2011年1月11日
1月5日の記者会見において、馬淵国交大臣が基本高水流量の再検証のための有識者会議立ち上げを公表したことを受け、八ッ場あしたの会では下記の要請書を本日、馬淵大臣をはじめとする国交省政務三役に提出しました。この要請は、各都県の八ッ場ダムをストップさせる会と連名で行いました。
2011年1月11日
国土交通大臣 馬淵 澄夫 様
副大臣 三井 辨雄 様
大臣政務官 津川 祥吾 様
八ッ場あしたの会 代表世話人 野田知佑ほか
八ッ場ダムをストップさせる群馬の会 代表 浦野稔
八ッ場ダムをストップさせる茨城の会 代表 近藤欣子
八ッ場ダムをストップさせる千葉の会 代表 村越啓雄
八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会 代表 藤永知子
八ッ場ダムをストップさせる東京の会 代表 深澤洋子
ムダなダムをストップさせる栃木の会 事務局長 伊藤武晴
基本高水流量の再検証に関する要請書
八ッ場ダムの是非に関わる利根川の基本高水流量を再検証するにあたり、次の2点を要請いたします。
1 基本高水再検証の有識者会議のメンバーについて
馬淵大臣は、本年1月5日の記者会見で、利根川の基本高水流量の再検証に関して、次のことを言明されました。
「様々な関係各方面、これはダムの建設反対、あるいは推進、それぞれの論点に立つ有識者の方々にも公正に御判断いただけるような枠組みを考えてまいりたいと思っております。
間違っても、国土交通省が自前で御用学者を集めたなどと言われることが無いようにしっかりと皆様方に公正性、透明性、客観性を持って御判断を頂ける材料を提示してまいりたいと、このように思っております。」
基本高水流量の再検証を実施するにあたり、ダム建設に反対の有識者も加えて公正で客観的な議論が行える有識者会議を発足させるとの大臣のご発言は、新聞報道等でも大きな注目を集めています。
この有識者会議には、基本高水流量の計算方法に関して専門的な知見を有しているだけでなく、今までの基本高水流量が果たしてきた河川行政での役割、問題点を熟知し、広い視点で基本高水流量について科学的な議論をしっかりできる有識者を加える必要があります。
そのような知見を備えた有識者として、具体的に次の方々が有識者会議に参加することを強く要請いたします。
今本博健 氏 京都大学名誉教授 (河川工学)
淀川流域委員会委員長としての経験を踏まえ、ダムに偏重しない治水のあり方を提案してこられました。
大熊 孝 氏 新潟大学名誉教授 (河川工学)
利根川治水の第一人者として、八ッ場ダムの建設に疑問を投げかけてこられました。
関 良基 氏 拓殖大学准教授 (森林政策学)
利根川上流の森林の保水力のデータ等に関して、科学的知見に基づいて検証し、基本高水の見直しに大きな影響を与えてきました。
2 基本高水再検証と八ッ場ダム検証の順序について
基本高水流量は河川整備基本方針の目標流量であり、一方、今回のダム検証は河川整備計画と同程度の治水安全度を確保することを前提として行うことになっています。利根川の場合、基本方針は1/200、整備計画は2006年12月の利根川有識者会議で配布された関東地方整備局案では1/50の治水安全度となっています。1/200の基本高水流量の科学的な見直しにより、現在の22,000m3/秒が下方修正されれば、同じ洪水流出計算モデルで求められる1/50の洪水流量もより小さい値になり、八ッ場ダムを必要としない目標流量になることが予想されます。
このように、基本高水の科学的な見直しは、八ッ場ダム建設の是非に直結しますので、まずは基本高水の再検証を行い、その結果を踏まえて八ッ場ダムの治水面の検証を行うよう、関東地方整備局に指示されることを要請いたします。