八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

JR吾妻線、4月より群馬原町、万座・鹿沢口の2駅も無人化

 明日4月1日より、JR吾妻線の二駅が無人化されることになりました。
 吾妻線は群馬県の渋川市から長野県境にある嬬恋村の大前駅まで18駅あります。18駅のうち、すでに12駅が無人駅ですが、これで14駅が無人駅となります。駅員のいるのは、八ッ場ダム予定地の川原湯温泉駅、ダム湖予定地の上流端に位置する長野原草津口駅のほか、渋川駅と中之条駅のみとなります。渋川駅は上越線も通りますので、吾妻線のみの駅では、有人駅は3駅のみです。
 吾妻線渋川―長野原草津口駅の平均通過人員は、1987年度には4506人でしたが、2015年度は3043人にまでに落ち込んでいるということです。 沿線では、八ッ場ダム事業によるJR吾妻線の付替え工事がなければ、吾妻線は廃線になっていたかもしれないという話があります。

 平成27年度の一日当たり乗車人数は、JR東日本のデータを見ると、万座鹿沢口駅205人、群馬原町駅488人ですが、川原湯温泉駅は26人と、今回無人化される二駅より一桁少ない乗車人数です。
 https://www.jreast.co.jp/passenger/2015_09.html
 JR東日本サイトより 各駅の乗車人員 2015年度

 川原湯温泉駅は 乗車人員を把握できるJR東日本の駅の中で、下から12番目、群馬県内の駅の中では、最も少ないのですが、3月のダイヤ改正までは東京・上野から直通の特急草津が停車していました。
 八ッ場ダム事業では巨額の税金と年月をかけてダム予定地区間の鉄道の付け替えを行い、2014年10月に川原湯温泉の開業式典を盛大に執り行いましたので、すぐには特急草津を通過させるわけにもいかなかったのでしょう。
 川原湯温泉駅には駅員がいますが、上毛新聞の記事にもありますように、長野原町の補助金を使って、JR元職員を配置しており、駅員は長野原町に雇用される形になっています。
 

◆2017年3月28日 NHK前橋放送局
 http://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/1065095221.html
ーJR吾妻線の2駅が無人化へー

 JR吾妻線の2つの駅が、来月1日から無人化されることになりました。
 無人化されるのは、嬬恋村の「万座・鹿沢口駅」と東吾妻町の「群馬原町駅」の2つの駅です。
 JR東日本高崎支社によりますと、平成27年度の1日当たりの乗車数は、万座・鹿沢口駅が205人、群馬原町駅が488人と20年余り前に比べて40%から60%減少しています。

 JR東日本高崎支社は、無人化することになった理由について、「駅の利用状況を総合的に勘案して判断した」と説明しています。
 この無人化によって、万座・鹿沢口駅では、通勤や通学の定期券の購入ができなくなるということで、駅がある嬬恋村は「村の観光の玄関口でもあり、完全な無人化を避けるため、委託先を検討している」と話しています。

 また群馬原町駅がある東吾妻町でも、JRの元社員などに委託できないか探しているということです。
 JR吾妻線は、渋川駅と大前駅の60キロあまりを結ぶ路線で、18の駅がありますが、今回の無人化によって駅員がいる駅は、「中之条駅」や「長野原草津口駅」など4駅だけとなります。

◆2017年3月31日 上毛新聞
 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170331-00010000-jomo-l10
ーあすからJR吾妻線 2駅を無人化 14駅が無人に 利用者から不満の声ー

 JR吾妻線(渋川―大前間)の群馬原町と万座・鹿沢口の両駅が1日から無人化されることが30日、JR東日本高崎支社への取材で分かった。吾妻線沿線18駅のうち、14駅が無人駅になる。吾妻高や原町赤十字病院に最寄りの群馬原町駅は券売機が新設されるが短距離切符しか買えず、Suica(スイカ)などに対応する改札機もない。利用者からは「不便になる」「何かあったらどうしたらいいのか」と不満の声が上がっている。

◎券売機は短距離用、Suica非対応…
 同支社によると、昨年度の1日平均の乗車数は群馬原町が488人、万座・鹿沢口が205人で、記録が残る2000年度の3、4割程度。無人化は「駅の利用状況などを総合的に判断した」(同支社)という。

 無人化に伴い、群馬原町には券売機が新設されるが、駅から100キロまでの片道普通乗車券しか買えないタイプ。スイカなどに対応する改札機がある万座・鹿沢口は、山手線圏内までの往復乗車券が購入可能な券売機を導入する。

 群馬原町駅を利用している主婦(49)=東吾妻町=は「ダイヤ改正で特急が止まらなくなり、都内までの乗車券を駅で買えなくなる。不便で仕方がない」と顔をしかめる。来月から渋川市内の高校に通う男子生徒(15)は「電車通学が始まるタイミングの出来事で驚いた。何かあったときはどうしたらいいのか」と不安そうに話した。

 万座温泉に吾妻線で毎年訪れるという山本俊行さん(54)=東京都大田区=は、「乗り継ぎが分からないときは駅員に尋ねることもあった。無人化で不便になったら温泉に足を運びにくくなる」と話していた。

 同支社は「駅の利用状況を見ながら、設備の増強など対応を検討したい」としている。正規の料金を支払わない「不正乗車」対策として、車掌が車内で乗車券を確認するという。

◎住民、観光へ影響懸念
 地元自治体は、無人化で住民の利便性が損なわれたり、観光への悪影響が出ることを懸念している。

 東吾妻町は、吾妻高の生徒や原町赤十字病院の利用者が不便を感じないよう、“有人駅”を維持する考えだ。長野原町の川原湯区が町の補助金を使って、無人化された川原湯温泉駅にJR元職員を配置している状況を踏まえ、「JRにOBの紹介を働き掛けたい」としている。

 万座・鹿沢口駅を抱える嬬恋村は、村民や観光客に与える影響を調査し、対策を検討するという。

◆2017年3月29日 上毛新聞 (太字は当会による)
 http://www.jomo-news.co.jp/ns/1014907508125513/news.html
ー将来の鉄道利用大幅減 山間部の高校生7割超が駅まで送迎 ー

  20年後の2037年に、群馬県内の鉄道利用者数が現在よりも2割以上減少する見通しであることが28日、県が15~16年度に県民の移動手段を調べたパーソントリップ調査の分析で明らかになった。少子化が進み、通学目的の利用が減ることが要因。鉄道利用者数は県の人口減少率よりも早いスピードで減少し、路線によっては大きく落ち込むと推計された。

 まとめによると、県内の鉄道路線の多くで利用者が20%以上減る見通しで、上信電鉄では半減が見込まれる区間がある。一方でJR高崎線や東武伊勢崎線など、東京方面へ向かう路線は減少率が低く、観光目的の利用が多いわたらせ渓谷鉄道でも減少率が15%を下回る区間があった。

 県南部では鉄道利用者が通勤目的で25%減、通学目的は36%減となる。高齢化が進むため通院目的は5%減にとどまるとみられる。

 県民の自動車への依存度の高さも浮き彫りになった。利根沼田、吾妻地域の高校生は学校への通学に53%が鉄道を利用するが、このうち70%以上が駅まで車で送迎してもらっていた。高校まで車で送迎してもらう生徒も20%おり、南部と比べて割合が高かった。自動車を運転できる65歳以上の75%が移動に車を使い、自動車を使えない高齢者も約半数が車での送迎を受けていた。

 分析結果を踏まえ、県は新年度、都市交通体系に関する新たな計画を策定する方針。県都市計画課は「課題を整理し、解決のための計画作りに取り組みたい」としている。

◆2017年3月4日 上毛新聞 (太字は当会による)
 http://www.jomo-news.co.jp/ns/1214885469413790/news.html
ー4日からJRダイヤ改正 高崎―新前橋駅間の運転本数17本削減ー

 3月4日に改正されたJR東日本のダイヤ改正で、これまで高崎駅(群馬県高崎市)を始発終着としていた上越線と吾妻線の電車のうち、日中を中心に一日あたり17本の電車が、始発終着駅を高崎駅から北東約7キロ離れた新前橋駅(前橋市)に変更された。

 両毛線、上越線、吾妻線の3路線が乗り入れる高崎―新前橋駅間の運行見直しを受けたもので、上越線、吾妻線の一部電車の運行区間を短縮させ、高崎駅ではなく、手前の新前橋駅始発とすることで運転本数の適正化を図る。今回の見直しで高崎―新前橋駅間の運行本数は減少するが、上越線、吾妻線そのものの運行本数に変わりはない。JR東日本高崎支社は、利用者減を踏まえた措置と説明し、「お客さまの要望と利用実態を基にして、今後も運行本数を見直す」と話している。

◎少子化、利用者減に対応、上越、吾妻線の始発を新前橋に
 高崎ではなく、新前橋始発として運行区間を短縮するのは、上り9本(上越線4本、吾妻線5本)、下り7本(上越線4本、吾妻線3本)。運行区間を短縮するのは、上りは午前8時台前半~午後1時台、下りは午前9時台後半から午後4時台前半にそれぞれ出発する電車が中心。乗客の利便性を損なわないように、利用客の多い通勤通学時間帯に運行する電車は対象外とした。

 運行区間を短縮する時間帯は、高崎から水上、長野原草津口駅方面に向かう場合、ほとんどの場合が新前橋駅で乗り換えが必要となることから、新前橋駅で短時間で乗り換えできるようにダイヤを調整をしたほか、乗り換える双方の電車を隣接ホームに停車させ、乗降の手間を軽減した。水上、長野原草津口駅方面から高崎に向かう乗客は、終着の新前橋で降り、両毛線に乗り換えて高崎に向かうことになる。

 運行区間の短縮に踏み切った理由について、同支社は乗客数の減少を挙げている。各路線の乗降客をキロ数を割った一日当たりの「平均通過人員」でみると、両毛線、上越線、吾妻線の3路線が乗り入れる高崎―新前橋駅間の人員は、およそ30年前の1987年度は33593人に対して、2015年度は38749人と増えている。

 その一方、上越線渋川―水上駅間は、1987年度は6453人だったのに対して、2015年には約4割減の3850人に減少した。また1987年度には4506人だった吾妻線渋川―長野原草津口駅の平均通過人員は、2015年度は3043人にまでに落ち込んでいる。

 今回本数が削減された高崎―新前橋駅は2015年の時点で約200本の運行があり、一日あたりの平均通過人員が中央線高尾―甲府駅とほぼ一緒。その反面、高尾―甲府駅の運行本数は、高崎―新前橋駅の半分にあたる100本となっており、「過剰な運行本数」として、両毛線、上越線、吾妻線の3路線が乗り入れる高崎―新前橋駅の運行本数の見直しを検討していた。

◎「車王国ぐんま」 利用者減少に歯止めかからず
 鉄道利用者の減少傾向は、少子化の進展とともに全国各地に広がっている。「不便になる」「致し方ない」―。利用者減少を踏まえた上越線と吾妻線の一部電車の始発駅変更に、群馬県民から戸惑いの声が上がった。一定の理解を示す一方、ググっとぐんま観光キャンペーンなど県外から訪れる観光客へのマイナス影響を懸念する声もあった。

 前橋市の会社員の男性(43)は「高崎と新前橋駅を往復する電車が一日あたり10本以上減ることは、間違えなく不便」と声を荒げた。前橋市の無職の女性(70)は「普段電車をあまり乗らないのが実情だが、在来線で水上や草津に向かう乗客は、高崎以外に新前橋でも乗り換えをしなくてはならないかもしれない。せっかく来てくれるお客さんに不親切ではないか」と表情を曇らせた。

 沼田市の会社役員の男性(44)は、高崎に向かう際は、沼田駅前の駐車場不足などを理由に、電車ではなく、自家用車を利用している。今回の見直しを受け「在来線が、不便でいっそう使いずらくなる。今後、新前橋を始発とする電車が増えるのなら、上野東京ラインや湘南新宿ラインなど、東京方面に向かう電車を新前橋まで延伸してほしい」と要望した。

 また藤岡市の女性(42)は、「人口減少社会が進めば、単純に乗る人が少なくなる。不便さは受け入れなければいけない」と印象を語った。

 群馬県が2015年11月に実施したパーソントリップ(PT)調査によると、群馬県民が屋外を移動する場合、徒歩や自転車などの二輪車を主な交通手段に使用する割合は2割弱にとどまっている。「車王国ぐんま」とも称される群馬県では、家族全員が車を所有する世帯も多く、近場への買い物など100メートル未満の移動の場合でも4人に1人が自動車を利用するなど、日常の生活場面で、公共交通機関を使わず、車への依存の傾向が高まっている現状がある。

 国交省が2009年にまとめた貨物旅客地域流動調査分析資料によると、車依存が進む群馬県内において、JRの利用者は群馬県民の2%。人口減少社会に向けて、JR北海道など、すでにJRグループ各社は地方路線の駅の廃止や、減便などを打ち出しており、鉄道利用者の半数は学生を占める現状では、「少子化の進展とともに、乗車人数が少ない路線の運行縮小は、経営判断としてやむを得ない側面もある」(同支社)と話している。