八ッ場ダム事業等で大量に使用されたことが発覚している有害スラグについて、ようやく群馬県警が動き出すという記事が今朝の紙面に掲載されました。
毎日新聞が一面トップで八ッ場ダムの工事現場に大量の有害スラグがみつかったことを報じたのは、昨年8月、ダム本体工事入札直後でした。有害スラグを出してきた群馬県渋川市では、すでに一昨年より市内の多くの公共工事現場で有害スラグが使用されたことが市議会で問題とされ、群馬県も報告を受けています。
https://yamba-net.org/wp/?p=8361
群馬県警はなぜこれまで動かなかったのでしょうか。
八ッ場ダム事業では、水没予定地住民の移転代替地の地表で大量の有害スラグがみつかっており、昨年より国交省が調査を開始しましたが、大規模な盛土によって造成された代替地では、盛土の中は調査されていません。問題の発覚は氷山の一角とされます。
◆2015年7月27日 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150727-00000014-mai-soci
ー<大同特殊鋼>有害スラグ、強制捜査へ 不正処理委託の疑いー
大手鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)の群馬県渋川市の工場から出た鉄鋼スラグに環境基準を超える有害物質が含まれていた問題で、群馬県警が近く廃棄物処理法違反容疑で強制捜査に乗り出す方針を固めたことが捜査関係者への取材で分かった。同社を巡っては、高額な処分費を避けるため、事実上の引き取り料を支払ってスラグを建築資材として販売する「逆有償取引」も判明しており、県警は実態解明を進めるとみられる。
群馬県などによると、大同は2009~12年ごろ、渋川市の建設会社にスラグを販売する際、受取額以上の金額を「販売管理費」名目で支払っていた。環境基準を超えるフッ素を含んだ状態で出荷しており、さらに逆有償取引をしていることから、事実上の廃棄物処理に当たり、同法の規制対象となる。
スラグは鉄精製時に出る副産物で、さまざまな化学物質が残存することがある。大同は、建設会社が処理資格を持っていないと知りながら処理委託していた疑いがあり、県が近く同法違反容疑で刑事告訴、県警が家宅捜索に着手する見通し。
逆有償取引は、買い取る側が購入分だけ逆に収入が増えるため適正使途がないのに取引を続ける可能性があり、産廃が野積みされる温床と指摘される。スラグを産廃として処分すると費用がかさむため、県警は大同側が有害性を認識しながら取引を続けた可能性が高いとみて調べる。
この問題を巡っては同県の八ッ場ダム建設地から立ち退いた住民の移転代替地や、国道17号バイパスに大同の有害スラグが混じった建設資材が使われていたことが、毎日新聞の調べで判明。毒性の強い六価クロムも検出されている。【尾崎修二】