2013年2月22日
昨日、利根川・江戸川有識者会議が都内で開かれました。
昨日の会議では、終了間際、関東地方整備局の泊宏(とまり・ひろし)河川部長が有識者会議の打ち切りの可能性を示唆し、そのことが今朝の各紙で取り上げられています。有識者会議の議論はまだ緒に付いたばかりです。
今後30年の利根川の河川整備の内容を決める、流域住民にとって大切な整備計画の策定作業が、関東地方整備局の都合で方針を決められるのだとすれば、1997年の河川法の改正で加わった「住民参加」の理念は、完全に利根川で葬り去られたことになります。
当日の配布資料がこちらに掲載されています。
http://www.ktr.mlit.go.jp/river/shihon/river_shihon00000217.html
この会議を取り上げた記事を転載します。
◆2013年2月22日 上毛新聞
-河川整備計画で有識者会議終了か 関東地方整備局ー
利根川の河川整備計画策定に向けた国土交通省関東地方整備局の有識者会議が21日、東京都内で開かれ、同局が提示している八ッ場ダム建設を含む計画原案について、有識者11人が治水や利水、環境保全などの観点から意見を述べた。会議終了後、同局は次回開催を明言せず、有識者会議が終了となる可能性がある。
八ッ場ダム建設反対派の委員は「森林の保水力を計算に入れるべきだ」などと発言。次回の会議で河川流量に詳しい大学教授を参考人として呼ぶことを求めたが、同局は「局内で検討したい」と述べるにとどめた。
同局は24~26日の3日間、高崎市など4会場で事前に申し込んだ市民から計画原案についての意見を聞く公聴会を開く。
◆2013年2月22日 朝日新聞群馬版
http://www.asahi.com/area/gunma/articles/MTW20130222100580001.html
-利根川・江戸川有識者会議 次回以降の開催、明言せずー
八ツ場ダム(長野原町)問題に関係し、国土交通省関東地方整備局は21日、利根川・江戸川有識者会議(座長=宮村忠・関東学院大名誉教授、委員21人)を都内で開いた。利根川・江戸川河川整備計画の原案を協議。整備局は、今後の方針について明言を避けた。
今回も出席委員は11人にとどまったが、大半が専門の立場で見解を示した。終了後、泊宏河川部長は「多くの方から意見をいただいた。今後の対応は整備局で検討したい」と発言。次回以降の開催は明言せず、打ち切りとなれば、見直し派から批判を受けそうだ。
会合では、改修や渇水の歴史、生態系なども計画に記すよう求める声が続出した。見直し派の大熊孝・新潟大名誉教授(河川工学)は「多様な論点が出ている。時間をかけて議論すべきだ」。
「首都圏を抱える利根川は最大限に治水安全度を上げるべきだ」とした推進派の虫明功臣・東大名誉教授(同)も「余計なことを書かないという姿勢が感じられる」と皮肉った。
原案は70~80年に1度起こりうる洪水に耐えるとし、基準地点(伊勢崎市八斗島)の目標流量を毎秒1万7千トンに設定。他の河川より厳しい値にし、八ツ場ダムの必要性を強調する。
整備局は、原案への意見を3月2日まで募集中で、今月24~26日には高崎市など4会場での公聴会で32人が意見を述べる。さらに関係知事への意見聴取などを踏まえて決定するとしている。(小林誠一)
◆2013年2月22日 下野新聞
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/local/news/20130222/986609
-会議打ち切りの可能性を示唆 河川整備で国交省ー
国土交通省関東地方整備局は21日、八ツ場ダム(群馬県)の建設に関連し、利根川水系の河川整備計画策定に向けた「第9回利根川・江戸川有識者会議」を東京都内で開いた。
同整備局の泊宏河川部長は会議の最後に、「多くの委員からさまざまな意見をいただいた。今後の対応は整備局で検討させていただきたい」と述べ、場合によっては有識者会議での意見聴取を今回で打ち切る可能性を示唆した。
同整備局は有識者会議について、利根川・江戸川河川整備計画案の策定に当たり有識者から意見を聴く場と位置付けている。
この日は国交省が1月に公表した整備計画原案について意見交換した。
同整備局は次回会議の開催候補日を委員に提示しているものの、実際に開催するかどうかについて、担当者は「今後検討する」と述べるにとどまった。
◆2013年2月22日 東京新聞群馬版
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20130222/CK2013022202000200.html
-建設根拠議論へ参考人招聘要請 八ッ場ダム有識者会議ー
国土交通省関東地方整備局は二十一日、利根川・江戸川河川整備計画を議論する第九回有識者会議を都内で開催した。
八ッ場(やんば)ダム(長野原町)の建設計画を盛り込んだ計画原案について、主に利水や環境面から意見が出た。
岡本雅美・元日本大教授は、各地の水道局で過去の渇水時に対応したベテラン職員の退職時期が近づいていることを踏まえ「対策のノウハウがなくなり、今後渇水が起きれば社会的混乱が起こる」と対応を求めた。
浅枝隆・埼玉大大学院教授は「利根川中流はリンや窒素が高い。外来種への注意も必要だ」と指摘。絶滅危惧種に指定されたニホンウナギの保護を盛り込むことを求めた委員もいた。
八ッ場ダム建設の必要性の根拠となっている目標流量の検証に使われた「貯留関数法」のより詳しい議論が必要だとして、大熊孝・新潟大名誉教授、関良基・拓殖大准教授の両委員が参考人の招聘(しょうへい)を要請した。(伊藤弘喜)