八ッ場あしたの会は八ッ場ダムが抱える問題を伝えるNGOです

人口減少と八ッ場ダム

2012年2月1日

 このほど、国立社会保障・人口問題研究所の新しい人口推計が発表されました。

 八ッ場ダムの主目的は首都圏の都市用水の開発です。東京都、埼玉県、千葉県、茨城県、群馬県に水を供給する予定です。茨城県、群馬県はすでに人口減少時代に入っていますが、昨年の大震災の影響によって、千葉県が1920年以降初めて減少に転じました。茨城県は8年連続で減少ですが、震災後、人口減少が加速しています。
 八ッ場ダムは高度成長期に水需要の右肩上がりを前提に計画が推進されました。現在は東京都、埼玉県はまだ減少に至っていませんが、八ッ場ダムの完成予定とされる2018年度以降はこれらの都県も減少時代に突入すると予測されています。
 首都圏は現在でも水余り状態ですが、今後、人口減少によって水余りはさらに顕著になると予想されます。

 新しい人口推計は国立社会保障・人口問題研究所のホームで見ることができます。↓
http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/gh2401.html

 関連記事を転載します。

◆2012年1月30日 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120130dde001040004000c.html

 -将来推計人口:2048年に1億人割れ 60年に8674万人、高齢者4割に--厚労省研究所ー

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は30日、2011~60年の将来推計人口を公表した。10年に1億2806万人だった日本の総人口は、48年に1億人を割り、60年には今より3割減の8674万人になると予測している。推計の前提となる合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの数に相当)は、60年に1・35になるとみて前回06年推計の1・26から上方修正したものの、60年には総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)が4割に達し、超高齢化の進行に歯止めは掛かりそうにない。

 推計人口は10年の国勢調査に基づき算出した。最も可能性が高いとみる「中位」のほか、厳しく見積もった「低位」、その逆の「高位」の3推計を示した。60年の総人口8674万人は中位の数値。

 推計は昨年3月の東日本大震災の影響による「産み控え」などを考慮、11年末~12年にかけて出生数が減り、12年には合計特殊出生率がごくわずか低下するとみているものの、13年以降への影響は小さいと判断している。

 今回、将来の同出生率を上方修正したのは06年以降実績が上昇基調に転じ、10年には1・39に回復したため。前回の06年推計は、基準の05年に過去最低の1・26に落ち込んだことを織り込み、前々回の02年推計を下方修正していた。ただ、長期的には若い世代の出生率が低下する傾向は変わらないとみている。

 中位推計によると、40年代には総人口が毎年100万人単位で減っていく。

 10年の実績と60年の推計値を年齢層別に比べると、0~14歳は1684万人(総人口の13・1%)から791万人(同9・1%)、15~64歳も8173万人(63・8%)から4418万人(50・9%)へほぼ半減。65歳以上は2948万人(23・0%)から3464万人(39・9%)に増える。1人の高齢者を支える働き手の数は10年の2・8人から1・3人に減る。

 平均寿命は10年は男性79・64歳、女性86・39歳だったのが60年に男性は84・19歳、女性は90・93歳に伸びる。

 人口推計は国勢調査に合わせ、同研究所がおおむね5年に1度、公表している。【山崎友記子】

◆2012年1月6日 産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120107/trd12010700010000-n1.htm

 -都の人口、8年後1335万人ピークー

 平成22(2010)年の国勢調査で1316万人だった東京都の人口が、32(2020)年の1335万人をピークに減少に転じるとの試算を都がまとめた。65歳以上の高齢者が人口に占める割合(高齢化率)は22年の20・4%から、32年に24・0%、47(2035)年には28・9%まで上昇する見込み。

 22年の国勢調査で、人口が17年調査より増えたのは全国の9都府県で、東京都の増加率が最も高かった。都の人口も8年後を境に減っていくとの予測が示されたことで、国や自治体は少子高齢化対策の充実を迫られそうだ。

 試算によると、22年に638万だった都の世帯数は1人暮らし世帯の増加で人口より少し遅れて、37(2025)年の663万世帯をピークに減少する見通し。高齢者の1人暮らし世帯は22年は62万世帯だったが、32年には84万世帯に増加し、高齢者の4人に1人が1人暮らしとなるという。

◆2012年1月9日 朝日新聞社会面
http://www.asahi.com/national/update/0108/TKY201201080360.html

 -千葉県、初の人口減少 東京圏1都3県も人口減時代にー

 千葉県の人口が昨年、1920年の統計開始以来初めて減少することがわかった。東京、神奈川、埼玉を含めた1都3県の東京圏の人口はこれまで増加基調が続いてきたが、先陣を切って人口減時代に入る。

 千葉県の毎月常住人口調査によると昨年12月1日は620万9303人で、年始から7724人減った。年末に大きく増える要因はなく減少は確実。今年1月末発表の調査月報で確定する。県は2010年に作った長期計画で17年までは人口増を続けると予測していたが、7年早くなった。

 引き金は、東京に近く、県全体の人口増を引っ張った柏、松戸市など常磐線沿線の東葛飾地域や、市川、浦安市など東京湾沿いの京葉地域の変化だ。一昨年は両地域の計12市で計2万8468人増えたが、昨年は12月までの時点で543人増に縮んだ。

 東日本大震災で浦安市は液状化で大きな被害を受けた。東葛6市は放射線量が高い「ホットスポット」とされ、ともに県外からの入り込み人口は激減した。銚子市など過疎化が進む房総半島南部や東部と合わせると、減少になる形だ。

 長期的な人口構造の変化もある。高齢化に伴い増えつつあった死亡数が昨年10月時点で出生数を逆転し、「自然減」に突入した。

 専門家は、地方から東京圏への転入による社会増もリーマン・ショック以降は縮小していくとみている。

 人口減について県は「一時的か長期的なものかは判断できない」との見解。だが県幹部は「ホットスポットや液状化の問題は早急には解決しないかもしれず、回復は厳しい」と認める。

 東京圏の人口は地価高騰が収束した1995年以降、一貫して伸びた。昨年も千葉以外は増加見通しだが、1都2県のいずれも10年代後半か20年ごろから減少に転じると予測する。埼玉県は全国一の速度での高齢化の進展を踏まえ「10年代後半がピーク」。神奈川県も県西部で人口減が既に始まり、「20年からは減少」と予測。東京都も20年ごろをピークとみている。

 昨年10月時点で1年前と比較すると、1都3県でも都心から離れた郊外部を中心に人口減の市町村が広がる。120市のうち57市、69町村中54町村で人口が減少。都心のほか、横浜、川崎、さいたま市など大都市部の増加で支える構図だ。(重政紀元)

◆2012年1月31日 千葉日報
http://www.chibanippo.co.jp/c/news/politics/68543

 -千葉県人口初めて減少 1年間で1万693人 2011年調査

 =県人口の推移のグラフ

 2011年の千葉県人口は、統計がある1920年以降で初めて減少に転じたことが30日、県の常住人口調査(今月1日現在)で分かった。県総合計画では、県人口は2017年にピークを迎えると推計しており、人口減が予想より7年前倒しとなった形。東日本大震災後、周辺より空間放射線量が高い「ホットスポット」の出現に伴う転入者の減少などが要因とみられる。今後、復興とともに人口が再び増加する可能性もあるが、本格的な人口減少時期に備え、各自治体や企業は、財政運営や経営戦略の見直しを迫られそうだ。

 調査によると、今月1日現在の県人口は620万6334人となり、1年前と比べ1万693人(0・17%)減少した。転出者が転入者を上回る社会減(1万170人)に加え、死亡数が出生数を上回る自然減(523人)が重なった。いずれも初めてマイナスに転じた。

 県統計課は「震災による人の動きが大きく関連している」と分析。他県との人口の出入りをみると、前年の転入超過から一転、11年は転出超過となった。

 自然減についても、県は「放射能問題を受け、出産予定の人が県内からほかの自治体へ転出したり、転入予定者がほかの自治体を選択したケースも多かったのでは」として、震災の影響を指摘する。これまでは逆に、出産を機に都内から県内へ引っ越しをする傾向があったという。

 地域別では、これまで人口増をけん引していた市川市、船橋市、浦安市などの「葛南」が最大の2320人減。「千葉」と「君津」も減少に転じた。松戸市、柏市、流山市などの「東葛飾」は増加にブレーキがかかった。

◆2012年1月31日 読売新聞
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=53783

 -茨城県の人口、1万4000人減ー

 震災など影響 1965年以降最多
 茨城県は30日、今年1月1日現在の県内推計人口を発表した。昨年同時点より1万4444人減の295万4126人となり8年連続で減少し、減少数は記録が残る1965年以降、最多となった。

 死亡数が出生数を上回る自然減に加え景気悪化や東日本大震災と福島第一原発事故の影響により県外転出者が増えたとみられる。

 県統計課によると、減少数の内訳は、出生数から死亡数を引いた「自然動態」が6453人減で、転入者数から転出者数を引いた「社会動態」が7991人減だった。自然動態の減少数は前年より2128人増えた。

 県内人口は2004年以降、例年1059~4541人減少してきたが、昨年1年間の減少数は前年の約3・2倍に上る。昨年3月の震災から12月末までの減少数は1万2828人で、このうち外国人は2815人だった。

 市町村別に見ると、増加したのは、つくば市1180人、つくばみらい市708人、東海村377人、水戸市231人など7市村。減少したのは37市町村で、減少数の最多は日立市の1577人だった。

 取手市はここ数年、減少数に歯止めがかかっていたが、前年の229人減から約4・5倍の1024人減となり、県内で2番目に減少数が多かった。同市は県内でも放射線量が比較的高いことから、市政策調整課は「具体的な分析はしていないが、原発事故の影響も減少数が増えた原因の一つとして考えられるのではないか。その点を懸念している」としている。

 北茨城市は、前年の391人減から約2倍の796人減となった。市企画政策課は「雇用の場を求めての転出が大きな要因とみられるが、震災の影響も否めない」としている。

◆2012年1月26日 毎日新聞群馬版
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20120126ddlk10040229000c.html

 -県人口:199万9150人 1年4カ月ぶり大台割る--1日現在 /群馬ー

 県は25日、1月1日現在の県人口は199万9150人(男98万3331人、女101万5819人)になり、10年9月以来1年4カ月ぶりに200万人の大台を割ったと発表した。県は「少子高齢化が進んだのが主な要因」と分析している。

 県によると、県人口は前年同期に比べて7854人、前月比で909人それぞれ減少した。世帯数は76万1570世帯で、1世帯当たりの平均は2・63人だった。

 出生数と死亡数の差を示す「自然動態」は710人(出生1188人、死亡1898人)減り、15カ月連続の減少。県内外の転出入の差を示す「社会動態」も199人(転入4342人、転出4541人)減り、2カ月ぶりに減少に転じた。【鳥井真平】

◆2011年10月26日 朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/1026/TKY201110260392.html
 -日本人の人口1億2535万人、減少に転じる 国勢調査ー

 2010年10月1日現在で国内に住む日本人の人口は1億2535万8854人で、5年間で37万1294人(0.3%)減った。総務省が26日、5年に1度の国勢調査の確定結果を発表した。日本人と外国人を分けて統計を取り始めた1970年以降、初めて減少。本格的な人口減社会になったことが国勢調査でも裏付けられた。

 外国人約164万人と「国籍不詳」とされた約105万人を加えた総人口は1億2805万7352人で、前回から28万9358人増えた。ただ増加率は0.2%にとどまり、20年の調査開始以来、戦時下の45年を除いて最低だった。住民基本台帳に基づく人口は06年から減少傾向にある。

 総人口のうち女性は6572万9615人(51.3%)で、男性が6232万7737人。高齢化も進み、65歳以上は前回から2.8ポイント増えて23.0%となり、世界で最も高かった。

◆2011年11月8日 りそな総合研究所
https://www2.rri.co.jp/chiiki/pdf/tokyo1111.pdf
 止まらない東京圏からの人口流出