昨年12月、東京の調布市議会で八ッ場ダム見直しを求める意見書が可決されたことがわかりました。
同様の意見書は、2003年に、千葉の佐倉市、習志野市、船橋市、四街道市、2004年に、東京の小金井市、東久留米市、小平市、東大和市でも採択されています。
●意見書全文↓
(読みやすいよう、段落間をあけています。正式な原文は議会にお問い合わせください。)
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内閣総理大臣、国土交通大臣宛
八ッ場ダム建設見直しを求める意見書
国は首都圏の水がめとして半世紀前以上も前の1952年、群馬県の長野原町に八ッ場ダム建設を計画し、東京都も利水・治水の恩恵を受けるとして、首都圏の5県とともにその事業に参画しています。建設予定地は、利根川の支流、吾妻川の中流部にあり、名勝「吾妻渓谷」がダムによって大きく破壊されてしまいます。
首都圏の「水がめ」として計画された八ッ場ダムですが、首都圏の都市用水の需要はここ10年減少傾向が続いています。これからは人口漸減とともに水需要も減っていきます。一方で水源開発が次々と行われたため、すでに水余りの時代に入っているのです。
また、多摩地域では、良質な地下水を水源として利用してきており、現在でも、ここ調布市では水道水の約6割が地下水です。住民にとって貴重な財産である地下水を涵養しながら飲み続けていくことは調布市民の願いであり、東京都水道局は、水道事業一元化後も地下水を利用し続けていくことを調布市に約束していますが、一方で、八ッ場ダムが完成すると、この地下水を河川水に切り替える計画であると言われています。
国土交通省は1986年に基本計画を発表し、完成を2000年としました。ところが、2001年には2010年に延期し、さらに昨年12月13日には、工期を5年間延長し2015年とする計画変更を発表しました。
この工期延長は、東京都にとって完成を待つ限度を超えています。2015年は、東京都でも人口がピークを迎える頃で、その後減少に転ずると予測されています。これまで水道局の努力によって漏水が減り、市民の節水意識の向上や民間事業者の技術開発などによって、人口が増加しているにもかかわらず、都内の水道使用量は減ってきています。
水需要予測や治水計画などを検証することなく、ダムの必要性そのものを再検討しないまま事業費を増額しながら継続される「公共事業」のあり方は、深刻な財政難の中でとうてい納得できるものではありません。
よって、調布市議会は、政府に対して、八ッ場ダム建設について抜本的見直しを行うよう求めるものです。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
平成20年12月16日 調布市議会