関西の淀川水系で国土交通省が工事を進めている天ケ瀬ダム再開発の事業費がまた増額されると報道されています。660億円へと倍増されることになりました。
天ヶ瀬ダム再開発事業は、これまでも「想定外の地質(破砕帯が広く出現)に遭遇したこと」を理由に、計画策定時の330億円から約590億円に増額されています。今回の増額で事業費は当初の倍額となります。
天ヶ瀬ダム再開発事業は、天ヶ瀬ダムのダム湖と宇治川をつなぐ放流用トンネルを新設し、ダム放流能力を毎秒900トンから1500トンに増強するものですが、必要性が疑わしい事業です。京都府等の弁護士さんが京都府を被告として本事業の公金差し止め訴訟に取り組んでいます。
当会の運営委員で、水源開発問題全国連絡会(水源連)の共同代表でもある嶋津暉之さんが2年前に裁判所に提出した意見書が水源連のホームページに掲載されています。天ヶ瀬ダム再開発事業が抱える問題点についてのポイント解説も掲載されていますので、ご参考になさってください。
◆淀川水系の天ヶ瀬ダム再開発事業の虚構
http://suigenren.jp/news/2017/11/14/9718/
嶋津さんによれば、「この裁判は終盤を迎え、今年12月13日の口頭弁論で次回結審となりました。証人尋問は採用せず、また、国交省への調査嘱託も採用されませんでした。最近の裁判所はますます行政寄りになってきているように思います。」とのことです。
関連記事を転載します。
◆2019年12月26日 京都新聞
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/107392
ーダム再開発、増額繰り返し倍増660億円 「事前調査が不足」指摘もー
近畿地方整備局が実施している天ケ瀬ダム再開発で、事業費が約70億円増える見通しとなり、京都府は26日、京都市上京区で計画変更の妥当性を検証する有識者の委員会を開いた。府の負担分は13億円増の計128億円となる見通し。委員会は、工事内容などを精査し、増額を妥当と判断した。
同事業はダム湖と宇治川をつなぐ放流用トンネルを新設し、ダム放流能力を毎秒900トンから1500トンに増強する内容。計画はすでに3回見直されており、1995年の策定時に330億円だった事業費は、今回の変更で660億円に倍増した。2021年度としている完成時期は変更しない。
トンネル建設に使用予定だった道路トンネル用の型枠が使えず、型枠を新たに造る必要が生じた。掘削方法の変更、セメント単価や人件費の高騰なども変更の理由という。
委員会では「最初から分かるようなことが、だいぶある」「事前の調査が足りない」などの意見が相次いだが、「事業費はおおむね妥当に見積もられている」とまとめた。
府は近畿地方整備局への意見提出を求められており、府議会2月定例会に知事意見案を提案する。滋賀県は事業費負担はないが、意見案を県議会2月定例会議に提案する。