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群馬県議会の議事録(6月11日)

 2010年6月11日、群馬県八ッ場ダム対策特別委員会で行われた質疑の議事録の中で、八ッ場ダム問題に関連する箇所を転載します。八ッ場ダムの関連事業、代替地、ダム湖の水質など、様々な問題が取り上げられています。

〈付け替え国・県道、付け替え鉄道の工事進捗状況について〉
○ 角倉委員
 前回質問したがいくつか確認したい。5月下旬の新聞記事に、湖面2号橋について今年度中の開通を目指して工事を進めているとあるが、湖面2号橋を開通するためには、付替県道の上湯原地区を完成させないと使えないということで、付替県道林岩下線について上湯原地区はいつ完成するのか。
● 古橋特定ダム対策課長
 国からは今年度中に供用すると報告を受けている。

○ 角倉委員
 今年度中に完成するということでよいか。
● 中島特定ダム対策課生活再建対策主監
 上湯原地区は一部用地交渉が難航している箇所については、工事用道路を町道として使用した上で迂回して対応すると聞いている。

○ 角倉委員
 用地交渉難航箇所については、当初の予定箇所からはよけて付替町道にして迂回して完成させることでよいか。
● 中島特定ダム対策課生活再建対策主監
 そのとおりである。町道として暫定的に22年度中には全線開通と聞いている。

○ 角倉委員
 用地買収が進んでいないことが理由の一つだと思うが、工事の遅れは地質の問題もあるのか。
● 古橋特定ダム対策課長
 上湯原地区で地質の問題は特に国からは聞いていない。

○ 角倉委員
 地質の問題があるか分からないのか。聞いていないのか。
● 古橋特定ダム対策課長
 上湯原地区でそういう問題があるかは聞いていない。

○ 角倉委員
 そのことについて確認していただきたい。
 次に、付け替え県道林岩下線の吾妻渓谷間が4月から暫定供用が開始されたが、吾妻渓谷より下流の供用開始はいつか、また工事の遅れの理由はどうか。
● 古橋特定ダム対策課長
 平成22年度中に供用開始する予定であると聞いている。また、急峻な場所でかつ想定以上に岩盤が固く、掘削・排出作業に時間を要したことによるものと聞いている。

○ 角倉委員
 岩盤の堅さ、処理の方法によっては、また遅れる可能性があるのではないか。
● 古橋特定ダム対策課長
 予定どおりやってくれというのが伝えているところである。県としてはできるだけ早く利用できるよう要望している。

○ 角倉委員
 付替国道145号について、茂四郎トンネルなど一部供用になっているが、残っている箇所の供用開始はいつか。
● 古橋特定ダム対策課長
 国からは今年度中に供用開始するとの報告を受けているが、基幹道路ということもあるので、できるだけ早く利用できるよう強く要望している。

○ 角倉委員
 法面の地質上の問題があって、作りながら崩れて、手を入れて、調査をしているということだが、安全性確保の見通しはついたのか。
● 古橋特定ダム対策課長
 今の委員の言う場所は、国からは法面崩落を防ぐために上部の排土工を中心に進めており、供用開始時期に遅れが出ないようにしたいと報告を受けている。

○ 角倉委員
 あの部分は全面的に法面を削っていって、安全性を確保して今年度中に供用開始することでよいか。
● 古橋特定ダム対策課長
 工法として排土工を中心に行うと聞いているだけで、工事の詳細については報告を受けていない。

○ 角倉委員
 県が管理することになる道路だから、安全上の問題が担保されない限り、移管されても困るわけだから、国にしっかり情報提供を求めていくことでよいか。
● 古橋特定ダム対策課長
 そのとおりである。

○ 角倉委員
 次に、雁ヶ沢ランプより下流側の工事が大きく遅れている理由と解決の見通しはどうか。
● 古橋特定ダム対策課長
 工事とするとJRの工事の進捗と合わせて、できるだけ早く進めたいと考えている。

○ 角倉委員
 遅れている理由はどうか。
● 中島特定ダム対策課生活再建対策主監
 雁ヶ沢ランプ以東については、工事は遅れていない。平成22年度末にJR付替工事が完成した後に、JRをまたぐ、踏切をつぶして工事をするので、平成23年度中頃までに完成する予定であり、工事は順調に進んでいる。

○ 角倉委員
 次に、付替鉄道について、主監から話があったが、完成の見通しはどうか。
● 中島特定ダム対策課生活再建対策主監
 JR付替工事については、延長10.4キロのうち八ッ場トンネルなど9.1キロが概成しているが、2箇所で用地交渉が難航し、工事着手が遅れていると聞いている。国からは今年度末に完成する予定で早期の完成に向け鋭意努力するとの話を受けている。

○ 角倉委員
 新駅予定地周辺の工事が遅れているということだと思うが、用地交渉が難航している理由は何か。
● 中島特定ダム対策課生活再建対策主監
 国からは用地交渉が難航しているという話のみを聞いている。

○ 角倉委員
 用地買収ができないと、国道工事や全体計画にも影響が出ると思うがどうか。
● 古橋特定ダム対策課長
 用地交渉の話で個人情報になるが、レール等の軌道敷ではない部分、はずれる部分なので、国とJRとの間で工法等を協議して予定どおりに進捗させたいと聞いている。

○ 角倉委員
 用地交渉が難航している土地を買わなくてもできるのか。
● 古橋特定ダム対策課長
 用地交渉の中で、いろんなケースを考えながら工法を検討している。

○ 角倉委員
 この問題は相当、生活再建と密接に関連しており、ここの問題がクリアされないと生活再建にとって重要な位置を占めると思うがどうか。
● 古橋特定ダム対策課長
 そういうことを踏まえ国は鋭意努力すると聞いている。
 大きな問題であると、国から話を聞き、状況について認識していると理解した。

〈代替地について〉
○ 角倉委員
 次に代替地の問題であるが、各代替地の完成予定時期はいつか。
● 中島特定ダム対策課生活再建対策主監
 全体で34.2haのうち、平成21年度までに町営住宅用地など8.2haを分譲済みで、現在一部を除いて造成が完成しており、道路や区画割りなどが完成したところから順次分譲していくことになると国から聞いている。

○ 角倉委員
 代替地の完成時期は国から示されていないということでよいか。
● 中島特定ダム対策課生活再建対策主監
 いつまでということではなく、完成したところから順次分譲すると国から聞いている。

○ 角倉県議
 県はダムを造る方向で進んでいる。できたところからといわれても、地元の人は次の生活設計が立たなく、しっかり見通しを示してくれという声が上がっていると思うが、具体的に明らかにされていないのか。
● 古橋特定ダム対策課長
 代替地については粗造成が終わり、オーダーメイドで整備する状況もあり、国が移転される住民と調整して計画的に進めていくべきものと認識している。

○ 角倉委員
 見通しはやってみなければ分からないということか。オーダーメイドのところは移転希望の住民の意向次第なのか。
● 古橋特定ダム対策課長
 国は計画的に進めていると思うが、個人の交渉事でもあるので、個々の事情を踏まえた上でオーダーメイドで対応することになると思われる。
○ 角倉委員
 県としても住民の意向を最大限バックアップして、方向がいつまでとは言えないだろうが、お願いしたい。
 各代替地の今年度末の完成割合は、造成は100%終わったのか。
● 中島特定ダム対策課生活再建対策主監
 国から詳細は聞いていないが、概ね終わっている。

○ 角倉委員
 完全には終わっていないということか。ここでいう造成とはすぐに家を建てられるような状態をいうのか。
● 中島特定ダム対策課生活再建対策主監
 ここでの造成は盛土が終わったものを指しており、現在は道路や区画割り工事等を行っていると国から聞いている。

○ 角倉委員
 団地分譲のようなことを行うのだが、上下水道の整備も含めて、すぐに家を建てられるような状態になるのはいつか。
● 中島特定ダム対策課生活再建対策主監
 国から具体的な時期は聞いていないが、県としてもできるだけ早く分譲できるよう再三再四申し入れている。

○ 角倉委員
 今日資料をもらったが、前回の3月末までの移転済み世帯が36世帯、あと98世帯が移転することになっていると前回の資料にあったが、本当にあと98世帯が移転するのかどうか、代替地の分譲を望む世帯数は、移転済みを除くと何世帯か。
● 古橋特定ダム対策課長
 分譲予定世帯134世帯については、その後の国の報告はない。

○ 角倉委員
 県が公表した資料の中で、長野原町の用地取得対象戸数は422世帯、取得戸数は377世帯、残りの戸数は45世帯。そうすると、この数字と移転世帯数と補償世帯数との間に齟齬が出ると思うがどうか。
● 古橋特定ダム対策課長
 代替地の移転世帯については、住民票を移した戸数と実際に契約した戸数の差かと思われるが、国には確認していない。

○ 角倉委員
 改めて、その辺のことを後ほど報告していただければありがたい。
 次に代替地の安全性についてであるが、代替地の耐震性の資料の提出を2月から求めているが回答がないと答弁があったが、最近代替地の安全性の問題が新聞や週刊紙で取り上げられている。その後国から資料の提出、回答はあったか。
● 古橋特定ダム対策課長
 現在、国と安全性計算を行う地点について協議中で、8月末にデータを提出すると口頭で聞いているが、再三早く提出するように国に言っている。

○ 角倉委員
 国にしても方向性については、8月末と言ってきた。国から資料が提出され、県が代替地の安全性を判断する場合、宅地防災マニュアルに準拠すると考えて良いか。
● 古橋特定ダム対策課長
 そのとおりである。

○ 角倉委員
 そのうえで宅地防災マニュアルに適合していないと判断された場合、県としてどのように措置するのか。一般論になると思うが、具体的に示して欲しい。
● 古橋特定ダム対策課長
 所管部署ではないので答えられない。想定質問には答えられない。

○ 角倉委員
 宅地防災マニュアルに適合していない場合、県はどこに改善を求めるのか。
● 古橋特定ダム対策課長
 国である。

〈補償について〉
○ 角倉委員
 代替地の問題は大切なことであり、しっかり住民の立場に立って県としても取り組んで欲しい。
 次に補償金について、平成21年度の八ッ場ダム事業で個人補償で支払われた金額はいくらか。
● 中島特定ダム対策課生活再建対策主監
 約64億円と聞いている。

○ 角倉委員
 今年度の八ッ場ダム事業で個人補償で支払予定の金額はいくらか。
● 中島特定ダム対策課生活再建対策主監
 45.2億円と聞いている。

○ 角倉委員
 地元の住民が心配されていると思うが、個人補償は45.2億円で充たされる、対応できるのか。
● 中島特定ダム対策課生活再建対策主監
 未契約分の用地補償額がいくらか、国から聞いていないが、今年3月に知事が国土交通大臣に会った際にも現地生活再建に必要な用地補償のすみやかな実施を申し入れており、生活再建を目指す地元住民が不安や不便をきたすことのないように、国が必要額を確保すべきであると考えている。

○ 角倉委員
 用地補償の今後の必要額を把握しているのか。
● 中島特定ダム対策課生活再建対策主監
 把握していない。

〈基金事業の公社ランニングコストの問題について〉
○ 角倉委員
 県も把握していただいて国に要望をお願いできればと思う。
 次に、基金事業についてのランニングコストについて下流都県と合意ができていないと報告を受けているが、ランニングコストは合意ができない場合は最終的には県が持つべきではないか。
● 中島特定ダム対策課生活再建対策主監
 協議しているが、下流都県は維持管理費は支出できないと言っているので、現在それに代わるものを下流都県と協議しているところであり、基金事業の中で維持管理に代わる支援策について今後検討していきたい。

○ 角倉委員
 非常に重要な答弁であったが、これまでの維持管理費に変わるものが検討されていると考えてよいのか。
● 古橋特定ダム対策課長
 元々公社の維持管理費は地域の生活再建だとか地域振興や雇用創出等といった当初の目的であり、その目的から外れないものをつくる考えでいる。

○ 角倉委員
 いわゆるランニングコストに代わるもののスキームを作ろうとしていると地元は考え、希望を持つとその結果がだめな場合、大変なことになると思うので、県に対処してもらいたい。
 現在の生活再建案について、地元が希望を持てる計画をということであるが、長野原町と意思疎通をすべきと前々回質問したが、長野原町とその後調整しているのか。
● 古橋特定ダム対策課長
 全般にわたって今年度に入ってから町長と3回会っている。地元の生活再建について現時点で最善なものを八ッ場ダム水源地域対策事務所と一緒になって調整をしている。

○ 角倉委員
 長野原町議会はどうか。
● 古橋特定ダム対策課長
 来週、町議会に行く予定である。

〈水需要予測について〉
○ 角倉委員
 水需要予測について、東京都議会公営企業委員会で、水需要予測の実施に関する請願が採択されたと聞いている。厚生労働省の基準では水道施設整備の事業評価は5年毎に事業再評価をすることになっているが、細則では水需要の動向を分析することになっている。群馬県の水道施設整備の事業の再評価はいつ行っているか。
● 嘉山水道課長
 平成22年3月24日に第29回群馬県公共事業再評価委員会が開催され、県央第二水道及び東毛工業用水道について行っている。

○ 角倉委員
 水需要予測の前回数値が出たのは、いつ行っているか。
● 嘉山水道課長
 平成16年度に行っている。

○ 角倉委員
 平成16年度と21年度の水需要予測に変化があったか。変化があったと認識しているか。
● 嘉山水道課長
 手元に資料がなく詳細が不明であるが、いくらか落ちていると思われる。なお、企業局が実施している用水供給事業は、受水市町村からの要望に基づき配水量を決めている。

○ 角倉委員
 それについても、平成16年と21年の変化の状況や受水市町村からの要望の状況等について改めて示していただきたい。以上である。

午後

〈品木ダム関連の質疑〉
○ 角倉委員
 品木ダムのヒ素問題と処分場に関する質問をいくつか行う。
 平成22年4月15日付け朝日新聞の記事で、「国交省ヒ素、汚泥を投棄」「基準の370倍の汚染懸念」「県は土砂の扱いで許可」とでている。
● 笛田廃棄物政策課長
 A,Bの処分場は、現在の廃棄物処理法、許可制になる前の届け出制の処分場である。C処分場については、精査するので、時間をいただきたい。

他の委員の質問

● 笛田廃棄物政策課長
 C処分場については、平成15年12月1日に許可申請があり、平成16年2月3日から3月3日まで縦覧に供し、この間、関係人から意見聴取している。3月9日に廃棄物処理施設等設置専門委員会に諮り、平成16年3月19日付けで許可している。
 施設完成後、平成17年5月20日に施設の使用前検査を行い、6月3日付けで合格通知を出している。

○ 角倉委員
 産廃の関係は、通常、申請してから許可までかなりの時間がかかるが、C処分場は4ヶ月ほどで許可になっているがなぜか。
● 笛田廃棄物政策課長
 廃棄物処理施設の許可に係る標準処理期間は4ヶ月である。多くの場合、時間がかかっているのは、許可申請の前に事前協議規程に基づく手続きを行っており、住民への説明会開催や合意の取得などを事業者に課していることから、法律の手続きでなく事前協議の手続きに時間がかかっているのが現状である。

○ 角倉委員
 C処分場については、住民がいないから事前協議の手続きを不要としたのか。
● 笛田廃棄物政策課長
 A,Bの処分場については法律が改正される前の手続きだったので、設置の届出で行っていたものである。C処分場については、事前協議規程では、国が設置する施設については事前協議の対象外としていることから、事前協議を省略した。

○ 角倉委員
 A,B処分場とC処分場は実質的に同じものという話であるが、法律が改正されていることについてはどうか。
●笛田廃棄物政策課長
 法律は、届出から許可に手続きが改正され、公告・縦覧などが追加されたが、施設の構造や処分する中身については変わっていない。

○ 角倉委員
 確認したいが、国土交通相が申請をするとき、河川水中のヒ素は1リットル中2㎎程度で、8~9割が石灰投入によってヒ素が除去されると説明した、と記事に載っているが、事実か。
● 笛田廃棄物政策課長
 湯川のヒ素濃度はもともと高く、中和工場では強酸性の水を中和することを目的に石灰を投入しているが、中和の過程でヒ素が除去されると聞いている。3月9日の専門委員会の場で、事業者から事情聴取を行っており、そのような説明がされている。

◎ 中沢委員長
 ダム問題に関する委員会なので。
○ 角倉委員
 このヒ素問題が、水がどのように(八ッ場ダム湖に)たまり、(ダム湖予定地周辺住民の)生活再建につながっていくか、密接に関わることなので(質問を続けたい)。
 2004年時点で汚泥1kgあたり最大5.6グラムのヒ素が含まれていた。農地の土壌環境基準の370倍以上にあたるとあるが、石灰投入で除去できなかったということか。
● 笛田廃棄物政策課長
 ヒ素が除去されるというのは、湯川の水のヒ素濃度が低くなるということであって、物質としてのヒ素が消えるわけではないので、何らかの形では残る。沈殿物としては溜まっているということである。

○ 角倉委員
 その辺がよく分からないところだが、汚泥であれば管理型で処分しなければならないのに、安定型の構造で許可したのは脱法行為ではないか、という点についてはどうか。
● 笛田廃棄物政策課長
 A処分場を設置する際に、水処理施設のない形態の処分場として届出を受理した。C処分場も設置の形態としては同じである。
 設置の経緯として、当時建設省から浚渫物であるから汚泥には当たらないのではないかという話があったが、県としては石灰投入によって生じた物であり、人為的な加工がされていることから、汚泥という判断をした。廃棄物が汚泥であれば、管理型の処分場でなければならないが、もともとが自然由来の物で、成分の約6割が土砂、約2割が石灰投入による生成物であることから、管理型のように遮水シートや水処理施設は必要ないという判断をした。
 法律上の根拠としては、基準省令のただし書「公共の水域及び地下水を汚染するおそれのない措置を講じた一般廃棄物のみを埋め立てる埋立地についてはこの限りではない」というただし書があり、この規定を類推適用したものである。

○ 角倉委員
 許可申請者が民間事業者の場合にも同様な構造で許可するのか。要は脱法行為があるかどうか。
● 笛田廃棄物政策課長
 3つの処分場の設置場所は品木ダムの集水域にあり、処分場からの浸出水はダムに戻ることなどを考慮したから、水処理施設を不要とした。全く別な場所に処分場を設置する場合には、別の環境に埋めることになるので、自然由来の物であるからといって水処理施設が不要というわけにはいかない。民間事業者が中和事業を行うとは考えられないが、異なる場所に処分場を設置するのであれば、水処理施設を設けた施設でなければ設置は認められない。

○ 角倉委員
 環境省から県に聞きたいということであったが、本件に関して照会はあったのか。
● 笛田廃棄物政策課長
 朝日新聞の記事について、環境省から照会があり、回答した。照会は、次の4点である。
 第1点「現行のC処分場を許可したときの県の考え方について」は、当該浚渫物は、概ね土砂が6割、中和生成物が2割、未反応の石灰が2割である。このうち石灰は天然の鉱物、中和生成物は元々河川水に含まれたものの化合物であり、天然にも存在する化合物である。浚渫物は天然成分として品木ダムに流入する河川に含まれたヒ素を含有しており、一般的な土壌に比べれば高い数値である。浚渫物は脱水後セメントと混合して埋められている。以上の点から、浚渫物は産業廃棄物の「汚泥」として、一定の管理された場所・方法で処分することが適当であると判断し、産業廃棄物処理施設設置許可を取得することを指導した。
そのうえで、本件処分場設置計画については、次の特殊事情が認められた。
 ダム湖に流入する湯川の砒素濃度は1㎎/1以上であるなど、元々砒素の多い水域であること。C処分場はダム湖の集水域に設置されることから、処分場の浸出水はダム湖に戻り、他の公共用水域を汚染するおそれがないこと。これらのことから、本件産業廃棄物は、他の公共の水域及び地下水を汚染するおそれのない廃棄物に相当すると判断した。
 群馬県としては、設置許可にあたり、産業廃棄物処理施設の法的な位置づけを、管理型産業廃棄物最終処分場としつつ、基準省令に定める「公共の水域及び地下水を汚染するおそれのない措置を講じた一般廃棄物のみを埋め立てる埋立地についてはこの限りではない」を類推適用して、最終処分場の構造としては、遮水工等の水処理施設を不要とすることが可能であると判断した。
 第2点「これまで排水基準を超えているかどうかについて」は、C処分場の浸出水については、これまで排水基準(0.1mg/1)の超過はない。ただしB処分場については何回か排水基準を上回ったことがある。
 第3点「超えているとしたら群馬県はどのように考えているのかについて」、は現状は超えていない。なお、今後、超えた場合は、前述の特殊事情を踏まえつつ、関連するデータの推移を注視していきたい。
 第4点「生活環境保全上の支障は生じていないかについて」は、品木ダム処分場周辺で生活環境保全上の支障は生じていない。
以上のように回答している。

○ 角倉委員
 品木ダムから吾妻川に流入する区間のヒ素濃度を何ヶ所で観測しているか。
● 木田河川部長
 吾妻本川については、長野原町の新戸橋地点、国が観測している与喜屋地点、滝見橋地点の3箇所で観測が行われている。

○ 角倉委員
 後ほど、その結果を教えてほしい。
 吾妻川の上流域に位置する万座川で汚染物質等の観測を実施しているのか。
● 木田河川部長
 万座川では観測していない。

○ 角倉委員
 万座川は中和事業を実施していないため万座川の水が直接吾妻川に流入している。その付近で水質観測を実施していないのか。
● 木田河川部長
 その辺は状況をつかんでいない。
◎ 中沢委員
 午後は廃棄物政策課長の質問に特化しているわけだから、集中して欲しい。
● 古橋特定ダム対策課長
 3月の特別委員会で議論になったということで、吾妻川の水質が安全だということを県民に広く知ってもらうために、群馬県のホームページに「吾妻川の水質(ヒ素)についてお答えいたします。」として本年5月より掲載している。内容は、水質特定結果が環境基準値を下回っているということ、また、いろんな質問に答えるような形で県民が安心していただけるような形で掲載している。
○ 角倉委員
 以上で終わる。