2011年9月8日 佐賀新聞
http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2043536.article.html
-有田町営白川ダム、必要性に疑問 取水ゼロの年もー
西松浦郡有田町の町営白川ダムの水に含まれる鉄、マンガンの量が稼働した2001年から安定せず、全く取水しなかった年があるなど最大取水量を大幅に下回って推移している。
浄化処理は可能だが、含有量が多いと費用がかさむため、他の水源を優先して利用。一方で、白川ダムから取水しなくても水道供給に支障が出たことはなく、約11億円を投じたダム建設の妥当性を問う声も上がっている。
白川ダムは家庭の飲料水供給を目的とした水道専用ダム。有効貯水量は13万トン。94、95年に九州北西部が渇水に見舞われたため、97年に着工した。町の単独事業で、総事業費は10億9900万円。
ダムの水は当初から町内の他の水源に比べ3~13倍の鉄(化合物含む)を検出。2年目には有田ダムの50倍、1リットル当たり2ミリグラムを検出し、マンガン(同)は1・6ミリグラムと106倍に達した。
原因について、町上下水道課は「ダム底の土壌からしみ出ていると考えられる」としている。
厚生労働省によると、水道法は浄水処理後の水質に基準を定めているが、源水には基準がない。同課は「マンガンや鉄の含有量は現在の施設で浄水処理できるレベルで、問題はない。ただ、処理には多くの薬品が必要になり、コストがかさむ」と説明する。
このため、有田ダムなど他の水源を利用。白川ダムからの取水は年間最大取水量21万9千トンに対し、マンガン、鉄が最も多く検出された02年度は約1万8千トン、03年度は548トンまで下がり、04年度はゼロだった。
05年度から再び取水を始めたが、月別にみると、稼働からの120カ月間で取水ゼロの月は76カ月。他の水源は毎年、最大取水量の70%前後で稼働しているが、白川ダム 件は0~44%の水準にとどまって
いる。
白川ダムから取水しなくても、供給に支障が出た年はなく、ダムの必要性について疑問の声も上がっている。
同課の俵野利幸課長は「白川ダムがなければ断水になっていたかと言われると回答は難しい。当時は景気がよく、水道使用量が増えると考えられていた。今は不景気で逆に減っている。社会情勢の変化を計画段階では見通せなかった」と話している。