静岡県浜松市は、今年4月から西遠流域下水道事業を民営化します。
水処理世界最大手の仏ヴェオリアとJFEエンジニアリング、オリックス・東急建設・須山建設グループが設立した浜松ウォーターシンフォニー株式会社と契約締結を行いました。
国内初となる下水道の長期運営権の売却です。運営権者は2018年度から20年間にわたり事業を担います。運営権対価は25億円です。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ21HIL_R20C17A3000000/
浜松市のホームページを見ると、運営権者は維持管理、改築更新工事、計画立案、利用料金収受を行い、浜松市は認可取得、モニタリング、使用料収受(償還財源分)を行うことになっています。
http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/suidow-s/gesui/seien/pfi.html
http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/suidow-s/gesui/seien/koubo.html
西遠流域下水道は元々は静岡県の事業でしたが、2005年の市町村合併に伴い、 対象流域が浜松市のみとなり、合併特例法の適用により2016年3月末に浜松市に移管されました。管理は移管前は静岡県下水道公社を通して民間会社に委託し、移管後は市が直接、民間会社に委託していました。これを、今年4月から長期運営権を売却するというものです。
民営化する理由として、次の3点があげられています。
1. 膨らむ更新投資、施設の老朽化、耐震化による長期的資金需要への対応が必要
2. 料金収入減少、水道有収水量が減少傾向、30年後の人口は約18%減少の予測
3. 職員減少と技術継承、組織のスリム化による技術継承への懸念
いずれも今後の下水道事業の運営において重要な問題ですが、外国資本が入った会社に任せれば、解決するという問題なのでしょうか。公営のままでも対応する道があるように思います。
浜松市のホームページによれば、選定された事業者の提案では、20年間で約86億円のコスト縮減効果が見込まれるということですが、そのようなことが本当にできるのでしょうか。下水道事業で実際に働く人にしわ寄せがいくことも心配されます。
今回の浜松市の下水道民営化は、外資を入れた会社に運営権を売却するという先例をつくることに主眼があるように思われます。