八ツ場ダム水没予定地、川原湯地区の住民が移転するために国交省が造成した代替地において、長野原町発注の水道配水管工事で環境基準を超える鉄鋼スラグが使われていたことが分かり、撤去工事が行われるとの新聞報道がありました。
(株)大同特殊鋼渋川工場の鉄鋼スラグは、有害物質を含むだけでなく、エージング処理が不十分であるため、水を含むと膨張する性状があります。
今回、撤去工事が行われることになった県道・川原畑大戸線は、八ッ場ダム本体工事現場に隣接する川原湯地区の打越代替地から八ッ場ダム湖の湖面橋として建設された八ッ場大橋へ至る道です。
八ッ場ダム事業ではこの他にも大同スラグが大量に使用されていますが、調査は一部しか行われておらず、調査結果が環境基準を下回るとされた場所では、撤去が行われていません。
◆2016年3月11日 朝日新聞群馬版
http://www.asahi.com/area/gunma/articles/MTW20160311100580001.html
ー八ツ場移転先 基準超すスラグー
大同特殊鋼(本社・名古屋市)から出た有害物質を含む鉄鋼スラグが県内で使われていた問題で、八ツ場ダムの移転代替地(長野原町川原湯地区)の水道配水管工事でも使われ、環境基準を超えるフッ素が検出されたことがわかった。
町発注の工事で、砕石に含まれていたという。町は春以降に撤去することを決めた。
上下水道課によると、今回発覚したのは、町が2012年度に契約した東部簡易水道配水管の敷設工事。現場は八ツ場ダムの移転代替地を結ぶ「県道川原畑大戸線」で、川原湯地区の歩道下約250メートルにわたっている。環境基準の約3倍のフッ素が検出され、町は撤去を決めた。
歩道の表面を覆うアスファルトをはがし、配水管周辺の砕石を取り除く。工事中は歩道を使えないが、水道水に影響は無いという。費用は大同側が全額負担する方向だ。
町の調査で、長野原浄化センター(長野原地区)の建設工事でも基礎部分の地中で同様のスラグの使用がわかった。基準値を下回っており、表面がアスファルトで舗装されているため、撤去はしない方針だ。
八ツ場ダム周辺では、他にも国土交通省が発注した工事でスラグが使われ、移転代替地や道路などで基準値を超えるフッ素や六価クロムが検出されたとして、撤去作業が進められている。 (仲田一平)
—転載終わり—
大同特殊鋼から鉄鋼スラグが盛んに搬出されてきたのは2002~2014年です。
一方、八ッ場ダム予定地では2000年代から2010年代まで代替地の造成、付替え道路等の工事が行われてきました。時期が一致していますので、八ッ場ダムの関連工事でも大同特殊鋼の鉄鋼スラグがかなり使われてきたと考えられます。
八ッ場ダム事業と鉄鋼スラグ問題については、以下のページに解説を載せています。
https://yamba-net.org/wp/genjou/slag/