利根川流域市民委員会は12月11日に「「利根川の堤防強化事業についての国交省出前講座」を開きました。
これから策定される利根川水系河川整備計画は、利根川流域住民の命と生活を洪水の氾濫から本当に守ることができるものでなければなりません。流域住民の安全に直接関係するのが利根川の堤防の現状と今後です。そこで、利根川の堤防強化対策事業について国土交通省を講師に迎えた学習会を開きました。
学習会の中心テーマは利根川中流部右岸で工事が進められている首都圏氾濫区域堤防強化対策事業でした。これは、利根川中流部右岸の堤防のすそ野を大きく広げる事業で、第一期の区間だけで事業費が1000億円、移転家屋数が500戸にもなる一大事業です。
この学習会で、費用がもっと安上りの堤防強化技術はないのか、どのような理由で首都圏氾濫区域堤防強化対策事業が選択されたのかの質問が出されました。堤防の強化は最小の費用で最大の効果がある技術が選択されなければなりませんが、この質問に対する答えはありませんでした。
関連記事を転載します。
◆2012年12月12日 朝日新聞群馬版より転載
http://www.asahi.com/area/gunma/articles/MTW20121212100580001.html
-見直し派が出前講座 国交省の担当者招くー
八ツ場ダム本体着工の最終条件の一つ「利根川・江戸川河川整備計画」の策定に関連し、見直し派の34市民団体でつくる「利根川流域市民委員会」は11日、国土交通省関東地方整備局の担当者を招いた出前講座をさいたま市で開いた。
整備局は9月、利根川水系のうち利根川・江戸川の有識者会議を4年4カ月ぶりに再開。徹底的な議論を求める委員会は今回、「問題のあるダムではなく、限られた予算を堤防強化に集中する可能性を探るため、整備局の説明を聞くことにした」(共同代表の嶋津暉之さん)という。
利根川上流河川事務所の霞安行・沿川整備課長は、埼玉県深谷市―茨城県五霞町の約50キロで計画する「首都圏氾濫(はん・らん)区域堤防強化対策」を解説。埼玉県羽生市から下流は事業費約1千億円で約9割の用地を取得済みだが、群馬など上流側は、「めどが立たない」と説明した。
整備計画については、委員会に加わる見直し派市民団体「八ツ場あしたの会」が各党本部に実施した調査でも、見解が分かれる。
自民が「国交省が進めているやり方で問題ない」としたのに対し、民主、未来、共産、みんな、社民、新党日本は「本川のみの整備計画を進めるのではなく、水系全体の整備計画を策定すべきだ」を選択。国民新党は「利根川水系全般の治水・利水の総合的な見地から判断」とした。維新など4党は11日夕現在で回答が未着という。(小林誠一)