2011年12月19日
東京都は十年一日のごとく八ッ場ダム推進を主張し続けていますが、23区の一つ、豊島区では、12月12日に以下の意見書が国に提出されました。
豊島区議会ホームページより転載
http://p.tl/3w45
八ッ場ダム事業の「検証作業」を抜本的に見直し、ダム建設の中止を求める意見書
1952年に計画が発表された八ッ場ダムは、利根川上流の吾妻渓谷に治水・利水を目的にしたダム建設事業である。約4600億円もの巨額な国費を投じる計画で、さらに膨れ上がるという指摘もある。住居移転や道路整備など周辺事業は始まったが、本体工事は着手されておらず、「無駄な公共事業の典型」と批判されてきた。
2009年に発足した民主党政権の前原誠司元国交相が本体工事の「中止」を表明した後、八ッ場ダム事業の関係地方公共団体による検証作業が始まった。検証作業は、治水の面では、八ッ場ダムをつくれば洪水被害対策効果が6倍以上になるなどという試算を行い、被害想定の数字そのものが水増しされた数字であり、とても根拠になり得ない。利水についても、首都圏全体の水需要は減少傾向にあるのに、増加するという推計をもとにダムの必要性を強調している。それどころか、静岡県の富士川水系からの水を首都圏に引くという実現不可能な対案まで持ち出し、それと比べて八ッ場ダム事業が「費用が安くなる」「最も有利になる」として、建設継続が「妥当」と結論づけている。
計画発表から60年、国の施策に翻弄されてきた水没地区住民の苦難は計り知れない。ダム計画に協力すれば現地での生活を保障するという国の約束はこれまで守られず、地元は地域社会崩壊の危機にさらされている。長い反対運動の末、国の約束を信じて苦渋のダム受け入れを決断した住民から、不満や不安の声が上がるのは当然である。
よって、豊島区議会は、国会及び政府に対し、下記の事項について要望する。
記
1 八ッ場ダム事業の検証については、抜本的に見直し、ダム建設は中止すること。
2 ダム事業中止後の地域住民の生活再建・地域振興を速やかに進めるための法律を制定するなど、当該地域住民の生活の安定と福祉の向上に尽力すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。