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淀川水系・大戸川ダム、建設再開へ向けた三日月滋賀県知事の動き

 建設凍結中の淀川水系・大戸川ダムをめぐって、三日月大造・滋賀県知事が7月の県知事選を控え、凍結見直しの姿勢をあらわにしてきています。
 滋賀県の前知事であった嘉田由紀子氏は、環境問題に取り組む研究者として、淀川水系におけるダム建設の見直しを主導しました。住民参加と環境重視を打ち出した「淀川方式」は、河川行政を改革する先進的な試みとして、全国から注目されました。
 しかし、当初は「淀川方式」を支持した国交省は、改革にブレーキをかけ、淀川流域でも従来のダム行政を維持する姿勢へ転換、一旦は建設凍結となった大戸川ダムの建設再開を目指してきました。

 嘉田氏の後継として滋賀県知事となった三日月氏は、2009~10年の民主党政権で国土交通省政務官(後に副大臣)として、ダム行政を担当した経歴の持ち主です。国土交通省は三日月氏のもとで、全国のダム検証を行いましたが、その中身は検証とは名ばかりで、八ッ場ダムをはじめとする全国のダム建設再開への道筋をつけました。従来のダム行政を守りたい河川官僚の意のままでした。大戸川ダムにおける三日月氏は、ダム推進派の言いなりだった民主党政権における三日月氏の姿勢を彷彿させます。

 関連記事を転載します。

◆2018年2月24日 毎日新聞滋賀版
https://mainichi.jp/articles/20180224/ddl/k25/010/474000c
ー知事選 自民、三日月氏支援へ 県議団「治水など一致」と判断 ー

  自民党県議団は23日、会派総会を開き、6月の知事選で再選を目指す現職の三日月大造氏を支援する方向で一致した。25日の党県連役員会で正式決定するとみられる。前回知事選では自民党の擁立候補が三日月氏に敗れたが、県議団は2月定例県議会で答弁した治水施策などで一致点を得たと判断した。一方、前回知事選で三日月氏の選挙母体となった地域政治団体「チームしが」(代表、嘉田由紀子前知事)も既に三日月氏の再選支援を表明しており、非自民だった三日月氏に自民が相乗りする形になった。

 自民県議団は国が大津市に計画する大戸川ダムの早期建設を三日月知事に要求。20日の代表質問で三日月氏は、同ダムの建設中止を求めた大阪などとの4府県知事合意について「必要な見直しができるよう努めて参りたい」と答弁し、県庁内にダムの治水効果などを検証する勉強会を設けると表明した。

 自民県議団は三日月氏が嘉田前県政以来の治水対策を「転換した」と受け止め、1期目の業績もおおむね評価する判断を示した。また、三日月氏に対抗できる有力候補がいないこともあり、独自候補の擁立を見送って三日月氏支援に回ることにしたとみられる。家森茂樹県議団代表は取材に「県議団の三日月知事に対する評価を役員会で報告して決めてもらう」と話した。

 自民党県連会長の上野賢一郎衆院議員はこれまでの取材に「県議団の意向は尊重したい」と話しており、役員会での三日月氏支援は確実とされる。

 現在、立候補を表明しているのは三日月氏だけで、共産党が参加する「明るい滋賀県政をつくる会」が候補者の擁立を進めている。

 三日月氏は前回知事選で民主党衆院議員を4期目で辞職し、嘉田前知事の後継として出馬し初当選した。自民は現在、県内の衆参両院の6議席を独占しているが、知事選では嘉田氏が初当選した選挙以来3期連続で自民擁立候補が非自民候補に敗れている。【大原一城、北出昭】

◆2018年2月21日 京都新聞
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20180220000207
ー自民滋賀県連が三日月氏支援へ ダム方針を評価ー

 任期満了に伴う6月の滋賀県知事選で、自民党県連は20日、再選を目指し立候補表明した三日月大造知事(46)を支援する方向で最終調整に入った。三日月知事が同日の県議会で、国が計画する大戸川ダム(大津市)の建設「凍結」を求めた2008年の4府県知事合意の見直しの可能性に言及したためで、自民県議団は「想定以上に踏み込んだ」と前向きに受け止めた。

 県連は25日に役員会・選挙対策委員会の合同会議を開き、最終決定する。上野賢一郎会長は「治水対策で前向きな答弁があった。県議団の意見を尊重し結論を出したい」との考えを示した。民進党県議らでつくる地域政党チームしがは三日月知事の支援を決めており、国政与野党による「相乗り」が濃厚となった。

 自民は2月定例会議の代表質問で、滋賀など4府県知事が大戸川ダムの本体工事の「凍結」を求めた合意の撤回を迫り、昨年12月に可決した県議会の決議に対する対応を尋ねた。

 三日月知事は「大戸川ダムの効果や影響について検証するため勉強会をスタートさせたい。その結果を踏まえ、知事合意について必要な見直しができるよう努める」と述べた。

 県議団の家森茂樹代表は「治水政策は大いに評価できる。自民の主張に理解を示そうとする姿勢がうかがえた」と述べた。

 自民県連は14年知事選で、嘉田由紀子前知事が後継指名した三日月知事に対立候補を立てて敗れている。

◆2018年2月21日 朝日新聞滋賀県版
https://digital.asahi.com/articles/ASL2N458VL2NPTJB00N.html?iref=pc_ss_date
ー滋賀)大戸川ダム検証のため勉強会立ち上げへ 知事ー

 三日月大造知事は20日、国が建設を凍結した大戸川ダム(大津市)の効果や影響を検証するため、県独自に勉強会を立ち上げる意向を示した。県議会で自民党県議団の富田博明議員の代表質問に明らかにした。

 大戸川ダムをめぐっては、嘉田由紀子前知事と大阪、京都、三重の4府県知事が2008年に同ダムの建設を「(国の)河川整備計画に位置づける必要はない」などとした、いわゆる「4府県知事合意」を踏まえ、国は09年に建設を凍結していた。

 一方、昨年12月の県議会は、大戸川ダムの早期着工などを求める決議を自民党や公明党など3会派の賛成で可決。6月の知事選に立候補表明した三日月知事を支援するかどうか、自民党は今議会の知事の姿勢を元に判断することにしていた。

 富田議員はこの日の代表質問で、「決議をどのように受け止めているか。今後の対応をお示しください」などと質問。三日月知事は「勉強会での検証結果も踏まえ、4府県知事合意についても、必要な見直しができるよう努めてまいりたい」と答弁した。三日月知事は議会後、報道陣に「(合意の)見直しを前提とはしていない」と説明した。

 党県議団の家森茂樹代表は「会派で(知事の)答弁を精査する」と述べ、週内にも県議団としての意見を集約すると明らかにした。県議団からの報告を受けた党県連は月内にも、知事選の方針を決めるとみられる。

 一方、知事選で三日月知事の支援を決めた、チームしが県議団の柴田智恵美代表は「大戸川流域の治水効果を科学的、客観的に検証する勉強会であれば、一定の理解はできる」と話した。(真田嶺、岡本洋太郎)

◆2018年2月20日 読売新聞大阪版
http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20180220-OYO1T50017.html
ー大戸川ダム白紙撤回見直しも…滋賀県が勉強会ー

 建設凍結中の大戸川(だいどがわ)ダム(大津市)について、滋賀県はダムの効果や影響を検証する勉強会を設置する方針を決めた。これにより、大阪、京都両府、三重県の流域4府県共同で整備の白紙撤回を求めた2
008年の知事合意も、必要に応じて見直す。

 同ダムは1978年に多目的ダムとして事業開始。2008年に治水用ダムとして河川整備計画に建設計画が盛り込まれた。だが、同年11月、嘉田由紀子・滋賀県知事、橋下徹・大阪府知事(いずれも当時)らがダム整備の優先度が低いと主張し、国は09年に本体工事を凍結した。

 国は16年、流域自治体との検討会で治水上、ダム案が最も有利とする評価案を提示。3府県は事業継続を容認したが、本体工事には慎重な姿勢を示し、着工の見通しは立っていない。

 三日月大造知事は20日の県議会で勉強会設置の方針を表明。「相次ぐ台風災害を教訓に、勉強会の検証結果を踏まえ、4府県知事合意も必要な見直しができるよう努めたい」と述べた。

◆2018年2月12日 京都新聞
www.kyoto-np.co.jp/shiga/article/20180212000107
ー三日月氏支援可否、県会答弁で判断 知事選で自民滋賀県連ー

 自民党滋賀県連は12日、草津市内で役員会を開き、7月に任期満了を迎える三日月大造知事の県政運営について「県議会や国、市町との協調姿勢は評価できる」と一定評価する県議団の検証結果を示した。一方で「県の将来像を明確に描けていない」とも指摘し、夏の知事選で再選を目指す三日月知事を支援するかどうかは、県議会2月定例会議の答弁を見極めた上で月内にも判断する方針だ。

 三日月知事は立候補の意向をすでに県連幹部に伝えており、定例会議初日の15日に正式表明する見通し。上野賢一郎会長は「成果を出した点もあれば、物足りない点もある。重要なポイントについて知事の考えを確認したい」と述べ、主張が異なる教育や治水政策について代表質問で問いただす考えを明らかにした。

 検証では社会資本整備や経済、教育、知事のリーダーシップなど7項目で評価できる点や政策方向を修正すべき点を列挙した。

 社会資本整備における公共事業費の確保や観光施策は「成果が上がりつつある」と評価。県議団が対立してきた嘉田由紀子前知事時代の県政運営と比較し「国や市町との関係は一定の改善が図られた」と好意的に受け止めた。

 一方、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で平均正答率が4年連続で全国平均を下回った小中学生の学力低下や、ソフト対策に力点を置いた治水政策は「政策の強化や転換を求めなければならない」と問題視した。

 県議会は昨年12月、国が計画する大戸川ダム(大津市)の早期着工に向け、滋賀など4府県知事が建設「凍結」を求めた2008年の合意を見直すよう迫る決議を可決しており、三日月知事が2月定例会議でどう応じるかが最大の焦点となる。家森茂樹県議団代表は「知事がどこまで自民の考えを取り入れ、歩み寄ってくれるかだ」と話した。