木曽川中流部の丸山ダムを再開発する新丸山ダムの本体工事が2020年度から始まるということです。
この再開発は下図のとおり、既設の丸山ダムのやや下流に丸山ダムと一部が重なる形で新ダムを建設し、国内最大級の嵩上げ(20.2m)を行うものです。この再開発で総貯水容量が7952万㎥から13135万㎥に増加します。
◆国土交通省中部地方整備局 新丸山ダム工事事務所ホームページより
https://www.cbr.mlit.go.jp/shinmaru/201_damunogaiyou/01_syogen/main.html
関連記事を転載します。
◆2020年3月9日 毎日新聞岐阜版
https://mainichi.jp/articles/20200309/ddl/k21/040/074000c
ー新丸山ダム 本体工事着手へ 洪水調節容量3.6倍に 管理所、高台へ移転ー
木曽川中流域の丸山ダム(八百津町と御嵩町境)を再開発する「新丸山ダム」の建設事業が2020年度から本格的に動き出す。周辺の道路整備と連動し、丸山ダム管理所(八百津町)が高台へ移転新築され、関係市町の首長らに公開された。4月からダムの本体工事に着手する予定だ。【立松勝】
国土交通省中部地方整備局が管理する丸山ダムは高さ98・2メートル。洪水調節、利水、発電の多目的ダムだ。管理所はダム下右岸にあったが、杉原千畝記念館のある人道の丘公園に近い北西へ217メートル移転した。
新管理所は鉄筋2階建て、床面積が約740平方メートルで、建設費は約3億2000万円。以前の場所から117メートル高い丘陵地に位置し、長野県南木曽町から岐阜県に至る木曽川水系のダム水位を24時間監視するほか、水門の開閉を管理する。
新管理所のお披露目会では、美濃市のダム愛好家、佳(よっしー)さん(38)=本名・鷲見佳美=が特別来賓として出席した。年間50~70回にわたり丸山ダムの日の出や夕暮れ、晴れや雨の日など四季折々のさまざまな景観を撮影した写真を紹介。佳さんは「ダムが放流されると、駆けつける。天気の条件が良いと、虹も見られます」と丸山ダムの魅力を熱っぽく語り、出席者から歓声が上がった。
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新丸山ダムは現在のダムから47・5メートル下流に建設し、高さは現在より20・2メートル高くなる。ダム湖の最高水位も現在の188・3メートルから205・3メートルまで17メートル上がる。洪水調節容量が2017万立方メートルから7200万立方メートルまで約3・6倍に増え、防災機能が強化される計画だ。
この地域は河川氾濫による洪水を繰り返した歴史がある。1983年9月には台風と秋雨前線による大雨で美濃加茂市、坂祝町、可児市、八百津町などで浸水家屋が約4590戸に上る甚大な被害が発生した。
特に木曽川水系と飛驒川水系が合流する美濃加茂市や可児市は、上流域で大雨が降ると、恒常的に洪水災害の危険に襲われる。最近では異常気象により全国各地で豪雨災害が頻発し、防災・減災対策は喫緊の課題だ。
新丸山ダム工事事務所の折戸充・副所長は「新丸山ダムは多目的な再開発ダム。洪水調節、水力発電、渇水時に安定して取水できるように1500万立方メートルの容量を確保する」と説明した。国交省によると、20年度の新丸山ダムの関連予算案は約125億円を見込む。木曽川水系の中下流域の防災ダムの役目を担い、29年度の完成を目指す。
◆丸山ダム沿革と木曽川流域の洪水被害状況◆
・1938年7月 大雨で木曽三川で洪水発生。木曽川流域は流失家屋7戸、床上浸水約3800戸
・ 56年3月 丸山ダム完成
・ 57年4月 ダム管理所開所
・ 83年9月 大雨で美濃加茂市、坂祝町、可児市、八百津町で浸水。県内死者4人、床上浸水約2800戸
・ 90年5月 新丸山ダム建設基本計画を告示
・2010年9月 民主党政権で建設事業凍結
・ 13年7月 検証結果を受け建設事業継続が決定
・ 20年4月 新丸山ダムの本体工事着手予定