2013年4月29日
一昨日、八ッ場ダムの水没予定地を見下ろす長野原町林地区に道の駅「八ッ場ふるさと館」がオープンしました。
道の駅は八ッ場ダム事業の地域振興事業の一環としてつくられたものです。好天が続く中、草津温泉に通じる国道沿いに立地する道の駅は多くの観光客や地元の人々でにぎわいました。
店内には、八ッ場ダムカレー、八ッ場たんめん、八ッ場ワイン、八ッ場バウムクーヘン、八ッ場カステラなど、全国的に有名になった”八ッ場”という地名を冠した商品が並んでいます。しかし、道の駅に移設された八ッ場ダムの広報コーナーは面積が狭く、八ッ場ダムのジオラマと年表が展示されているだけです。
このため、道の駅の全体としての印象は、ダムとはあまり関係ないように見えます。実際、国交省の試算でも、八ッ場ダムの完成は2021年以降とされていますので、道の駅が八ッ場ダムをコンセプトにするのは無理があります。
これまで水没予定地に八ッ場ダムをPRする施設として広報「やんば館」があり、道の駅の開設にともなう情報コーナーの設置を理由に、やんば館は閉館となりましたが、八ッ場ダムの建設目的やダム事業について説明した展示物はすべて撤去され、道の駅には掲げらていません。八ッ場ダムの建設目的には事実の歪曲が多く、新聞紙上でも「やんば館」の展示のいい加減さが指摘されていました。
この道の駅の魅力は、なんといっても対岸にそびえる堂岩山、金鶏山、丸岩などの景観のすばらしさです。観光客は道の駅の眼前にのびる不動大橋の橋上で、新緑で淡い緑に彩られた山々や水没予定地を見渡したり、写真を撮っていました。
八ッ場ダム予定地は上流に多くの観光地や農場を抱えており、さらに草津白根山由来の酸性水が流入するため、ダムに水を貯めればきわめて水質が悪くなると懸念されています。道の駅の景観も、ダムができれば台無しになるでしょう。
道の駅の施設は、八ッ場ダム事業の負担金を支払っている利根川流域都県の施設によって建設されましたが、今後の維持管理は地元住民による株式会社によって運営されることになります。
関連記事を転載します。
◆2013年4月27日 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130427/k10014238171000.html
-八ッ場ダムで水没の地域振興へ道の駅ー
群馬県長野原町に建設が計画されている「八ッ場ダム」の近くに道の駅が完成し、地元は観光の振興や雇用の確保につながると期待しています。
完成した「道の駅八ッ場ふるさと館」は、ダムの建設で水没する地域の住民の生活再建につなげようと、長野原町が整備したもので、住民が運営に当たります。
27日はおよそ80人が出席して施設の完成を祝う式典が開かれ、国土交通省の担当者が長野原町の高山欣也町長に道の駅の登録証を手渡しました。
道の駅には、群馬県産の農産物の直売所や足湯、それに八ッ場ダムの建設計画の歴史を紹介するコーナーが設けられ、家族連れなどでにぎわいました。
千葉県から草津温泉に向かう途中に立ち寄った60代の夫婦は、「おにぎりと弁当を買いました。こういう施設ができると旅が楽しくなっていいですね」などと話していました。
施設を運営する会社の篠原茂社長は、「雇用を創出し、地元の農産物を提供したりして、地域の再建につなげていきたいです」と話していました。
国土交通省は八ッ場ダムの平成27年度の完成を目指していて、周辺の道路や橋などの工事は進んでいますが、本体工事に着手する具体的な日程はまだ決まっていません。
◆2013年4月28日 上毛新聞
http://www.jomo-news.co.jp/ns/2913670751155189/news.html
-八ツ場ふるさと館オープン 地域再建の出発点にー
八ツ場ダム水没地区の地域振興施設として長野原町が同町林に整備した道の駅「八ツ場ふるさと館」が27日、開業した。同町でダム水没に伴う地域振興施設が完成するのは初めて。
長引くダム計画で疲弊した地域に活気を取り戻そうと、林地区の住民を中心に準備を進め、開業の日を迎えた。「これからが生活再建の本番」。関係者からは、同施設が他の水没地区の生活再建事業やダム本体工事の弾みになるよう期待する声が上がった。
オープン式典には大沢正明知事や高山欣也長野原町長、山本一太沖縄北方担当相、水没5地区の代表ら約70人が出席。
高山町長は「道の駅が完成し、他の水没地区でも生活再建事業の活況が期待できると実感した」と話し、大沢知事は「生活再建事業とダムの一日も早い完成に向けて最大限努力する。この地に再びにぎわいが戻ることを期待している」と激励した。
◆2013年4月28日 読売新聞群馬版
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20130427-OYT8T01310.htm
-八ッ場道の駅オープンー
八ッ場ダム(長野原町)建設に伴う住民の生活再建事業で、初の本格的な地域振興施設「道の駅 八ッ場ふるさと館」が27日、長野原町林地区にオープンし、大型連休初日とあって、大勢の観光客が訪れた。
同館ではこの日、記念式典が行われ、高山欣也・長野原町長は「道の駅に続き、他の水没地区の生活再建事業も活発になってほしい」とあいさつ。大沢知事も「オープンを契機に、この地ににぎわいが戻ることを期待したい」と語った。
道の駅は木造一部2階建て約990平方メートルで、野菜の直売所やコンビニ店、食堂、足湯などがある。
運営会社の社長を務める篠原茂さん(62)は「社員には『明るく元気よく地域を盛り上げよう』と呼びかけた。今日からが本番。成功しなければいけない」と気を引き締めていた。
来場した同町羽根尾、農業萩原実さん(81)は「道の駅がこの地域を元気にしてくれると期待している」と話した。