九州の国直轄5ダムの2017年度予算が大幅に増額されたことを取り上げた記事をお送りします。
ムダな公共事業の典型として批判を浴びた巨大ダム事業。2009年に発足した民主党政権は、国民の要望を受けて全国のダム事業の検証を始めましたが、検証するのがダムの起業者であったため、ダム検証は逆にダム事業推進の道具に化してしまいました。八ッ場ダム事業にゴーサインが出たのも、起業者である国交省関東地方整備局がダム検証を行い、事業に何ら問題はないと結論づけたためです。
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「脱「脱ダム」」が加速というのは何とも悔しいことです。
◆2017年3月20日 西日本新聞
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/315745
ー九州の脱「脱ダム」加速 17年度予算案 九州、事業費13倍もー
民主党政権で縮小されたダム事業の予算が、自民党政権下で大きく膨らんでいる。ダム建設の是非を検証して「継続」が決まった九州の国直轄の5ダムについて、2017年度予算案と11年度の事業費を比較すると、最大で13倍だった。脱「脱ダム」の流れが加速している。
ダム事業検証は10年に始まり、九州では国直轄6、水資源機構1、県営(国が補助)7の計14ダムが対象になった。事業主体と地元自治体が昨年8月までに検証した結果、継続11、中止3となった。
国直轄で継続になったのは、筑後川水系ダム群連携(福岡県)、城原川(佐賀県)、本明川(長崎県)、立野(熊本県)、大分川(大分県)の5ダム。
国土交通省によると、5ダムの09年度の事業費総額は42億700万円。11年度は20億9200万円に減少したが、その後は増加を続け、大分川の工事がピークを迎えた16年度は200億2900万円。17年度予算案には総額131億1100万円が盛り込まれた。
検証中は、着手していた周辺道路の整備などは続けるが「新たな段階」に入らないとしていたため、継続が決まった翌年度以降に事業費が大きく増える傾向がある。
個別に見ると、17年度に本体着工を予定する立野ダムの予算は48億3800万円で、11年度の事業費3億7100万円の13倍。本明川ダムは、11年度の1億2700万円から17年度は13億4700万円で10倍。大分川ダムは14億1800万円から63億3600万円に、城原川ダムは9600万円から3億5900万円に増えた。
昨年8月に継続が決まった筑後川水系ダム群連携の事業費は、11年度から16年度まで7900万円から8800万円で推移していたが、17年度予算は2億3100万円が計上された。
自民党政権は防災や減災のための「国土強靱(きょうじん)化」を重視。国交省九州地方整備局は「流域の安心安全のため、必要とされた工事を着実に進めたい」としている。
▼ダム事業検証 民主党は2009年の衆院選マニフェストに「時代に合わない国の大型直轄事業は全面的に見直す」と明記し、川辺川ダム(熊本県)と八ツ場(やんば)ダム(群馬県)の中止を公約。同年12月に前原誠司国土交通相は、本体に着工していない国直轄や水資源機構、国が補助金を支出する道府県営のダム事業について「ダムによらない治水」が可能かを検証すると表明した。検証対象の83ダムのうち、結果の出た79ダムの内訳は継続54、中止25。民主党政権は11年、八ツ場ダムの中止方針を撤回した。