後の治水のあり方を考える有識者会議」の事務局のトップである河川計画調整室長であった河川官僚です。2009年の民主党政権発足後、全国のダムの見直しを目的として前原誠司国交大臣が設置したこの有識者会議は、河川官僚の意のままにメンバー選出、非公開開催で進められ、その結果、本来の目的とは逆に、八ッ場ダムをはじめとする全国のダム事業を推進する機能を果たしてきました。
荒川有識者会議では、委員から市民の意見を直接聞く場を設けてほしいという発言も出ており、今後の行方が注目されます。