八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

八ッ場ダム事業でつくられるスポーツ公園

 八ッ場ダム事業では、ダムサイトの左岸側にある川原畑地区にスポーツ公園が計画されています。

2007年八ッ場 温井沢スポーツ公園の整備事業は、八ッ場ダム三事業の一つ、「水源対策特別措置法」に基づく「水源地域整備事業」で実施されることになっているメニューの一つです。ダム予定地の地域振興を目的とした「水源地域整備事業」は、八ッ場ダム事業では一千億円近い予算額であり、スポーツ公園の整備事業は8億7,500万円が充てられています。
(参考:国交省情報開示資料「利根川水系吾妻川八ッ場ダムに係る水源地域整備事業の執行状況」など
写真右=土捨て場として利用されてきた温井沢(ぬくいさわ)。2007年10月18日撮影。)

 川原畑地区は八ッ場ダムの水没五地区の一つで、集落全体がダムに沈むため、水没住民の移転代替地が人工造成されました。代替地では山から谷へ抜ける幾筋もの沢が大規模な盛り土で埋め立てられています。スポーツ公園の用地になるのは、ダムサイトに隣接する八ッ場沢と、八ッ場沢の上流側にある温井沢の盛り土部分です。

 川原畑地区ではダム事業が始まる以前と比べると、世帯数が四分の一に激減していますが、公園整備を当て込んで、周辺の土地を有力者が買っているとの噂もありました。広大な公園完成後、維持管理は長野原町が行うのでしょうか? 

 少し前の日付になりますが、業界紙に関連記事がありましたので、転載します。

◆2017年6月17日 群馬建設新聞
ー県八ッ場ダム ダム完成までに公園整備 工事は18年度以降ー

 長野原町と県八ッ場ダム水源対策事務所は八ッ場ダムの左岸側にある八ッ場沢と温井沢を一体とした(仮称)河原畑スポーツ公園の整備を計画している。ダム関連工事で出た残土の埋立地として両沢を使っており、その跡地を有効活用するもの。温井沢エリアの実施設計を建設技術研究所(東京都中央区)が実施中。八ッ場沢エリアの実施設計は今後はじまる。工事は18年度以降となり、ダム完成までに整備完了させる。

 川原畑スポーツ公園を整備する温井沢は八ッ場大橋の北側位置(原文ママ)し、そこから国道145号茂四郎トンネル方向に500㍍程下った場所に八ッ場沢がある。温井沢には芝広場やグラウンドゴルフ場などを設置し、八ッ場沢には流路工に沿って桜などの植栽を行う見通し。両沢の上流部に遊歩道を設置するなどの案も挙がっている。

 現段階では、沢に運ぶ残土の量などが確定しておらず、これらの構想は不確定。今後、県と町、地域住民で調整を行い、公園の仕様を決定する。ダム本体の完成までに公園を整備したい方針で、19年の完成を目標に事業を進めていくとしている。工事は温井沢エリアと八ッ場沢エリアの2件に分けて18年度以降に発注される見通し。八ッ場沢エリアの詳細設計は21日に開札される。

写真=ダムサイトに隣接する八ッ場沢に造られた砂防ダムの列。八ッ場沢の奥には、釣り堀もつくられる予定だという。2015年4月8日撮影。
八ッ場沢の砂防ダムの列

写真=温井沢では、道路わきのカーブミラーが運び込まれた残土に埋まっていた。2013年5月23日撮影。
温井沢

写真=八ッ場沢と温井沢の周辺では、地すべりの要因となる酸性熱水変質帯が広範に分布している。2015年5月30日撮影。
温井沢の土捨て場